活動レポート

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妊婦検診を続けてよかったと思う出来事

up 2022.04.07

カンボジアでは最近になってようやく妊婦健診という習慣が広まってきています。

私の前任者の方の話によると、開院当初は「分娩に来た人が妊婦健診に行ったことがない」というケースが相当数あったと聞いています。しかし最近は国の対策の甲斐あって、回数は少ないことはあれど妊婦健診に行ったことがないという人は少なくなっています。(他の問題はたくさんありますが、、、また今度の機会に。)

ジャパンハートの運営する妊婦健診は国で定めている健診とは別で、国で定めた健診のサポート的な位置付けで運営しています。
決まった健診は近くのヘルスセンターで、ポイント健診はジャパンハートに。日本でいう助産院と病院の連携みたいなイメージでしょうか。
それに加えて、当院では36週を過ぎたら胎児心拍モニターでの胎児評価を実施しています。
日本ではメジャーになっている胎児心拍モニターですが、カンボジアではまだ一般的ではありません。なので、分娩時にも心拍を評価することが難しいのが現状です。
そのため、分娩前に赤ちゃんが元気かを見るためにこのモニター健診は行っています。

カンボジアで妊婦健診をやっててよかったこと。
カンボジアで妊婦健診をやっててよかったこと。
※下の写真は、モニターで健診を行なっている様子

先日、モニター実施のために36週の妊婦さんがきていました。私が妊婦健診室に着くと焦っているスタッフがいました。
「体交してるけど戻らないんです。」と。モニター上には70bpmくらいのところに黒い線が断片的に線を作っていました。これが意味するのは、赤ちゃんが苦しくなっているということです。
「搬送したら1時間以上かかる。それでは赤ちゃんが助からない」そう思った私はここ最近では一番の全力で妊婦検診をしている連携病院からジャパンハートの病院へ走りました。そして院長である神白先生に「どうしても帝王切開をしたい」と懇願しました。

実はこの日は吉岡先生が小児がんの手術をするためにカンボジアに来ている期間の真っ只中でした。小児オペの間は帝王切開はできないという話を事前にしていた日でした。
できないとわかっている日に「お願いします!!」と懇願したのはここに来て3年、初めてでした。

何とかオペ室と掛け合い、手術できるとなった時、「戻りました」とスタッフから電話が入りました。時間にしておそらく12、3分、しかしとても長い時間だったと感じます。
一度戻った心音でしたが、その後再度徐脈となり、当院で帝王切開を実施しました。

カンボジアで妊婦健診をやっててよかったこと。
カンボジアで妊婦健診をやっててよかったこと。

生まれた赤ちゃんはすぐには啼泣できず、刺激にも反応が薄く、最終的にはマスクバックを行い数十秒後に呼吸を始めてくれました。もしここで帝王切開をせず搬送していたらもっと徐脈になっている時間が長くなって、もっと赤ちゃんが苦しんだかもしれません。
泣き始め、お母さんのおっぱいを吸う赤ちゃんを見て、今日、この時に無理を押して帝王切開をして本当に良かったと心から思います。
もしこのお母さんがフォローアップに来ていなかったら、もしこのお母さんのフォローアップを私たちでしていなかったら。
ここで健診を続けている意味はこういうところにあるんだなと改めて考えました。

妊娠は病気ではない。しかし、何起こるかわからないのもまた妊娠です。
分娩のほとんどが正常な分娩です。でも、分娩によって命を落とす事例は世界中で起こっています。

ジャパンハートに来る妊産褥婦さんたちが、赤ちゃんが健康に過ごしていけるように、「何が起きるかわからない」ということを忘れず、日々、活動を継続していきたいと思います。

カンボジアで妊婦健診をやっててよかったこと。
カンボジアで妊婦健診をやっててよかったこと。

カンボジア 周産期事業部部長 西川

▼カンボジアのお産事情が分かる以前のレポートはこちら
Japan Heartカンボジアでのお産事情

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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