活動レポート

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「出来ない理由」よりも「出来る方法」を

up 2022.11.09

2022年9月末、ジャパンハートはCOVID-19クラスター支援班を解散しました。
2020年4月以来、全国201か所の医療機関/福祉施設に対して、のべ485名の看護師を中心とする医療チームを派遣。
最大で同時に7施設を支援するなど、怒涛の2年半でした。

第7波をもって解散としたのは、新型コロナウイルス感染症に関しては、もはや外部団体が緊急支援を行うのではなく、これまでに自治体が構築したシステムを活用しながら、地域のリソースで平時医療の延長として対応していくべきと判断したためです。

昨年11月に沖縄県に設置した濃厚接触者隔離施設では、9月末の閉所までに合計40名(延べ日数323日)の要介護の方々を受け入れさせて頂きました。
中でも、8歳の男の子をお預かりした経験は、ジャパンハートが新たな社会的課題を実感する機会となりました。

医療技術の発達により、日本の乳児死亡率は世界最低レベルとなる一方で、日常的にたんの吸引や経管栄養、酸素療法、人工呼吸器使用などの医療的ケアが必要な「医療的ケア児」は、全国に約 1万8千人と推計されています。

今回受け入れた医療的ケア児の男の子は、ケアを行っている母親を始めとした家族全員が陽性となり、唯一の陰性ながら濃厚接触者であることから、関係者総出で探せども施設や病院などどこにも行き場がない状況となっていたのです。
普段から自宅で呼吸器を使い、頻繁にたん吸引なども必要であるため、感染した際の重症化リスクが高い。

実は医療従事者の中でも、小児科経験者は皆さんの想像する以上に少ないです。
ジャパンハートも当時5名の看護師が沖縄で活動していましたが、子どもの呼吸器管理の経験者はその内たった1名でした。
受け入れは難しいのではという声もありましたが、チームメンバーで議論した結果、「どこにも行き場がないのなら、私たちがやろう」と覚悟を決め、多くの方々にサポートを頂きながら、退所まで12日間を無事に終えることが出来ました。

「出来ない理由」は、その他の施設や医療機関と同様に、いくらでもありました。
そもそも私たちの施設は医療機関ではなく、医師もいなければ、万一に備えた十分な医療器材もありません。
開設当初、「たった5床の施設を作るなら、その人員をクラスター支援に出した方が役に立てるのではないか」と言われたこともありました。
その意見は、決して間違ってはいません。それでも私たちがこの施設に拘ったのは、「他の誰にも出来ないことをやるため」でした。

数の理論に埋もれてしまう助けを求める小さな声に耳を澄ませ、行政にも事業会社にも出来ないことを、私たちはやっていきたい。
社会の「最後の砦」であり続けたい。
そうして目の前の誰かに向き合い、寄り添うことを積み重ね、今日よりも良い明日を創っていきたい。

ジャパンハートは、「出来ない理由」よりも「出来る方法」を探す団体でありたいと、改めて強く感じた2年半。
団体として、事業部として、次のステージを目指していきます。

地域医療・国際緊急救援事業部 高橋茉莉子

地域医療・国際緊急救援事業部では自然災害発生時に被災地で活動を行う
災害ボランティアの募集を行なっております。災害支援経験や職歴は不問で医師/看護師等の医療従事者の他、一般社会人/学生等の非医療者からも多くのボランティア登録をいただいております。

12月3日(土),4日(日)災害ボランティア登録研修を実施します。
佐賀会場もしくはオンラインにてご参加可能です。
皆様も災害ボランティアの一員となって共に被災地支援を行いませんか?

▼災害ボランティア登録研修の申込はこちらから
「第10回 ジャパンハート国際緊急救援(iER)災害ボランティア登録研修」を開催します!

 

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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