活動レポート

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【ミャンマー】混乱が続く中でも、高度な医療を届け続ける ーミャンマー専門医療プロジェクトー

up 2025.07.30

政情悪化や大震災によって混乱の続くミャンマー。
国内情勢もそうですが、医療現場も厳しい状況が続いています。

そんな中でもミャンマーの小児がんや心臓病で苦しむ子どもたちを1人でも多く救おうと、日本から小児外科や小児循環器の先生方がミャンマー国内の子ども病院に足を運んでくださっています。

専門医療プロジェクトの意義

7月初旬には、ヤンゴン市内の子ども専門病院に小児外科の田口智章医師(福岡医療短期大学学長)と林田信太郎医師(熊本労災病院)にお越しいただき、子どもの肝臓にできる悪性腫瘍である肝芽腫や、胆汁の通り道が閉塞して肝臓の組織が障害される胆道閉鎖症など、現地の医療者と共に12件もの手術を実施頂きました。

現地医療者と共に手術をする田口医師

【現地医療者と共に手術をする田口医師】

ミャンマーではクーデターから4年が経っても医療関係者の不服従運動は続いており、子ども専門病院でも小児外科医が足りず、病棟は全国から治療を求めてやって来た様々な病気の子どもたちで溢れています。

そのような中で先生方には難易度の高い手術の実施と共に、小児外科医を目指す現地の若手医療者たちへの講義や技術指導も行なって頂いています。

子ども専門病院の手術室内の様子

【子ども専門病院の手術室内の様子】

現地医療者に対する講義

【現地医療者に対する講義】

「難しい症例の治療方針を相談できるのでとても心強い。日本の医師たちの知識や手術技術は私たちにとっても、いつもとても勉強になる。自分たちだけではどうしようもない現実があって、そんな中でミャンマーをサポートしてもらえて本当に助かっている」と話すのは、現地の小児外科教授。

厳しい環境の中で奮闘する現地の医療者たちにとっても、良い刺激となっているようです。

クーデター前の小児生体肝移植によって救われた生命

また2019年3月にミャンマー初の小児生体肝移植の実施した際、田口先生には九州大学小児外科教授としてご尽力頂き、現在も半年ごとの田口先生のご来緬時には、肝移植後の患者さんたちのフォローアップも実施頂いています。今回も、田口先生が現地医療者と共に肝移植を実施してくださった3名の患者さんたちとも再会しました。

ミャッ・ポン・テッ君(7歳)は胆道閉鎖症という病気によって肝臓の状態が悪化し、肝移植でしか長く生きられない状態でした。ちょうど田口先生たちの協力によってミャンマーでの小児生体肝移植がスタートした時期とも重なり、2019年9月に1歳でお母さんからの生体肝移植手術を受けることができました。

肝移植前のミャッポンテッ君とお母さん

【肝移植前のミャッポンテッ君とお母さん(2019年3月)】

お母さんは「あの時に日本チームの皆さんがいなかったら、今の息子はいなかったはず。同じように肝臓移植でしか助からない病気で苦しんでいる子もたくさんいるので、みんな同じように助かるようになって欲しい」と。

ミャッポンテッくんとお母さんと田口先生

【ミャッポンテッくんとお母さんと田口先生】

私たちの目指すもの

残念ながらミャンマーの情勢の悪化やそれによる医療崩壊によって、現在、ミャンマー国内にて子どもに対する生体肝移植は中断しています。でも私たちはまだ諦めていません。
田口先生たちとも、一度は実現したミャンマーでの小児生体肝移植の再開を目指して、今も調整を続けています。

厳しい状況の中でも、それを乗り越えた先に笑顔に出会うため…
まずは目の前の生命を1つ1つ救うと共に、
現地の医療者の育成を行う事で、助かるはずの生命を救える未来を共に作っていく。
私たちの地道な挑戦は続いています。

手術後の患者さんを診察する林田医師

【手術後の患者さんを診察する林田医師】

▼プロジェクトの詳細はこちらから
ミャンマー 専門医療プロジェクト

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