自然災害発生時の災害医療支援

ジャパンハートは、国際医療ボランティアとして、大規模災害の緊急時でも医療を届けてきました。より被災地に求められる医療チームになるために、「国際緊急救援(iER)」として、国内外の被災地に駆けつけられるよう準備を進めています。

亜急性期以降を中心とした医療支援

1)私たちの災害医療支援とは

「医療の届かないところ」、これを災害時には被災地にあると捉え、地震・津波をはじめとする地震災害、台風・サイクロン・洪水をはじめとする気象災害、感染症拡大をはじめとする緊急事態において医療を届ける活動を実施します。
その対象は、被災を受けた全ての人びとや、その被災者に対して手を差し伸べる支援者の方々です。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

本当の医療の手が必要になる「亜急性期」以降を中心に、地域保健師の方々・医療従事者の方々を支えサポートしながら中長期にわたって息の長い支援を繋ぎます。私たちは、被災を受けた全ての人びとの防ぎ得た災害関連死を防ぐことを目指し、「支援者支援」を念頭に活動を続けます。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

2)医療者ネットワーク

中長期にわたって息の長い支援を繋げることができるその理由は、ジャパンハートのもつ医療者ネットワークにあります。
医療者をはじめとする災害医療専門チームである、登録制ボランティア「iER災害ボランティア」には2021年7月現在、171名の医師・看護師をはじめとするボランティアが登録しています。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

また、国際看護師研修出身の看護師約260名をはじめ、海外事業地(カンボジア・ミャンマー・ラオス)への医療活動へ参加した医療者・非医療者のボランティア約5000名とのネットワークを活用し、災害医療支援にアプローチします。
海外事業地では平時より医療活動を共にする現地人医療者(医師・看護師)が約50名在籍しているため、国外出動の現場においてもボランティアと協同し、円滑かつ適切な支援を届けることが可能です。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

国内災害へのアプローチ

1)都道府県・自治体との協定

災害時に、円滑かつ迅速な被災地活動を実施する上で、関係先自治体との平時からの連携が大切です。
災害時には災害対策本部や保健医療調整本部、災害派遣医療チームDMAT(Disaster Medical Assistance Team)、日本赤十字社、医師会・看護協会などの様々な関係組織との情報共有のもと、現場活動を行います。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート
自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

■佐賀県「佐賀県及び公益財団法人佐賀未来創造基金と進出協定」
2020年11月、ジャパンハートは災害時の医療支援体制を強化するために佐賀県と進出協定を結びました。協定締結にともない、佐賀県をハブとした災害支援体制の強化、新型コロナウィルス感染症対策および医療従事者のグローバル人材育成のため、佐賀県内に新事務所を設置しました。
今回の協定締結により、CSO(Civil Society Organizations市民社会組織)活動に積極的な佐賀県との連携を強化し、佐賀県はじめ九州方面の災害支援団体との積極的対話機会を樹立します。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

■熊本県「大規模災害時等における支援活動に関する協定」
2021年3月、ジャパンハートは、熊本県での災害発生時等の医療救護活動において、自治体との連携をさらに推進していくことを目的とし、2021年3月8日に熊本県と「大規模災害時等における支援活動に関する協定」を締結いたしました。
熊本県では、2016年の熊本地震や2020年7月の豪雨時、県内の避難所にてジャパンハートのボランティアを派遣し、支援を実施して参りました。
また2020年以降は、新型コロナウイルス感染症のクラスター発生施設に対して医療チームの派遣を全国的に実施する中、熊本県内の福祉施設3か所および医療機関1か所にて医療支援活動に従事いたしました。
今回の協定締結により、ジャパンハートは熊本県での大規模災害や感染症拡大等の有事において、医療福祉機関および避難所等への医療支援および衛生管理等の支援活動を熊本県と共により円滑に実施することが可能になります。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

過去の出動事例 1

2020年7月、熊本県内を中心に九州全域において7/3から7/31までの間続いた豪雨災害。
線状降水帯が熊本県付近に形成・停滞したことから、7/4には、熊本県内では6時間で450~500ミリを超える記録的な大雨となり、死者・行方不明者67人、家屋全壊1489棟、半壊3097棟などの甚大な被害をもたらした。
ジャパンハートは7月7日より医療チームを派遣し、熊本県八代市及び人吉市の避難所計3ヶ所で約2ヶ月間継続支援を実施しました。

