活動レポート

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乳児健診で栄養教室を実施しています

up 2023.01.18

こんにちは!栄養管理部の溝口です。
成長の著しいカンボジア。最近発表された世界銀行のレポート”Cambodia Poverty Assessment”によると2009年から2019年にかけて貧困率は半減し、経済成長率は平均7%だったそうです。
マイナス成長も生じる日本とは大違いです。
ちなみに日本が7%近い成長を最後に経験したのはバブル期だった1988年の1年。「10年間も平均7%」という成長がいかに速くて大きいかが伝わるのではないでしょうか。

そんな経済成長の波は首都プノンペンから40km離れたジャパンハートこども医療センターのあるウドンにも届いています。
ウドン周辺も工場やそこで働く人のための集合住宅や屋台が増え、高所得者向けの住宅街の開発も行われています。
今ものどかな自然が広がり、目覚ましはにわとりの鳴き声という田舎ぶりですが、この地での活動が始まった当初の2016年のウドンとは全然違う姿なのだろうと思います。

さて、今回は周産期事業部が主催する乳児健診内で実施している栄養教室をご紹介します。
日本では妊娠したら定期的に病院へ行き、アドバイスや資料がもらえ、母親・父親学級が受けられます。出産後も同様に健診を受け、様々なサポートが受けられます。
また、私自身妊娠中はどんな食事をするべきか、どんな食事が危険か、赤ちゃんの離乳食はどうしたらいいか、など日本の友人から相談をよく受け、母子保健に関するサポートの手厚さや当事者の意識の高さを感じます。

一方、カンボジアは妊娠したらヘルスセンターや病院に行く流れは定着しつつあるものの、母親・父親教室や離乳食講座等のイベント実施はありません。
産後もワクチン接種のみで、赤ちゃんの成長や発達をモニタリングする健診の制度はありません。
保護者の意識もあまり高くないようで、母子手帳に相当するカードに成長曲線が書いてあってもその見方を分かっていなかったり、粉ミルクの量も表示を見ることなく感覚で調整して規定よりかなり薄いミルクを与えていたりしている姿をみます。

このような中、赤ちゃんが健やかに成長できるよう栄養教室と発育不良の乳児の保護者に対して個別で栄養指導をカンボジア人栄養士を中心に実施しています。
栄養教室の種類は大きく2パターン。
だいたい生後6ヶ月頃から離乳食を始めることから、1,3ヶ月健診では赤ちゃんを持つ保護者には母乳や粉ミルクに関する栄養教室を6ヶ月以降の健診では離乳食に関する教室を実施します。

母乳や粉ミルクの栄養教室では、栄養のある母乳を出すために必要なバランスの良い食事を紹介したり、粉ミルク調整時の衛生管理や調整方法について説明したりします。

離乳食に関する教室ではカンボジア政府が推奨する離乳期のおかゆである「ボボーカップクルップクルーン」の作り方を説明します。
ボボーカップクルップクルーンは野菜や卵、油などが入った具入りおかゆです。
子どもの味覚形成期であるため、カンボジアで人気のナンプラーや塩などの調味料はつけず、素材そのままの味で食べさせます。
どの保護者も離乳食になるとおかゆを与えることは理解していますが、しっかり味をつけて食べさせているようで「調味料を入れないで」と話すと必ず驚かれます。

いざ教室を始めてみると、「ミルクはどんな頻度で与えればいいの?」や「この食品は食べさせていいの?」といった質問が飛び交い、興味を持ってもらえていることを嬉しく思います。

粉ミルクの調整方法について説明

国として母子保健に取り組み、乳児の栄養不良は減少しましたが、最初に述べた高い経済成長の中、人々の生活も大きく変化し、育児の方法も変化しています。
工場勤務者が増えて子どもを親に預けて本人は離れた場所で働くケースが多いようです。
しかも、産休は3ヶ月程度で中には1ヶ月で職場復帰する人も。完全母乳育児が理想ですが、長期休暇で生活がままならなくなってしまっては元も子もありません。

変化するライフスタイルにあわせて栄養教育も変化させながら乳児の健康を守れるよう取り組んでいきたいと思います。

栄養管理部 溝口

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部

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