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被災地で「ぼくたちの泊まるところはどこですか?」

up 2022.09.06

自然災害の被災地には多くの民間、個人ボランティアが何とか力になりたいと現地に入ります。
ボランティアは自己完結が基本、衣食住は自分で手配が基本原則ですが、中にはそのような被災地支援の基本がわからず、タイトルのような言動となってしまうということは、ご存知の方も多いのではないでしょうか?

このようなことが、最近の新型コロナクラスター現場でも散見されるようになりました。
何故、人のために役に立ちたい!困っている人を助けたい!と思っている人たちがそのような言動となってしまうのでしょうか?

「クラスター現場は災害地のような状況です」というのは今までにも何度かレポートなどでお伝えさせていただきました。
その理由として
・今まで元気に生活をしていた方々が一斉に感染することにより、傷病者つまり具合の悪い人が大勢発生する。
・スタッフも多くが感染してしまうことにより入院患者、入所者をケアできる人が居なくなる。
・マスク、ガウンなどの物資が不足する。
など、
医療において需要と供給のバランスが崩れ、適切な医療が提供できない状況となります。
実際、今まで多くの現場で自衛隊、DMATの方々と一緒に活動をさせていただいております。
そのことからもクラスター現場は自然災害地のような状況であることがご理解いただけるのではないでしょうか?

そのような災害現場に近い状況のクラスター現場、ということを皆認識して活動しているので、何か不平不満を言うような状況ではないことは私たちジャパンハートクラスター支援チームをはじめ多くの支援看護師が重々承知の上活動をしております。
柔軟な対応が求められ、それは被災地支援においての基本姿勢でもあります。

しかし、ここ最近は、そのような意識で現場に入る看護師さんが減ってきているなぁと感じています。
6波、7波のクラスター支援活動において実際に見聞きした一例です。
・応援看護師のご飯は準備されていないのですか?
・休憩室は確保されていないのですか?
・休憩時間が実際に提示されていた時間より短かったです。
・業務が多くて定時に帰れませんでした。
・ガウン(個人防護具)が使いにくいので、別のメーカーに交換してほしい。
・現場スタッフが感染対策ができていないため自分が感染しないか不安です。現場のスタッフに教育をしてほしい。
・担当業務以外の業務をさせられました。
・担当フロア以外のフロア患者のケアを依頼されました。
などなど。

上記のクレームを現場のスタッフや自治体へぶつけている看護師がいるという事実があります。
これ、もし自然災害の被災地、避難所に置き換えたらどうでしょう。

被災地の環境にクレームをつけ、それを避難所運営をしている現場スタッフや自治体に訴えている状況です。
ちょっと考えれば被災地の自治体の方々もいわば「被災者」だということはすぐにわかります。

被災地の復興に向けて環境が整っていない状況の中、頑張っている被災地のスタッフや自治体の方々に向け、自分たちの待遇に対してクレームを言っている状態、これはまさに、冒頭に書きました、被災地で「ぼくたちの泊まるところはどこですか?」と同じだと感じました。

これはあくまで私の体感ではありますが、5波くらいには見かけなかった光景です。
ではなぜ今になってそのようなことが起きてしまうのか?
それは新型コロナウイルスが、まだ「未知のウイルス」だったころ、その現場に飛び込むのは、DMATのようなプロ集団等、ある一定の知識と経験を兼ね備えた方々だった。
しかし今、コロナ禍となり2年以上が経ち、ワクチンや治療薬が開発され、感染経路もわかるようになりある程度対策、感染予防ができるウイルスになったことで、被災地のような現場に入るという認識の看護師さんが減少しているからではいでしょうか。

もちろん、たいていクラスター支援看護師募集要項には現場が被災地のような状況であるとは書いていません。
しかし状況は事前に把握できるので、現場がどのような状況であるかはある程度想定はできます。そこに想いを巡らす想像力の欠如、もしくは低下なのかもしれません。

クラスター現場では多くのスタッフが陽性となり、残った数少ないスタッフは休みも取れず、毎日長時間勤務という状態です。
その方々に、自分たちの待遇が悪いと訴えるのを見聞きするたびに、とても悲しく、そして怒りも出てきます。現場のスタッフだけでなく、自治体の方々にそのクレームをぶつけるんです。本当に悲しくなります。

もし、そのクレームを言っている側を擁護するならば、クラスター現場側の事前の情報提供が足りなかった。。。という見方もあるでしょう。
しかし、自然災害地だった場合、そのようなことを支援に入る側は求めますでしょうか。

長々と書いてしまいましたが、つまりは自分がどんなところに入るのか、情報収集からどれだけ相手側の立場を想像することが出来るか、その想像力と共感性が私たち看護師に求められる能力なのではないかと感じる今日この頃です。

「寄り添う看護」看護師さんからよく聞く言葉です。
寄り添うというのは患者に寄り添うことだけではなく、そこを支える現場スタッフ、自治体の方々の立場に立って行動することも「寄り添う看護」ではないでしょうか。
私自身も含め、一人でも多くの看護師が「寄り添う力」を養っていく必要があると感じる第6波、7波のクラスター支援活動となりました。

被災して傷ついている人たちをさらに傷つけることのないよう、私たちジャパンハート看護師はこれからも「支援者支援」をモットーに活動を続けていきます。

地域医療・国際緊急救援事業 看護師 宮田理香

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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