活動レポート

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母を看ること、子を守ること-甲状腺疾患を抱える妊産婦さんへのケアを通して-

up 2023.06.28

ベビーラッシュのウドムサイからサバイディ!
今回の診療活動では赤ちゃん連れのお母さんが多く、ローカルスタッフと交代でお守りをしながらの診療活動でした。

甲状腺疾患は8割以上が女性と言われています。

妊娠をすると甲状腺ホルモンは1.5倍ほど必要になります。これは胎盤を通して胎児の知能を含めた身体発育に必要不可欠な働きをするからです。

甲状腺ホルモンが正常に分泌されないと、流産や早産のリスクが上がります。
また服用している薬によっては胎児に影響を及ぼし先天性疾患を発生させます。
出産後もホルモンバランスが崩れ症状が悪化することもありますし、お薬によっては母乳に移行するものもあり注意が必要です。
甲状腺疾患と妊娠はとても密接な繋がりがあるのです。

ラオスでは抱っこ紐が主流です

さて、ウドムサイで診察活動をしていると、お腹が大きな妊婦さんや赤ちゃんを連れた患者さんに出会います。
ラオス北部(ウドムサイ県のある地域)は甲状腺疾患の方が多いとされており、妊産婦の患者さんがいるのは当然のことかもしれません。
日本では、甲状腺疾患の種類によっては専門的な治療ができる施設でないと出産ができません。

しかし、ラオスでは甲状腺疾患に対する知識が低く、妊娠にどんな影響があるのか知らない人がほとんどですし、そこに対するケアも不足しています。
さらには自分の村で伝統療法のもと出産をしたり、妊娠中に一度も病院に来なかったりする人もいます。

私たちの診療を受診する妊娠可能な年代の女性には、甲状腺疾患があって妊娠する場合の注意事項について説明をするようにしています。
妊娠したら必ず伝えてほしいこと、薬使用の自己判断しないこと、大変だけど診察に来てほしいこと、出産をしたら連絡をしてほしいこと、などを伝えています。

「妊娠したよ」と電話をしてくれる患者さんも少しずつ増えています。

長期ボランティア助産師が以前作成した妊産婦さんへお渡ししているお手紙

診察活動のお話です。
お母さんが検査や診察を受けていると赤ちゃんを抱っこしていることができません。
そんな時は自然と他の患者さんやスタッフが赤ちゃんを抱っこし、あやしています。
ラオスの赤ちゃんは知らない人に抱っこされても人見知りせず笑顔!動じません!!

甲状腺疾患の症状は走ったあとのような状態が継続したり、倦怠感が強くなったりするなど、子育てに支障をきたすものが多くあります。
その症状を抱えながら子どもを連れて診察にくることは大変だと思います。
でもなぜでしょうか、患者さんは大変そうな素振りは見せず、「ボーペンニャン(問題ないよ)」と笑顔答えてくれます。

それはこの診察活動でも見られるように、みんなで子どもを育てる、という文化がしっかりあるのだと感じました。
とはいえ、穏やかなラオス人、大変なことを受け止めていることもしばしば・・・
症状が続けば決して楽ではないはずです。

ローカルスタッフも、薬の種類を覚え患者さんに寄り添います。英語が通じない患者さんが多いため、彼らの存在はこの活動の要です。

診療活動で私たちが症状を看て、安全な妊娠を継続し出産してもらえるようにすること、それがこの活動での看護師の大切な役割の1つだと感じています。

看護師は人を看ます。
その人の想いや生活を知り、家族も含めたその人を構成する大切なものを理解し、そして疾患や治療と共にどうやって生活をしていくのかを患者さんと一緒に考えます。

ウドムサイでの診療活動で看護師が1人の患者さんと関わるのは5分程度だと思います。
医師の診察前に問診をして、診察後に処方されたお薬をお渡しします。

ただ淡々と業務をこなす5分とするのか・・・
私たち看護師は医師のように直接治療はできません。だからこそ人を看ます。

妊娠出産期の患者さんに適切な医療が届かなかったら、そのお母さんは、その子どもはどうなるのか、家族はどんな思いを抱えるのでしょうか。
もちろん、妊産婦さんに限りませんし、男性の患者さんだって同様です。

全ての患者さんにより良い医療が届くよう、その結果生活の質が上がり、笑顔があふれる人生が過ごせるよう関わることが、大切なのではないかと感じています。
そしてその思いは非医療者スタッフも一緒です。彼らもできることを着実にしてくれています。

ラオスの美しい文化と風景が末長く続くような活動をしていきたい、と思った一場面を通しての報告でした。

ラオス事業部看護師 吉田

▼プロジェクトの詳細はこちらから
ラオス | 北部・ウドムサイ県での甲状腺疾患治療事業並びに技術移転活動

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