プロジェクト名:令和2年7月豪雨緊急救援
実施地域:熊本県 八代市 人吉市
実施期間:2020年7月7日〜9月3日
実施内容:ニーズ調査、避難所における救護活動、医療支援、被災者の健康管理、感染症対策

支援の様子

新型コロナウイルス感染症対策の影響により、県外からのボランティア受け入れが平常時のように円滑に進まず、実際に避難所のひとつでは支援者の陽性が判明したことで大規模な消毒活動が余儀なくされるケースもありました。保健師の方々が通常の地域巡回に集中できるよう、ジャパンハートの業務は避難者の方々に対する健康管理が中心となりました。避難所内で発熱者が出た場合、隔離スペースで経過観察を行いますが、ある患者さんが「もしコロナに感染していたら、子供が学校で虐められるかもしれない、もう街にはいられない」と泣いておられました。私たちの想像以上に感染症に対する意識は地域によって異なります。地域の方々のストレスとならないよう、ジャパンハートもPCR検査の実施やチームの入れ替え制限など、被災者心理に細心の注意を払いながら活動を行いました。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

過去の出動事例 2

2016年4月、最大震度M7.3の地震が発生。余震の恐怖に多くの人々が身を寄せ合う避難所をめぐり、巡回診療を実施しました。
2016年4月14日夜間に発生した大きな前震(M6.5)の後、16日深夜に本震(M7.3)を経験すると言う、過去例を見ない災害に見舞われた熊本地震。
インフラの寸断や家屋の倒壊に加え、避難生活中の災害関連死なども大きな課題になりました。そのような中、ジャパンハートは20日に先遣隊を派遣、熊本市南区の医療巡回支援と南阿蘇の福祉避難所支援を行いました。

プロジェクト名:2016年熊本地震緊急救援
実施地域:熊本県 熊本市南区、南阿蘇郡南阿蘇村
実施期間:2016年4月20日~5月10日
実施内容:被害状況・ニーズ調査、避難所巡回診療、福祉避難所医療支援(地域行政へのリンク支援含む)

支援の様子

ジャパンハート支援者さまからの情報提供により、熊本市南区に入り、調査活動を開始。
熊本市南区の医療対策本部に入り、医療救護班として避難所の医療巡回支援を行いました。その一方で、南阿蘇の老人介護施設に要介護避難者受け入れの要請が多数発生し、困窮している、と言う情報を受け、現地視察。自分たちの力で脆弱な高齢者を守る福祉避難所を申請した施設の要望にこたえ、看護師チームを派遣しました。
この支援では、日本の災害管理の課題も見直す機会になったと同時に、「我々は誰の支援者であるべきか」と言う事を考える貴重な経験になりました。

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

過去の出動事例 2

2011年3月11日、東日本大震災が発生。ジャパンハートが派遣したボランティアの数は450名を超えました。

支援の概要

2011年3月11日、岩手県、宮城県、福島県に未曽有の被害をもたらした大地震、東日本大震災が発生。地震に次いで、三陸大津波と福島原発事故によりその被害は拡大しました。
3月17日に被災地へ入り、全国から医師・看護師、一般ボランティアを募り、ジャパンハートとして国内初の緊急医療支援活動を行いました。派遣したボランティアの数は450名を超えました。

プロジェクト名:東日本大震災緊急支援
実施地域:宮城県気仙沼市本吉町、本吉郡南三陸町戸倉、登米市米山町、仙台市宮城野区、石巻市雄勝町大須・渡波・桃生町・広渕字町
実施期間:3/17~6月初旬
実施内容:避難所の巡回診療、医療物資の運搬、被災者の心のケア、ボランティアの派遣等

支援の様子

活動開始から数年、現地の病院で現地医療者と共にジャパンハートが手術活動を行うことで、病院の医療者のスキルや医療に対する考え方も向上してきています。近隣住民からの信頼も回復し、少なかった病院の患者数は年々増えています

自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート自然災害発生時の災害医療支援 ジャパンハート

国外災害へのアプローチ

1)事業3カ国との出動体制

サイクロンによる被害を含む大規模災害発生の脅威に晒されるミャンマーでは、過去にも幾度となく災害医療支援を実施してきました。
事業3ヵ国(ミャンマー・ラオス・カンボジア)では、日頃より、医療活動を共にする現地人医療者(医師・看護師)が約50名在籍している他、カンボジアでは病院を運営しているため、災害時の拠点として、円滑かつ適切な医療を提供することが可能です。
また、各国保健省をはじめ、ミャンマーでは社会福祉・救済復興省との平時から連携を深めております。今後は更なる出動体制強化を見据え、赤十字社等、外部団体との合同訓練等を計画しています。

