ミャンマー 専門医療プロジェクト

貧困層へ高度先進医療を届け
現地医療者への技術移転も推進

2004年からスタートしたミャンマー・ワッチェ慈善病院での医療活動。この活動は治療を受けた患者さんたちのクチコミによりどんどん広がり、ミャンマー全土から様々な疾患を持った患者さんが治療を求めて病院にやって来るようになりました。
そして2010年、そのような患者さんの期待に応えるべく、日本から小児外科を中心とした専門知識・技術を持った医療者を招いての専門医療プロジェクトがスタートしました。

活動概要

現在、ミャンマーの専門医療プロジェクトでは、子どもの先天性心疾患や肝・胆道系疾患、そして口蓋・口蓋裂や泌尿器系の疾患の治療を主に行っています。
治療は、日本から小児外科、心臓外科、循環器内科、形成外科、口腔外科などの専門家チームをミャンマーに招き、ワッチェ慈善病院のほか、ミャンマー国内の子ども専門病院や地方の総合病院で現地医療者と共に手術を中心に実施しています。このプロジェクトでは、現地医療者への技術移転の目標も掲げており、専門チームが現地で治療をする際は技術指導も実施しています。

ジャパンハートは、日本の専門家チームの招へいや現地病院の受け入れ体制の整備をするコーディネートを務めており、本プロジェクトは、ジャパンハートがミャンマーの保健スポーツ省とMOU(Memoramdum of Understanding)と呼ばれる覚書きを結ぶことで実現しています。一つの手術をするためには、早くて8カ月前から準備が始まります。

ミャンマーの医療事情

ここ数年、ミャンマー民主化以降の経済発展に伴い、ミャンマー国内の医療を取り巻く環境は改善しつつあります。しかし医療者不足と共に、専門知識や技術を有する専門医も各分野共に国内で10人以下と、ニーズに対して圧倒的に足りていない状況にあります。そのため日本であれば助かる命が、ミャンマーでは助からないという悲しい状況は現在も続いています。

ジャパンハート ミャンマー 専門医療プロジェクトネピドー保健スポーツ省の会議室にて、九州大学の田口智章教授とヤンゴン子ども病院院長・小児外科教授と共に、ミャンマーで初となる小児生体肝移植実施に関して保健大臣に経過報告を行なっている場面

プロジェクトの実績

ワッチェ慈善病院で本プロジェクトがスタートした当時は、年に2、3回程度の活動でしたが、その後はミャンマー国内の子ども専門病院や公立の総合病院へと活動場所を広げていきました。専門分野も多岐にわたり、回数も年10回を超える規模の活動へと成長しています。
そして現在は、「日本の先進技術でミャンマーの子どもを救う」ことを目標に、現地医療者と共に小児心臓病や小児生体肝移植などの高度先進医療にも取り組んでいます。
2010年にスタートしたこのプロジェクト。協力してくださる日本の医療チームや、日本の先進医療技術を学びたいと願う現地病院との輪が広がり、現在では日本からは主に7つの専門チームが、ミャンマー国内の7つの病院にて活動を行なっています。
そして年間、各分野の医療専門家50名が、子どもたち約200名の治療にあたっています。

ジャパンハート ミャンマー 専門医療プロジェクト口唇裂の手術を終えた患児たち

課題と今後の方向性

現在、ジャパンハートでは、小児心臓病治療および小児生体肝移植などの「高度先進医療の技術移転」に力を注いでいます。しかし、現在のミャンマーは、高度先進医療に至るまでの病気の早期発見・早期診断・手術・継続的なフォローアップ体制などが充分とはいえません。今後は、その過程を含めた支援を視野に入れています。

ジャパンハート ミャンマー 専門医療プロジェクト整形外科・中原慶亮先生(高岡整志会病院)の患者診察。専門医療プロジェクト・コーディネーターの河野朋子(写真中央)が診察をサポートする

人口は日本の約半分であるものの、国有面積は日本の約2倍もあるミャンマー。しかし、子どもの心臓病治療や生体肝移植などの高度先進医療が受けられるのは、国内の中心都市ヤンゴンの1箇所のみで、充分な医療体制とはいえません。私たちは、今後、ミャンマー第2の都市マンダレーへの活動の展開も考えています。
そして最終的に目指すのは、ミャンマー国内で現地の医療者によって専門医療が受けられるようになる事です。

※ここ数年は日本以外からの医療支援チームも多く入るようになっており、成人の生体肝移植や生体腎移植もミャンマー国内で実施できるようになってきています。

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