活動レポート

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【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

up 2025.05.30

三度目のミャンマーへ ― 再開した空港から被災地へ

ミャンマー中部で発生した大地震発災時より活動する現地医療チームの後方支援を目的とした災害緊急支援の派遣要請を受け、4月15日よりミャンマー入りしました。私は2009年に長期国際看護師研修(現メディカルチーム)に参加し初めてミャンマーへ渡航しました。その後2019年に短期ボランティアに参加し今回は3回目の訪問です。ジャパンハートでの災害医療活動は2011年の東日本大震災緊急支援以来となりました。

到着の数日前にマンダレー空港が再開した知らせを受け、活動時間の確保を優先するためこれまでの陸路移動を変更しヤンゴンからマンダレーまでは空路、そこからは陸路でザガインへ入りました。発災から約半月が経過し災害フェーズは亜急性期へ。私はモバイル診療チームの後発隊としてミャンマー人スタッフの活動をサポートする役割を担い、2カ所でのモバイル診療および物資配布支援活動を行いました。

患者さんの声と症状から見えた被災の現実

【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

今回5日間のモバイル診療では合計222名の診療を行いました。

モバイル診療では診療開始と同時に「ここで診察が受けられると聞きました」と患者さんの列ができます。スムーズかつ安全に診察が進むよう動線の確保、バイタルサイン測定、主訴や内服薬の確認、治療の優先性の検討と診察順番の調整、待機中の患者さんが安心して待つことができるよう継続した状態観察、検査対応などをミャンマー人スタッフと共に実施しました。

地震による損壊で医療機関や薬局がクローズしている、移動手段や時間がない、資金面などから医療へのアクセスが困難となり、更には食生活の変化や過度な緊張状態が続くことによるストレス侵襲など様々な影響により血圧や血糖コントロール不良状態が認められたり、頭痛や倦怠感を訴える患者さんや感冒症状、消化器症状、皮膚症状も多く、発災時に受傷した創傷部位の診察、転倒後数週間の体動困難といった外傷患者さんなど、診察は多岐に渡りました。

診察まで1時間以上待つこともありましたが「大変な中で診察に来て頂き本当にありがたい」と多くの患者さんが話して下さいました。

【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

エコーで赤ちゃんの命を確認 ― 妊婦さんとの出会い

【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

なおモバイル診療には出産を控えた妊婦さんも数名受診されました。どうやらエコーで診てもらえるらしいという噂を聞いたそうです。「地震のあと赤ちゃんの状態がどうなのかわからなくて。エコーで見て頂く事はできますか?赤ちゃんが元気なのか、それだけが知りたいんです」と。

赤ちゃんの心臓の拍動をエコー画面で見て安堵した様子でした。お腹のなかで元気に動く赤ちゃんの姿とホッとしたお母さんの表情は災害医療活動の中のほんの一瞬ですがとてもあたたかい瞬間でした。

命と暮らしを支えるために ― 村での物資配布支援

【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

今回の活動ではワッチェ村近郊にある3か所へ2回目の物資配布に同行しました。ジャパンハートは発災直後からニーズ調査を行った上で物資配布をしており、こちらの3か所の村は前回、まもなく迎える雨季への備えとしてビニールシートなどを中心にお届けしていました。

今回もニーズ調査から検討し食糧と蚊帳の配布を行いました。当日はそれぞれの村の人たちと協力して準備し、一人ずつまたは一家族分ずつを手渡しで直接配布して片付け、同時にヒアリングを行いながら3か所を巡りました。

【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

「とにかく先が見えない不安があります」「村でも食料を買うことはできますが価格が高騰しているので買えません」「子ども達にお菓子を食べたいと言われても買ってあげられない。今回のような食べるものの支援はとてもありがたいです」と切実な想いを話して下さいました。物資配布はお困りごとや必要としている物などの情報収集、実際の声を直接聴く事ができる重要な機会です。依然続く余震への不安や恐怖から夜間は屋外に蚊帳をはって休むなど外で過ごされるご家庭も多い状況でした。前回の物資配布後、例年より早く強い雨が続いた地域もあり、村の方からは「ビニールシートを頂けたのは本当に助かりました」といった声を伺うことができました。今回の活動を通して「寄付の先」を見ることができたと感じています。

ミャンマーの人々のやさしさに支えられて

活動はまもなく雨季に入る時期でしたので強い日差しと暑さの中でしたが、物資配布中に誰かがそっと自分の帽子を私に被せてくれました。

またモバイル診療の時、診察の順番が近づくとお名前を呼んで次席まで来て頂いていたのですが、待っている他の患者さんたちも一緒に名前を呼んで助けてくれました。

活動中には何度も「セアマ(看護師さん)は大丈夫?」と私たち日本人の事を心配し気にかけてくれました。

以前と変わらないミャンマーの人たちのあたたかさ、心の豊かさに触れ、私自身が力をもらっていました。

【ミャンマー地震】被災した人々の切実な想いと、私たちにかけてくれた言葉

再会とこれから ― 変わらぬ思いと未来への誓い

今回、2009年当時に一緒に過ごしたミャンマー人スタッフ達とも再会し活動を共にしました。発災時は本当に怖かったと思います。それでも自分たちにできることを常に考え役割を発揮し全うするその姿には心が熱くなりました。

今改めて活動を振り返ると、安全に活動できるよう出発前から帰国まで様々なサポートを頂く中でもっとできることはあった、もっとこうすればよかったという想いは尽きません。私にとってかけがえのない大切な、大好きなミャンマー。現地に行った事で今後も継続した支援が必要であると痛感しています。発災からまもなく2か月。これからも「自分にできること」を考え、取り組み続けていきたいと思います。

救急看護認定看護師 印東真奈美

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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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