活動レポート

← 活動レポート:トップへもどる

【カンボジア新病院】子どもたちの笑顔を未来へつなぐ ーシーパン医師、新病院に込める願いー

up 2025.10.13

小児外科医として数多くの子どもたちの命と真剣に向き合ってきたシーパン医師。ジャパンハートに加わってから、まもなく9年の節目を迎えます。その間に出会った子どもたちや経験のひとつひとつが、彼の医師としての歩みを形づくってきました。

そして今、新病院の開院まで残すところ1か月。今回のインタビューでは、小児外科医を志したきっかけや、これまでの歩みを支えてきた原動力、そして新しく開院する病院に込める思いについて語ってくれました。その答えには、子どもたちへの深い思いと、新しい病院への大きな願いが込められていました。

これまでのシーパン医師へのインタビューも、ぜひあわせてご覧ください。
https://www.japanheart.org/reports/reports-cambodia/staff-interview-200716.html

ジャパンハート カンボジア 新病院 小児 医療

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Q:小児外科医を志したきっかけについて教えてください。

私は、小さな手術であっても大きな手術であっても、子どもの命を救い、その人生をより良い方向へ導く力があると信じています。病気や障がいで苦しむ子どもたちに、新しい未来や可能性を与えることができる――その強い思いが、私を小児外科医の道へと進ませました。命に直接関わり、その子の人生を支えるという責任の大きさに惹かれ、この仕事こそが自分の使命だと感じています。

Q:大きな原動力となっている経験は何ですか?

これまでのキャリアの中で原動力となっているのは、がんを患った子どもを手術で助けることができた経験です。手術が無事に終わり、無事に回復していく姿を見守るなかで、小児科のチームやご家族と一緒に喜びを分かち合うことができました。そのときの子どもの笑顔は、今でも私の心に強く刻まれています。その瞬間は「この道を選んで本当に良かった」と思わせてくれるものであり、私が日々の医療活動を続ける大きな原動力となっています。

ジャパンハート カンボジア 新病院 小児 医療

Q:治療や手術において大切にしていることを教えてください。

私は、治療や手術を行う上で「安全」を何よりも優先しています。子どもは大人に比べて身体が小さく繊細であるため、手術においては一つひとつの判断や操作に高い正確性と細心の注意が求められます。その責任を常に意識しながら、一切の妥協をせずに取り組むことを心がけています。また、優れた医療は一人の力だけでは成り立ちません。チームで互いに支え合い、それぞれの専門性を活かしながら連携することで、子どもにとって最良の結果を導き出すことができると考えています。

Q:患者さんやご家族と接する際に最も大切にしていることは何ですか?

私は、入院するお子さんやご家族に「安心」と「信頼」を持っていただくことを大切にしています。治療は子ども本人だけでなく、ご家族にとっても大きな不安を伴います。そのため、まずは子どもの声に丁寧に耳を傾け、ご家族に対しても専門的なことをできる限りわかりやすい言葉で説明するよう心がけています。そして、治療の過程を一つひとつ確認しながら共に歩むことで、ご家族が治療を前向きに受け入れられるようサポートしています。また、精神的な支えを提供することも小児外科医としての重要な役割だと考えており、医療と心のケアの両面から寄り添うことを常に意識しています。

Q:新しい病院を通じて、地域や社会にどのように貢献したいですか?

新しい病院では、各地から訪れる子どもたちに、質の高い医療と外科治療を提供したいと考えています。医療は単に病気を治すだけでなく、子どもたちが将来に向かって力強く歩み出せるよう支えるものでもあります。そのために、臨床だけでなく、これまで培ってきた知識や経験を積極的に共有し、若手医療者の育成にも力を注ぎたいと考えています。また、研究や学術活動を推進し、この病院が「治療の場」であると同時に「学びと研修の拠点」となるよう尽力していきたいと思います。

ジャパンハート カンボジア 新病院 小児 医療

Q:新病院で将来的に実現したい目標や夢について教えてください。

私の目標は、この新病院を国内で広く信頼される小児専門病院へと成長させることです。患者さんやご家族が遠くまで移動することなく、安心して高度な医療を受けられる環境を整えたいと願っています。さらに、病院を訪れた子どもたちが、治療を通じて健康を取り戻し、笑顔で日常生活へと戻っていく姿を見届けられることが、私にとって何よりの喜びです。そのために、この新病院を「明るく温かい場所」とし、子どもやご家族にとって居心地が良く、希望を感じられる空間にしていきたいと考えています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ジャパンハート カンボジア 新病院 小児 医療

9年にわたる経験を糧に、シーパン医師は新病院でさらなる挑戦を始めようとしています。子どもたちとご家族に寄り添いながら、安全で質の高い医療を提供し、学びの拠点として未来の医療者を育てる――その歩みは、これからも続いていきます。これからこの病院を訪れる一人ひとりの子どもたちが、安心して治療を受け、再び笑顔で日常へ戻れるように。シーパン医師の挑戦は、誰かの人生を変える力となっていきます。

カンボジアスタッフ 髙橋明日香

 

▼プロジェクトの詳細はこちらから
カンボジア ジャパンハートアジア小児医療センター

Share /
PAGE TOP