活動レポート

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カンボジア手術室で活躍するスタッフ インタビューVol.1 ドクター・シーパン

up 2020.07.16

今回はカンボジア人リーダー医師シーパン(Dr. Siphan)の紹介です。

Dr. Siphanは当院で最初に勤務したカンボジア人医師3人のうちの1人です。働き始めて3年半が過ぎ、沢山の手術や症例を経験して、今では小児科・外科医として幅広い役割を果たせるようになりました。また、温厚な性格から、患者や看護師、後輩医師からの信頼も厚いです。カンボジア人医師のリーダーとして、今後のさらなる活躍が期待されます。
- 神白 麻衣子医師より -

カンボジア手術室で活躍するスタッフ インタビューVol.1  ドクター・シーパン

生い立ち

私はシェムリアップで生まれ、4人兄弟の中で育ちました。父は警察官でしたが転職し、日本の組織で橋を造ったり、アンコールワットの遺跡の修復をする仕事をしていました。幼いころに家族で日本のテレビ番組の取材を受けたこともあります。そこで日本に興味を持ちました。

医師を志したきっかけ

小さいころ私は身体が弱く、腸チフスやデング熱などの病気によくかかっていました。両親は、私は長くは生きられないと語っていたそうです。だから小さいころから医者になると決めていました。そして同じ境遇の子どもを救いたいと思いました。
地元の高校を卒業した後は、プノンペンにある大学の医学部に進学しました。勉強は全てが新しくて、楽しくて、さらに医師になりたい気持ちが強くなりました。故郷をはなれ、プノンペンでの生活も楽しみました。

カンボジア手術室で活躍するスタッフ インタビューVol.1  ドクター・シーパン

【幼少期、学生時代】

ジャパンハートとの出会い

大学卒業後は、ヨーロッパやシンガポールなどの医療のNGO組織で短期間のボランティアをしていました。私はクリスチャンなのですが、以前からボランティア活動に興味がありました。就職は政府の病院を考えましたが、インターネットでジャパンハートを見つけ、興味を持ち、応募しました。2016年のジャパンハートこども医療センターが開院した時に仕事を始めました。私にとっての初めての職場は、とてもエキサイティングでした。当時は院長で医師の神白と石田と3人の現地人医師でした。ヘルニアや甲状腺、婦人科疾患の手術に参加して、毎日楽しかったです。沢山の事が学べて面白かったし、一つの家でする共同生活も家族みたいで楽しかったです。最初、吉岡のことを怖いと思っていましたが、色んなことを教えてくれ、今は一緒に手術に入ることが嬉しく、感謝しています。

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【日本の医師達と】

カンボジアと日本の違い

病院で驚いたことは、カンボジアでは当時、どんな傷でもイソジンで洗っていました。日本人にそんなに使わなくていいと言われケアを変えていったこともあります。また生活面では、朝早く起きたたりラジオ体操したり掃除をしたり、驚きました。病院内の掃除も、普通は清掃員が行うものを、ここではみんなが協力して行います。今では当たりまえになっていますが、自分たちが普段使う場所なので、良い習慣だと思います。

日本との交流

沢山の日本人と働けて楽しいです。長期・短期のボランティアの皆さんと関われることが嬉しいです。色んなテクニックを身に着けることが出来ますし、色んな発見があります。若い医師からベテランの医師まで、今まで沢山の医師と交流することができました。一緒に勉強会をしたり飲みに行ったり、いつも楽しいです。寮では遅くまで、日本人医師や看護師研修生が勉強しているのをよく見ており、自分の刺激になっています。
           
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【神白医師の誕生日】

小児がん治療がはじまって

小児がんの手術ができることを聞いてすごく嬉しかったのを覚えています。小児科医の嘉数が来て、小児がんの治療をいつも見ていて、この病院で手術できることが嬉しくて、夢がかなったと感じました。
最初の小児がんの手術ミッションでは何もできなかったです。長時間ですし、参加することに緊張しました。しかし、今では少しはできる事も増えました。同じ疾患でも、各チームの違うテクニックを見る事ができ良いと思っています。多くの手術は政府の病院で見たことがありますが、小児がんの手術は今まで見たことがありませんでした。カンボジアでも行っているところは少ないので、手術に参加するチャンスがあって嬉しいですし、驚きが多いです。特別な感じがしています。日本のエキスパートの先生は丁寧だし、親切によく教えてくれ、皆さんにとても感謝しています。

カンボジア手術室で活躍するスタッフ インタビューVol.1  ドクター・シーパン

カンボジア手術室で活躍するスタッフ インタビューVol.1  ドクター・シーパン

【日本の小児外科チームに加わる様子】

ライフスタイル

休みの日は、家族や友人、ガールフレンドと食事をしたり、リラックスして過ごします。プノンペンで過ごすことが多いです。エキサイティングな街です。たまに、街を離れて自然を楽しむこともあります。カンボジアには沢山の自然があり、多くの人が休日を過ごします。
また、スポーツするのが大好きです。よく仕事終わりに仲間とプレーします。いくら仕事で疲れても、仕事後にするスポーツは格別です。最近はバレーボールが流行っています。スポーツは日本人のボランティアと一緒に楽しむ事ができ、良い交流の場となっています。もちろん、新しい症例があるときなどは、勉強もします!

カンボジア手術室で活躍するスタッフ インタビューVol.1  ドクター・シーパン

【職種問わず、みんなでバレー!】

        

この病院が大きくなって嬉しいです。沢山の寄付で小児がんの手術もできるようなりました。吉岡や神白、嘉数の指導に感謝しています。そして今では自分が若いドクターに教える立場になっています。手術後に再発したりして、落ち込む時もあります。どうしてこうなったのか、何が足りなかったか考えることもあります。こういう経験や学んできたことを若手にシェアできる事はとても嬉しいです。そうして自分も成長しているのを感じています。今ではコロナの影響で手術が少ないため、日本から医師が来ることが出来ない分、自分の出番だと思っています。この国の、特に貧しい人々のためにベストを尽くしたいです。夢は、執刀医として色んな症例、とくに小児がんの手術ができるようになることです。

メッセージ

私はこの病院が大好きです。今までに沢山の寄付をいただきました。必要な物も徐々に揃ってきて、治療の幅が広がっています。本当にありがとうございます。また、長期・短期ボランティアの皆さんが、協力してくださるのが嬉しいです。最初は小さかったですが、皆さんの協力でこの病院が大きくなったと思っています。今はコロナのため難しいですが、専門チームやボランティアの皆さんがまた来てくれることを願っています。また、一緒に活動しましょう。

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▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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