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【災害支援・対策(iER)】能登半島地震 12月末おしゃべり喫茶 活動レポート

up 2026.01.02

2026年1月1日で、能登半島地震から2年が経ちました。
ジャパンハートは発災直後の2024年1月4日から4月20日まで避難所等8か所への常駐支援を展開した後、2024年6月からは仮設住宅集会所におけるサロン活動と訪問看護を開始し、2025年には訪問リハビリテーションや公民館での医師による健康チェック企画、そして中高生向けにはキャリア教育研修を実施するなど、これまでに様々な形で能登半島での支援活動を継続してきました。

特に「おしゃべり喫茶」と題して輪島市および能登町の計12地区で開催してきたサロン活動では、現在までの来場者がのべ1573名にのぼるなど、たくさんの方々にご参加いただきました。潜在的な健康障害の拾いあげと地域住民のコミュニティ再構築を目的として始めたおしゃべり喫茶ですが、最近では地域主体のサロンが再開しつつあることから、昨年12月から今年1月にかけて多くの地区で最終回を迎えます。

ジャパンハートが医療者によるおしゃべり喫茶を始めたきっかけは、保健師さんからの不安の声でした。「住民が仮設住宅に入居していくにあたり、課題を抱えた人たちがどんどん見えなくなっていく。孤立や災害関連死が起こっても気付けないのではないか」。他の支援団体が撤収していく中、医療団体として引き続きサポートできることはないだろうか。そう考え、月に一度の仮設住宅集会所でのサロン活動を開始しました。

ジャパンハート 災害支援 iER 能登半島地震

健康障害やうつ、災害関連死などのサインは、実は些細な日常会話の中に隠れていることが多くあります。住民さん達とエプロン姿で交流を深めながら、医療職だからこそサインを拾いあげ、地域保健師や診療医に早期から繋げていくことができました。また、単なる会話の場だけではなく、健康維持のためにセルフケアを高めるための啓発活動も力を入れて行っています。中でも災害後の生活環境の変化から増加しやすい高血圧については、啓発資料を活用して血圧自己測定や生活指導を行い、受診歴のない方には繰り返し受診勧奨を行いました。

避難先の大阪から帰宅されたAさんは、大阪の病院で処方されていた降圧剤を門前町に帰宅後通院できずに自己中断し、収縮期血圧が200mmhg近くまで上昇されていました。自覚症状がないためなかなか受診に繋がりませんでしたが、脳卒中など高血圧による病気のリスクを繰り返し伝え啓発を続けた結果、受診されて降圧薬開始となり、血圧が正常範囲に安定されました。他にも何人もの未受診だった方が受診されたり、食事や運動といった生活習慣を見直され、少しずつ健康意識が高まってきているのを実感しています。

ジャパンハート 災害支援 iER 能登半島地震

加えて、避難生活や仮設住宅への入所により地域コミュニティが断絶し、知り合いや頼れる人がいないことでの孤立や生きる活力の減退による災害関連死も大きな課題となっています。
おしゃべり喫茶に参加されたことで、「知らない方々と仲良くお話でき、新しい知り合いや友達ができた」「みんなの笑顔を見られて心が和らいだ」との声や、「昔の知り合いに久しぶりに再会してまた仲良くなれた」「別々の仮設住宅になってしまったのでいつもは逢えないが、ここに来ると逢う事ができて嬉しい」などの声をいただいています。
「人が復興を感じるのは家や道路が復旧した時ではなく、災害によって一度失われた人との繋がりをまた強く感じられた時。懐かしい再会や新たな出会い、外部支援者との繋がり。そういった人と人との繋がりを感じた時に、人は前に向かって生きていこうと力をもらえる」。お世話になっている地域支援者さんの言葉です。住民さんにとって、おしゃべり喫茶が地域の皆さんとの繋がりを感じられる場になっていれば嬉しく思います。

ジャパンハート 災害支援 iER 能登半島地震

一方で、家に閉じこもり未だ支援が届きづらい方々がおられることも感じていました。「おしゃべり喫茶に来られない方にも大きな課題を抱えておられる方がいらっしゃるのでは」と考え、2024年10月からはおしゃべり喫茶に並行して、看護師による戸別訪問も開始しました。
「暮らしぶりが心配な人がいる」との声が寄せられ訪問したBさん。高齢独居で、高血圧や糖尿病の既往がありますが、訪問すると物が集積したゴミ屋敷のような状態で生活されておられました。腐った食材が冷蔵庫、部屋内に散乱し、内服薬も自己管理できておらず内服忘れが頻発状態でした。避難所の時は、周りの避難者の方々の見守りで生活できていたBさん。仮設住宅に入居後周りとの接触がなくなり、一気に認知機能の低下が進んだような印象を受けました。すぐに地域保健師に連携し、介護申請を上申。その後要介護認定がおり、配食サービスと内服介助サービスが開始となりました。

ジャパンハート 災害支援 iER 能登半島地震

サロンなど地域活動に参加される方々は課題が早期に発見され、必要な支援に繋げられることで健康状態の悪化や災害関連死への移行を防ぐことができますが、精神的孤立で家に閉じこもっておられる方や、体力低下や要介護状態で外出がままならない方々は、コミュニティや支援と繋がる接点がなく取り残されてしまっており、広がる「復興格差」が現在の能登半島においての大きな課題となっています。
地域活動が再開してきた今、地域の自立を阻害しないように「おしゃべり喫茶」は活動を縮小し、復興格差を是正できるよう、今後は訪問活動を強化し、お一人お一人に寄り添ったより細かな支援を行っていく予定です。
ジャパンハートとしても初めてとなる中長期支援。変わり続ける地域に伴走しながら「いま求められている支援とは何だろう」と常に模索しています。まだ確かな答えは導き出せてはいませんが、これからも能登半島の皆様に伴走させていただきながら、共に考えていきたいと思います。

最後に、最終回を迎えた会場の住民さんから「みんなに会えて楽しくおしゃべりすることが何よりのご馳走だった」「また会いに来てくれるのがいつも嬉しかった」「これからは自分なりに頑張っていきます。本当に長い間ありがとう」「遠いところから来てくれて本当に有難かった。寄付を下さった方たちにもお礼をお伝えください」といったたくさんの感謝の言葉をいただきました。中にはジャパンハートに募金を寄せてくださる方もいらっしゃいました。支援を受けていた方々が今度は他の誰かに心を寄せていく、支援の繋がりを感じています。
この場をお借りし、ご支援をいただきましたすべての皆様に心より感謝申し上げます。

ジャパンハート 災害支援 iER 能登半島地震

災害支援・対策セクション
枡田 眞弓

 

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皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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