活動レポート

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「ごはん食べた?」

up 2022.11.29

「ニャンバイハーウィーノウ?(もうごはん食べた?)」挨拶のあとよく聞かれる質問です。
「食べてない」と答えると「どうして!?食べなよ!」と食事を出してくれることもしばしば。以前滞在していたインドでも似たような経験をしました。

一方、中国ではかつてカンボジアやインドと同じように「ごはん食べた?」が挨拶の後の決まり文句だったのに現在は都市部を中心に「忙しい?」に変化したそうです。
これはつまり、仕事が忙しい=儲かってる?という質問です。
食事にはもう困ってないから次はお金をたくさん稼いでいい生活をしたいという気持ちの表れだそうです。

では日本は・・・?
「元気?」が普通だと思いますが、質問の意図としては精神状態を聞いているような気がします。
日本では、ごはんもお金もそこそこに生活全体の質が重視されるようになりました。だからこそ、心が充実しているかを確かめる質問になるのではないかと私は思っています。
このような何気ない挨拶の中にも社会状況や価値観が反映されるとすると、いつかカンボジアの挨拶も「儲かってる?」や「元気?」に変わってしまうのでしょうか・・・。
誰もが食事に困らない状況になることを心から願ってはいるものの、「ニャンバイハーウィーノウ?」が聞かれなくなってしまうのは少し寂しくもあります。

さて、そんな食事を大切にするカンボジア人。一般の人が食事や栄養についてどのように理解しているのかを確かめるべく、近隣地域で調査を行いました。
ジャパンハートこども医療センターと同じポンネルー地区にある2つのヘルスセンターに協力していただきました。
調査の内容は、ヘルスセンターの来訪者に対する食事や栄養の知識・行動の聞き取り調査で、2日間で合計26名から回答が得られました。

カンボジアでは栄養士を養成する学校は存在せず、栄養教育を受ける機会はほとんどありません。
食事・栄養の知識を問う質問の結果は良くないだろうと思っていたところ、案の定、食品が持つ栄養素の働きによって分類する「食品グループ」の存在を知っていた人は26人中1名のみ。
食品グループ分けテストでは5点満点で最高点が3点、20名が0点という結果でした。
ちなみに、同じクイズを日本人にも行っているのですが、今のところ間違えた人を見たことがありません。

食品グループ分けの内容

食事摂取の行動を確認するのにはMDD(Minimum Dietary Diversity; 最低食事多様性水準)を参考にしました。
発展途上国での栄養評価によく用いられる指標で、7種類(穀物類、ナッツ類、カルシウム源、魚・肉類、卵、ビタミンAの多い野菜・果物類、その他の野菜・果物類)の食品群を1日で何種類網羅しているかで評価しました。
4種類が最低水準とされており、平均は4.2という結果になりました。ヘルスセンター間で結果に差があり、貧困層が多い地域に存在するヘルスセンターの訪問者の平均は3.7と水準を下回りました。

また、MDDを聞いている中で複数の回答者から「ビタミンだったらサプリメントを摂ってます。」と興味深いコメントがありました。
知っている栄養素を聞く場面では出てこなかったのに・・・!
推測するに、栄養は薬で摂るものであって食事から摂るという認識があまりないのではないかと思われます。これはかなりの衝撃でした。
ヘルスセンターの職員さんからは高血圧や糖尿病が課題と聞いていましたが、それ以前に「必要な栄養は食事から摂取する」という大原則をまず理解してもらう必要があると感じました。

協力していただいたヘルスセンターにカンボジアの食品グループ「フードピラミッド」のポスターをプレゼントしました。

今回の調査で地域住民の食事や栄養に関する考え方を垣間見ることができました。
病院のみならず地域の健康を支えるべく、今回の調査をもとに地域の栄養教育プログラムを開発していきたいと思います。

栄養管理部 溝口

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部

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