活動レポート

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新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

up 2020.10.16

国際緊急救援(iER) 現地統括をしている佐々木です。
令和2年7月豪雨災害からはじまったジャパンハートの緊急救援活動を通して経験したこと、感じたことをレポートします。

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地方でのクラスター発生は想像を絶するほど残酷でした。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

近隣からの風評被害、余儀なくされる家族の引っ越し、宿泊施設からの理不尽なキャンセル、ある職員は小学生の息子が学校内でターゲットにされ、家庭内での接触を控えるように指示されたとのことです。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

そもそも、私たちは令和2年7月豪雨災害を受け7月7日より熊本県での災害支援活動を行っていました。熊本県や各市町村、DMATや赤十字などの医療支援組織と連携を深める中、7月29日に熊本県からのクラスター支援への要請が入りました。

私たちは、災害支援チームとコロナ支援チームと2種類のチームに完全に分化させる形で対応し、その翌日30日より、熊本県山鹿市の介護老人保健施設太陽に現場入りし活動を開始することになりました。

施設の方々は事態収束に向け、残った職員でどうにか施設を回そうと翻弄していました。保健所、ジャパンハート、DMATが介入するという、普段とは大きく異なる環境の中、ただ一心に業務をこなすと同時に施設は感染制御という問題へも対処しなくてはなりませんでした。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

事態収束を目指して使命感を持って頑張っているのに、どうして周囲は冷ややかな目線を送り続けてしまうのでしょうか。

熊本県・沖縄県でのクラスター支援を実施させていただいたジャパンハートのメンバーは皆が感染症対策のプロフェッショナルというわけではありません。

メンバーは普段、ミャンマー・カンボジア・ラオスや日本の僻地離島で活動する看護師が中心でした。

このような私たちがクラスター現場を少しでもお役に立つことができるのか自信があるわけではありませんでした。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

しかし、大変な中にも関わらず現場の職員は私たちの支援を大きく歓迎してくださいました。

大変な最中だからこそ、たとえヨソモノであったとしても、何か心のよりどころにしていただけたのだとしたらとても光栄に思います。

私たちは、クラスター対策支援を通して、罹患した職員の方々の代わりとなって施設支援を行いました。

当時、夜勤職員の多くが自宅待機となってしまい、その日の夜間対応の人員不足が懸念される事例もありましたが、私たちは、昼夜間問わず、施設職員の方々に代わって活動に臨みました。

また、DMAT事務局や国立感染症研究所(NIID)と協同の上、感染指導やゾーニング整備、新規陽性者の施設車を用いた施設外搬送、搬送調整等に従事しました。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

このような活動を通して、微力でも患者さんだけでなく、そこで働く職員さんの「こころを救う」活動が行えたと感じております。

介護老人保健施設太陽での活動は、一定期間の新規陽性者発生がなくなり、施設職員復帰の目処が立ったことを受け8月15日にて活動を終了し次のコロナ支援に向かうことになりました。

その後、現場での事態の収束となった9月には株式会社フォーマルクライン様を通じ、支援活動先である介護老人保健施設の職員の皆様へ向け化粧品などをご支援させていただきました。

たとえクラスターが収束した後であっても、クラスター発生という事実ゆえ、当事者の方々には様々なご苦労が生じるかと思います。

収束後はかつて以上の施設の方々の復帰といっそうの立ち直しの一つのきっかけとなっていただければ幸いに思います。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

熊本での支援終了から続く形で、沖縄県からの要請を受け、8月15日から沖縄県コロナ対策本部クラスター班にて活動を開始しました。

クラスター班にて、当時特に外部支援を必要とされている病院への支援依頼を受け
翌日8月16日より糸満市のウェルネス西崎病院にて支援活動をさせていただきました。

当時、沖縄全体がコロナウイルスとの闘いを余儀なくされる中、沖縄県やDMAT事務局との連携を通して、県内でいち早く支援活動に繋げることができました。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

活動当初は院内のかなり逼迫した環境の中、ゾーニング(区域管理)の敷き直しから防護服着脱ルールの選定まで様々な課題に一つずつ、職員の方々と意思疎通を図りながら実施しました。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

また、県庁コロナ対策本部クラスター班として、逼迫した状況を打破するため、自衛隊や他県からの応援看護師の協力を経て、昼夜間問わず私たちは、連日灼熱の防護服を身に纏い、これ以上の感染を食い止めるべく活動を行いました。

現場に居合わせるメンバーはジャパンハートも自衛隊も他県からの応援看護師も、病院職員方も昨日まで他人同然だったはずなのに、収束という先を見つめ一心同体で団結しました。
過酷な毎日を闘い、日を追うごとに「収束」への光が見え始めました。そして、8月末をもって一区切りつけることが叶いました。

沖縄全土が大変な状況化に、地元の方々に必要とされ、必要な支援を届けられたのであればこの上ありません。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

また、とても喜ばしいことに、私たちの支援活動をはじめ、当団体の国内外で行っている活動に賛同していただき支援活動終了後、ウェルネス西崎病院様より多額のご寄付を賜りました。

私たちの「支援」が新しい「支援」を形成し、また次の「支援」に繋がる、私たちが本当に使命感をもって活動を行うことが実りとなったように感じ、心が震える瞬間となりました。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

今回の一連のコロナ支援を含めた緊急救援を通して、その地域だけでは対処できない緊急事態に対して少しでも地元の方々に寄り添いながら、「心を救う」支援を実施していくことが、私たちの大きな使命だと気付かされました。

新型コロナと向き合う緊急救援を通して / 熊本・沖縄での医療支援活動

支援活動終了の時、地元の看護師の方から「こんな大変な状況分かっていてわざわざ遠くから来てくれてありがとうね。もっと楽しい沖縄を味わってほしかったのにね」と言われました。

沖縄県をはじめ全世界でいち早くコロナが収束し、にぎやかで楽しい日々に戻ることを、心より願っております。

国際緊急救援(iER)
現地統括 佐々木 蓮

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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