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カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を
up 2021.01.07

明けましておめでとうございます!カンボジア栄養管理部の川合菜月です。

栄養管理部では、昨年の春より献立作成を開始し、カンボジア料理だけでなく中華やベトナム料理も織り交ぜながら、様々な食事を提供しています。
そんな献立が、開始から9カ月を経てたくさん溜まってきたこと、そして私も同期間を経て、カンボジアの食材や食文化への理解が深まったことを踏まえ、この度栄養価計算と献立改善に取り組みました。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

前回もお話しさせていただきましたが、カンボジアには栄養を考えて料理を作る、といった意識や習慣がまだまだありません。

例えば、先進国であれば、その国の過去数十年の国民栄養調査などを元に、栄養摂取基準があり、食事バランスガイドがあり、一般の人に届きやすい栄養情報があり、栄養士は食品成分表を元に適切な食事を提供することができます。

クメール語で発信される栄養の情報がほとんどないこの国で、どうやって“栄養バランスの良い”献立基準を作ればよいのか。栄養成分のわからない食材が日々センターに届く中、まず意識したのはPFCバランス(タンパク質、脂質、炭水化物のバランス)とFood Diversity(食品の多様性)でした。

子どもたちは、スープに白米を入れて食べることが多く、大人も大量の白米と少量のおかずを食べています。“白米を食べるために塩辛いおかずを少量”といった形で、たんぱく摂取量が少ないのが現状です。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

そんな食べ方でも、少しでも多くの栄養を採ってもらいたく、給食ではスープにもおかずにも、たんぱく源を多めに入れるようにしてきました。分析の結果、子どもたちの給食のPFCバランスはきれいな三角形を描いていました。

また、Food Diversity(食品の多様性)は近年途上国の栄養改善の中で注目されている点。カロリーを満たす食事はとれている一方、そのバランスが悪いために、過体重や微量栄養素欠乏が増えているという現状が背景にあります。カンボジア料理で定番の葉物野菜、豚肉、川魚…といった食材だけでなく、きのこ、海藻、豆類、など様々な食品グループの食材を使った献立になるように工夫してきました。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

ちなみに、私たちの活動地、カンボジアのカンダール州の地域住民(女性)を対象にカナダの大学が行った調査では、この地域のほとんど全ての人は、1日に必要な鉄分の半分量も取れていません。また、途上国でよく欠乏が見られるビタミンAも、7割強が不足しているとのこと。
上記2点を意識して提供を続けてきた結果、私たちの給食センターの食事にこれら2つの栄養素の大きな不足は見られませんでした。ただ、一方で見えてきたのは、子どもの成長に特に重要なカルシウムやビタミンDは足りていない日が多いということでした。

そこで今回の献立改善にあたり、基準として新たに盛り込んだのは以下3点です。
①1日当たり、カンボジア食事バランスガイドのすべての食品グループを含むこと
②1日5種以上の野菜と果物を使用すること
③1食あたり、途上国基準で用いられるMinimum Dietary Diversity(最低限の食品多様性)で指定されている7 food groupのうち4種類以上を使用すること

これであれば、カンボジア人スタッフたちも自分で考えて実践しやすいかな?という期待も込めています。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

カルシウムが少なかった理由の一つでもありますが、乳製品のグループは身近ではありません。カンボジアの田舎には乳製品が少なく、給食センターのスタッフはチーズやヨーグルトなどは知りません。牛乳も新鮮な生乳はなく、加工されて隣国から輸入されたものばかり。カルシウムの補完には、トンレサップ湖で採れる小エビや小魚などを用い、日々の食事にこっそり、たっぷりと加えていきたいと思っています。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

今月中に、新しい献立での提供を試験的に始める予定です。「この料理は夜には食べない」「このおかずとスープの組み合わせは違う」など、きっとカンボジア人からたくさん意見が出てくると思います。そんな学びや発見は、栄養士として異国で働く面白さの一つでもあり、どんどん取り入れて改善に繋げ、より良い栄養献立を作っていきたいです。

ちなみに離乳期の子どもたちの補完食には、給食とは別にBobor Khap Krop Kroeungと呼ばれる栄養たっぷりのカンボジアのおかゆを出しています。レシピはオリジナルで、食べやすい味に仕上げて提供しています。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

また、日本人とカンボジア人では、味覚も大きく異なるので、どちらにも喜んでもらえるよう(もちろんカンボジア料理ですが…)組み合わせには工夫していきたいと考えています。短期で来てくださる方にもカンボジアを感じてもらえるよう、献立は日本語でも説明しているので、お越しの際はぜひ食べてみてください!

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

私たちの食事は、一食当たりの食材費は75円程。これは、地域のレストランと同じ食事単価になっています。
身近にある食材、手に届く値段で栄養のある給食を提供することで、できるだけ多くの食材に触れ、家に帰ってもこの味を思い出してもらえるように。
あくまでもカンボジアの調理法や味付けを大切にしながら、自身を持って提供できる献立作りを進めています。

ここでの食事が、子どもたちの笑顔と、将来の健康に繋がることを願っています。

カンボジアの食材で、栄養たっぷりの給食提供を ジャパンハート

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栄養管理部 川合

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部

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