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【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】「生活を取り戻すための一歩を一緒に」 〜能登で始まったリハビリ訪問支援〜

up 2025.06.10

ジャパンハート災害支援・対策セクションの作業療法士、田中です。
今回は、能登で新たに始まった「リハビリ訪問」の取り組みについてご報告します。

なぜ災害現場にリハビリが必要なのか

災害支援や対策の現場においてなぜリハビリが必要なのか、作業療法士として何ができるのか、現場においてもまだまだ認知されておらず、一般には何をやっているのだろうと思われる方も少なくないと思います。
わたし自身も4月に入職したばかりでこれまで災害フェーズの超急性期~亜急性期の現場を経験したことはなく、発災時に何ができるのか、スタッフや周りの方のアドバイスを聞きながら、能登の方と関わりながら日々模索しているところです。

リハビリは「身体」だけでなく「生活」を支えるもの

よくリハビリというと怪我をしたり病気になったりした後の身体機能の回復や運動といったイメージを持っている方が多いと思います。もちろんこういったことも大切なリハビリのひとつです。

しかし被災された方の中には、怪我をしたり病気になったりした訳ではないけれども、トイレへ行く、買い物へ行く、畑仕事をする、友達とおしゃべりをするなど当たり前にあった生活が、突然の災害を機に失われてしまったという方もいらっしゃいます。

すべてを今までどおりにというのは難しいけれど、生活動線を見直す、動きやすいような福祉用具を使う、畑までどうやったら安全に行けるのか考えるなど何が問題となっているのかを評価し、ひとりひとりに合った方法を一緒に考えて行くことで少しでも生活が変えられる、これもリハビリのひとつだと考えます。

月に一度のサロン活動から、リハビリ訪問へ

現在ジャパンハートでは能登への中長期的な支援として月に一度のサロン活動を行っていますが、その一環として新たにリハビリ訪問を開始しました。今回はその様子をお伝えしたいと思います。

リハビリ訪問を始めたのが4月、雪が解け少し暖かくなり、散歩や畑仕事を再開する方もちらほらお見かけしました。一方で冬の間体調を崩し入院していた方、外に出られなかったことで体力や歩行能力が低下した方もたくさんいらっしゃると伺いました。この地域に限らず冬にはよくあることですが、仮設住宅に入り生活環境が変わったために例年とは違った冬の過ごし方を余儀なくされているといった状況を目の当たりにすると、一年以上経つ中でも地震が健康状態に影響を与えているというのを改めて感じます。

ご家族と一緒に模索する日々の工夫

今回訪問させていただいた中のお一人は入院中に体力が低下し、自分で起き上がることが難しくなった方、初めて介護用のベッドを使うことになりご家族が試行錯誤しながら食事をしているとお話しされました。

【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】「生活を取り戻すための一歩を一緒に」 〜能登で始まったリハビリ訪問支援〜

リハビリで訪問するお宅は1Kの部屋に二人で居住されている方が多く、介護用のベッドを置くと介護者は寝るスペースを確保することもままなりません。ベッドから離れて生活を行うという離床をさせてあげたくてもできない仮設住宅の環境が、体力低下を助長させてしまっている一因であると感じます。

ベッドの使い方や家での過ごし方などお伝えし、思っているよりも動ける姿を見てご家族の方も安心したご様子でした。久しぶりに座り、はっきりとした大きな声でお話された姿が印象に残っています。デイサービスにも通うことになっており、これから少しずつお元気になっていくのが楽しみです。

【能登半島地震 災害支援・対策(iER)】「生活を取り戻すための一歩を一緒に」 〜能登で始まったリハビリ訪問支援〜

小さな変化が、大きな希望につながるように

リハビリ訪問では、「限られた住環境の中で、どう生活を工夫できるか?」を一緒に考えていきます。

被災したその瞬間からこれまでの生活が一変し、避難所やご親族宅での避難生活を経て仮設住宅へと入居された方たち。心身の健康状態だけでなく、物理的な環境・社会的な環境、そして家族や友人など人とのつながりが変化していく中でも、日々の生活は続いています。

その中で困っていること、できなくなっていることがひとつでも解消し、日常生活のささいなことでも選択肢を拡げるお手伝いができたらと思いながら活動を続けています。そしてその選択肢が拡がること、自分で選択することができるようになっていくことで、能登のみなさんお一人お一人の人生がよりよいものになっていくよう願っています。

ジャパンハートが行った能登半島における支援

ジャパンハートでは能登半島地震の緊急救援活動として、2024年1月4日から4月20日までの間に避難所と診療所への看護師常駐、輪島市門前地域の避難所巡回診療を行ってまいりました。
現在は、地域の保健士さんと連携し、仮設住宅に入居されている方々のコミュニティづくりの促進や潜在的な健康問題(医療、介護、福祉面)の拾い上げを目的とした短期イベント(サロン活動)を定期的に実施しています。
サロン活動の裨益者数が2025年1月にはのべ1000名を超えました。
引き続き実施して参りますのでご興味がありましたらお問い合わせください。

令和6年能登半島地震 緊急支援活動のご寄付について

皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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