2)カウンターパートとのネットワーク

事業3ヵ国をはじめ、ASEAN諸国への災害出動にも関わってきました。
ASEAN諸国での大規模災害発生時には現地のカウンターパートの存在が大切です。現地のカウンターパートに正確な現地の情報を速やかに提供してもらい、本当に必要とされている支援とは何か、実現可能な支援とは何かを協議し、限られた時間で正確な判断をします。
ジャパンハートは、インドネシア・フィリピンではカウンターパートと協同での災害出動を行なってきました。タイとも連携を深め、今後のASEAN諸国での出動体制強化を行なっています。

過去の出動事例 1

2020年10月、台風ナンカの発生に伴い、13日から16日にかけてベトナム・ラオス・カンボジアなど東南アジア各地で断続的な大雨に見舞われました。
この影響で複数の州で洪水が発生し、カンボジア国内だけでも20万人以上が被災し、4万8000世帯が被害を受けているといわれ死者数は25名(大人18名、こども7名)になりました。
ジャパンハートは、10月24日から27日までの4日間洪水被害のあった被災地のうちポーサット州Svay Dong Kev地区へ緊急医療支援活動を行いました。
診療を受ける患者が訴える症状として、主に下痢、便秘、風邪、腹痛、吐き気など洪水による影響があると考えらえる症状のものが多いほか、不安感で夜眠れないなど精神的にも影響を与えていることがわかりました。
また、この地区にはこれまで外国の医療系NGOが入ったことがないということもあり、洪水に関連する病気以外でも慢性的な疾患で診察に訪れる人が後を絶ちませんでした。今回は4日間で小学校・売店前・お寺など6か所の活動地を回り、488名の住民に向けて診療活動を実施しました。


過去の出動事例 2

2018年9月28日にインドネシアのスラウェシ島中部スラウェシ州ドンガラ県・パルの北78kmを震央として発生した地震災害。
世界でも例にない大規模な液状化現象による大規模な被害が発生し津波災害も併災となりました。
ジャパンハートは、10月9日から看護師およびコーディネーターによる初動チームを被災地へ派遣し、3月31日までの144日間支援活動を実施しました。
避難生活を余儀なくされているパル市、シギ地区、ドンガラ地区の住民に対して、巡回診療を中心とした医療支援活動を実施し、10ヶ所の拠点にて770名への診療を行いました。その後、被災者の生活基盤再建のため、物資配布、仮設住宅資材配布の支援を行い、144日間の支援活動を行いました。


過去の出動事例 3

2015年7月26日にベンガル湾で発生した台風は、ミャンマー北部に集中的な豪雨をもたらし、洪水が発生しました。SNSの普及により被害情報が国外へ拡散、支援の手が入るようになったとされています。
広域被害をもたらしたこの洪水ですが、ジャパンハートは被害が大きいと報告があったザガイン管区とマグエ管区に調査チームを派遣し、緊急医療支援を行いました。また、被害は南部にまで及び、エーヤワディー地方からの直接支援の要請を受け、そちらにも医師・看護師を派遣しました。
ジャパンハートの支援国と言うこともあり、調査には現地人スタッフが活躍してくれました。洪水は被害が広く、被害やニーズの把握には体系的な介入が必要となります。また、今回は報道で大きく名前の出た地域はすでに洪水の被害からは脱しており、被害者のかたが直接事務所に窮状を訴えに来て下さった経緯でニーズにこたえることが出来ました。
支援に入ったワッチェの看護師によると「水の中で怪我をしたり、蛇にかまれた人が診察を受けに来た」とのことでした。その他、水で孤立状態になりお薬を買いにいけなく具合の悪くなった人や上気道炎などの感染症もいました。
今後もミャンマーにおいては、洪水支援を想定に要れ、的確な情報収集とロジスティックスを確立し、出来るだけニーズの高い地域に入れるようにしたいと思います。


「国際緊急救援(iER)」に寄付をする

私たちが取り組む社会課題の解決にぜひあなたも一緒に参画してください。

「国際緊急救援(iER)」に寄付をする
PAGE TOP