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【臨床検査技師⑫活動報告 】ジャパンハートこども医療センターにおける精度管理について

up 2024.05.21

ジャパンハートこども医療センター 長期ボランティア臨床検査技師 森です。
今回も検査技師だよりをお届けします。

第12回目は、「精度管理」。日本とカンボジアでできることにも大きな差があります。専門的な内容も多くありますが、今回はカンボジアでの取り組みについてご紹介します。

そもそも精度管理とは?

臨床検査技師には、正確でかつ精度が高く信頼できる検査結果を臨床現場へ提供するという重要な役割があり、そのため日々の業務に「精度管理」というものがあります。

精度管理には大きく2種類あり、一つは毎日の臨床検査機器管理とともに日常の測定データの信頼性を保つため自施設で行うものを「内部精度管理」といい、他方は同一検体が他施設との測定データにばらつきのないことを確認し正確性を調査するものを「外部精度管理」といいます。

【臨床検査技師⑫活動報告 】ジャパンハートこども医療センターにおける精度管理について

【メーカーによる機器メンテナンス 】

 内部精度管理を行うために各施設ではコントロール試薬と呼ばれる測定値の範囲が決まった市販品を購入し、それを分析器で毎日測定しその測定データを見ることで分析器や測定試薬の状態が把握でき、また週単位、月単位のデータを集積することで、長期でみた分析器の異常に気づくことがあります。外部精度管理は臨床検査技師会や医師会といった団体、または検査試薬メーカーが外部精度管理参加施設に同一の調査用試料を配布し、参加施設が調査用試料を自施設で測定し、そのデータを配布団体に送ることで配布団体が集まったデータを解析し、報告された解析データを参加施設が自施設のデータと比較することで他施設とのばらつきがないことが確認できます。

この内部・外部精度管理を行うためには、コントロール試薬代、外部精度管理参加費用が必要であり、日本の各施設では臨床検査データの信頼性の担保として病院側と交渉しその費用を捻出することが行われています。

今回新たな取り組みとして「ジャパンハートこども医療センター」での精度管理の一部の取り組みについて紹介いたします。

ジャパンハートこども医療センターでの制度管理と検討事項

 「ジャパンハートこども医療センター」には、自動血球分析装置、電解質分析装置、血液凝固分析装置、血液ガス分析装置、卓上ビリルビン測定器があります。

私が活動を開始するまでは、年に数回の機器メーカーによるメンテナンス及び機器校正が行われていましたが、日々の精度管理は行われていませんでした。それはコントロール試薬が高価であるため、必要経費に占めるコントロール試薬費用の割合が大きくなり、コントロール試薬の購入を躊躇する現状があるためです。

そこで、経費をかけずに精度管理を行うための案として、まず自動血球分析装置について検討しました。

具体的には自動血球分析装置の赤血球系の測定に関して、日常測定データの中から患者データを使って赤血球恒数と呼ばれる3項目(MCV・MCH・MCHC)のデータに注目し、毎日条件を満たす患者測定データを集めその平均値を求めました(正常者平均法)。1ヶ月分のそのデータ集積からそれぞれの項目の平均値、標準偏差を求めX-R管理図と呼ばれる方法で分析器及び試薬のチェックを試みました。毎日の患者データから調査対象とした3項目の本年4月の成績は、管理幅を外れた回数が2回、異なる日に1回ずつありましたが単発的であり、持続的な異常はなくほぼ安定した機器の状態であったと思います。

 自動血球分析装置における精度管理の別の方法として、日差変動という測定当日の検体を選択し、冷蔵庫に保管した同一検体を翌朝測定する方法で、赤血球数、白血球数、血小板数などの項目についての変動値を求め分析器及び試薬のチェックを試みる予定です。

 その他の方法としてプール血清と呼ばれる管理試料を自院で作製し、電解質分析装置の精度管理に使ってみようと現在検討中です。その他の機器に関しては今後の検討課題としています。

【臨床検査技師⑫活動報告 】ジャパンハートこども医療センターにおける精度管理について

【日常業務】

カンボジアでのこれからの活動について

日本の多くの施設は自動分析装置を所有する施設であれば、内部精度管理のためコントロール試薬を購入し自施設での測定データの信頼性を保持しています。また外部精度管理も多くの施設が参加し、各施設は解析データをもとに自施設の現状を把握しています。

しかし、カンボジアでは現病院のように内部精度管理用試薬も高価で購入できない場合もあり、団体が行う外部精度管理も実施の有無が把握できていません。カンボジアでの臨床検査に関わる精度管理が進むことを期待しています。

【臨床検査技師⑫活動報告 】ジャパンハートこども医療センターにおける精度管理について

【PCによるデータ整理 】

森三郎 カンボジア長期ボランティア / 臨床検査技師

2023年12月からカンボジアで検査技師として活動しています。40年間臨床検査技師として総合病院で勤務し、これまで経験した知識と技術を海外ボランティアという形で社会貢献できればと考えジャパンハートに応募しました。自身のスキルアップ、レベルアップに繋げていきたいと思います。


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カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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