
2016年より、ジャパンハートの医療活動の拠点となる病院、『ジャパンハートこども医療センター』を運営しています。小児一般診療・小児がん治療のほか、成人の内科・外科および産科の診療を行っています。
1970年代後半のポルポト政権下、知識層と呼ばれた医師や教師が次々に殺害され、国民の4分の1が虐殺されました。医療や教育が破綻した爪痕は、40年経った今も色濃く残っています。そんなカンボジアの医療発展のため、ジャパンハートは2008年より活動を開始しました。当初は、農村地域にあるジャパンハートの提携病院の一画を特定の期間だけ間借りして診療を行いました。1年に数回の活動から始まり、2015年度には毎月2回の定期的な手術活動を行うに至りました。
しかし、自分たちの拠点となる病院を持たない医療活動では、
①患者の緊急時の対応
②定期的な診療が必要な患者へ十分な対応
③継続的な医療者人材の育成
が困難という課題がありました。
拠点病院を設立し、安心できる医療を現地の人々へ ~Phase 1~
2016年5月に首都プノンペンから北へ35km離れたカンダール州に、活動拠点となる病院を建設し、開院しました。
子どもから大人までの一般外来診療だけでなく、産科の診療も開始しました。自分たちの拠点病院を持ったことで夜間の救急患者にも対応できるようになりました。日本人とカンボジア人が長期的に、継続的な医療人材の育成を行える環境を整えました。
がんの子どもたちにも、医療を届けたい
カンボジア国内での小児がん患者の数は未知ですが、周辺国の統計から、年間約600人いると推測されています。そのうち医療機関を受診している患者は、わずか200人と国内にいるとされる数の1/3程度です。先進国の小児がん患者の生存率は80%以上ですが、発展途上国と言われる国では20%未満です。そこには診断技術や専門医の不足、病院までのアクセスや患者の経済状況など様々な問題があります。わたしたちは、これまで医療の手が差し伸べられて来なかった、がんと闘う患者にも医療を届けたいと考えました。
小児病棟を増築し、ジャパンハートこども医療センターへ~Phase 2~
2018年6月に、小児がん治療のための病棟を含む小児科病棟を増築し、小児がん、小児外科疾患を含む小児全般の病気の診療が可能となりました。
カンボジアには、治療費を払えず、治療を断念せざる終えない小児がん患者が多くいます。ジャパンハートこども医療センターが、小児がん患者の受け入れを始めた当時、国内には白血病(血液がん)以外の小児がんの患者を無料で治療できる医療機関がありませんでした。当院では、他院では診ることのできない、小児固形がん(神経芽腫、肝芽腫、腎芽腫等)をまず対象に治療を行っています。
当院には熟練した小児がん専門医が常駐しており、小児科全般で知識と経験を積む人材育成にも力を注いでいます。小児がん治療開始から3年で、150名を超えました。小児がんの手術のために、日本国内の医療機関から小児外科チームと連携して、化学療法や手術を行い、治療を進めています。
また、カンボジア国内においても、2018年10月、カンボジア小児がん治療グループ(Cambodia Child Oncology Group)が立ち上がり、当病院も参加しています。他の病院では治療困難な小児固形がん患者の紹介や、情報交換など、カンボジア国内での連携を強化しながら、治療を行っています。
将来はカンボジアだけでなく、東南アジアの小児医療の拠点として、ミャンマーやラオスなど周辺国からも小児がん患者を受け入れ治療していくことを目標としています。
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