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宮古島 高齢者施設クラスター支援 長尾看護師からのレポート

up 2021.04.20

沖縄県の宮古島にある介護老人福祉施設で新型コロナウイルスのクラスターが発生し、令和3年1月31から2月14日までの期間、看護師計3名、調整役1名で支援活動を行いました。

宮古島 高齢者施設クラスター支援 ジャパンハート 看護師

私は2月7日から活動に加わりました。施設の状況は、クラスター発生直後は、陽性者を主幹病院へ転院できていましたが、コロナ病床の逼迫に伴い、数日後には陽性者は全員施設内で対応をしなければならなくなり、感染した職員の欠員もある中、どのように体制を整えていくか当時現場は混乱したとお聞きしました。

施設は病院と違ってもともと看護師職員も少なく、平時の夜勤は介護員のみでの勤務ですが、普段、医療行為をしない施設で急変や重症化のリスクがある入所者さんを看なければならないという怖さを感じながらも、急変対応が求められるため、夜勤帯に看護師を配置する方針となり、その要員としてジャパンハートが支援に入りました。

クラスター発生後、すぐに沖縄本島や石垣島からICNやDMATの介入、主幹病院や自衛隊からの医療支援の応援体制が整っており、本島と比べて入院施設や人員が少ないという現状の中、沖縄県全土あげて、離島の医療崩壊を防ぎ、島の住民を守るために団結し動いていることを強く感じました。

宮古島 高齢者施設クラスター支援 ジャパンハート 看護師

活動初日より夜勤に入り看護師は自分のみで、介護員は2名体制。まだ施設全体の把握ができず、現場の職員とも信頼関係がない状態だったため不安と緊張感がありましたが、「何でも聞いてください。無理はしないでくださいね~」と優しく声をかけていただき、沖縄弁のイントネーションにもホッと癒され緊張が和らだことを今でも覚えています。

2月でしたが、宮古島の気温は25度前後あり、換気が必要のためエアコンもつけれない中、PPEを着てのケアは一瞬で汗だくになり、N95マスクでの呼吸も時間が経つにつれ苦しくなりました。この状況の中、クラスター発生して約2週間働き続けている職員の方の心労を思うと、頭が上がりません。外部支援が入ったことで、できる限り休憩をこめまに取って、少しでも安心して勤務ができるように連携しながら関わっていくことが自分の役割だと感じました。

宮古島 高齢者施設クラスター支援 ジャパンハート 看護師

酸素を使用していたり、急変のリスクがある患者さんには、病院であれば心電図モニターを装着し、その値がナースステーションで確認できるため病室から離れていても、急変にすぐに対応できますが、施設ではモニターの機械がありません。入所者さんは介護度が高く寝たきりの方が多いため、異変があっても自分から訴えることができず、消灯後は日中より利用者さんの状態が見えにくい状況でした。その上、レッドゾーンに長時間いたり頻回に出入りすることは感染リスクが高まるため、1回の入室で患者さんの状態をアセスメントし迅速且つ的確な判断力が求めらます。

コロナウイルスの病態は急速に重症化することを以前の支援先でも経験していたので、状態が安定している方でも油断できない状況でした。

夜勤の明け方、酸素を使用している入所者さんのSP02(体内の酸素値)が徐々に低下してきており、昨日より確実に悪くなってきている状態でした。病室の壁には、ご家族の写真やお手紙がたくさん貼られており病状の回復を願っているご家族の想いを感じました。

当施設では、施設外の屋上と病室がつながっているため、施設内に入らなくても窓超しの面会を許可していることを聞いていました。いつ急変するか判断が難しいコロナウイルス。
職員にご家族の状況や連絡のタイミングを確認し、承諾を得たうえ、連絡をするとすぐにご家族が面会に来られました。

窓越しに入所者さんを涙ながらに見ておられる姿に、本当なら手を握ってあげたい、近くで声をかけたい、でも窓をあけることも近づくこともできない状況に、私がご家族の立場だったらと思うと辛く感情を抑えるのに必死でした。この時間が良かったのか、逆に辛い思いにさせてしまったのではないかと思いましたが、ご家族より「もう会えないかもって覚悟してたので一目見れて良かったです。また会いにきてもいいですか?」と声をかけていただき、施設職員より許可がでたため安心した表情で帰られました。

感染防御の理由で面会禁止になっている施設が多い中、ご家族が少しでも安心できるように、ここでできる最大限のケアを考え提供している施設の想いに触れ、どんな状況であっても患者だけではなくそのご家族に対する心のケアも必要不可欠であることを改めて感じました。

日中の医療支援は、主幹病院や自衛隊の看護師が活動しており、ジャパンハートは夜勤専従だったため、各勤務帯での現場の状況や介入すべき点などの情報を共有したり、感染防御の指導については、それぞれが違う方法で指導をすると、現場の混乱を招くため、指導内容の統一を図りました。どこまでも中心は現場の職員であることを忘れず、現場のニーズに沿った支援を提供するためには、外部支援と現場だけではなく、外部支援同士の連携も重要だと思っているので、私自身も積極的にコミュニケーションを図ることを心がけています。

2月12日宮古島全体の感染状況が落ち着いてきたこともあり、施設内の陽性者は主幹病院への転院が決定したことを機に、2月14日全ての外部医療支援が終了することになりました。

外部支援が撤退後、現場だけでやっていけるのかと職員からの不安の声が多くあり、外部支援チームとして今回実践したことや今後も継続すべき感染防御等について資料を作成し、また相談口として今後も定期的に主幹病院やICNが介入する方針となったことを伝えました。外部支援チームは終息が見えてきた時期に現場の状況を判断した上で、撤退することが多く、新たにクラスターが発生した支援先への派遣がある場合は特に最後までいることが難しい現状です。

そのため撤退後も、現場が安心して終息にむけて対応できるように、対策や手順、フォロー体制等を明確にして情報提供することも支援者としての責任だと思いました。

支援終了後、PCR陰性を確認した日は、大晴天。
支援中は支援先以外の外出ができないため、帰る前にちょっと寄り道し、人生初の宮古ブルーを見たときは、一瞬世界の状況を忘れるくらい大感動し、心が浄化されました。

宮古島 高齢者施設クラスター支援 ジャパンハート 看護師

後日、施設職員より無事に終息を迎えることができたこと、職員や現場の状況など連絡をいただき、大変嬉しく微力ながらも支援活動に携われたことに、こちらが感謝しています。

現場は、クラスター終息が一つのゴールですが、そこから感染に細心の注意を払いながら、平時に戻していく期間も楽ではなく試行錯誤しながらの長期戦となります。

どうかご無理せず、1日でも早く安心した生活が取り戻せるよう心から願っております。

現場の苦しみや悩みを100%全て理解し解決することは難しいですが、少しずつでも共に前に進みながら、ありのままの気持ちが言える存在になれるよう限られた支援活動の中で、寄り添うことを忘れず関わっていきたいと思います。

ジャパンハート看護師 長尾範子

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国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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