活動レポート

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カンボジア 1年間で子どもたちがたくさん食べてくれるようになりました

up 2021.05.06

こんにちは!カンボジア栄養管理部の川合です。

栄養管理部の行う様々な取り組みのうち、子どもたちに安全で栄養のある給食提供を行う活動は「ジャパンハートこども医療センター 給食プロジェクト」として、味の素ファンデーションからの助成金をはじめ、多くの方からのご支援で成り立っています。

今回は、昨年度1年間の取り組みの成果として、この給食プロジェクトの指標の一つ「喫食率」について紹介します。

喫食率は、提供した食事を患者さんがどの程度食べることができたのかを知るためのとても大切な指標です。
ただ、カンボジアは病院給食がまだ確立されていないことに加え、普段料理をする調理人たちでさえ、スケールを使ったり、量を意識して料理をしたりといったことが身近ではありませんでした。
そのため、最初はこの喫食率を、誰がどうやって量るのかといったとこから始まりました。

まず試したのは、一般的にイメージされるような、食事の前後で重さの差をグラム数で出すこと。
ただ、様々なサイズのお皿の重さを踏まえた記録・計算がスタッフには難しく、患者さんが残した食事をお母さんが食べていたりと、あまり現実的ではありませんでした。

そこで、カンボジア人が実際にやっている測定方法はないのか、と国内を探し回ったところ、国立小児病院が5段階方式で喫食率測定を行っているという情報を得ました。

※喫食率測定:全く食べていなかったら0、全部食べていたら4、半分だったら2…というように、0から4の5段階で評価するもの。

これなら、栄養管理部スタッフだけでなく、(そのあと残りを食べてしまう)お母さんであっても「子どもはこれくらい食べていたよ」と覚えてくれそうです。

実際に、その評価方法を記録するシートを作り実践したところ、スタッフはすぐに記録を取れるようになりました。
調理業務が忙しく、喫食後すぐに確認できない時でも、お母さんたちが「今日は3くらい食べていたよ」などと協力してくれます。
日本人が入らず、カンボジア人スタッフが主体で行い、他愛もない話もしながら記録を取ることで、ありのままの数値が出てきやすい部分もあると感じています。

そして、そのような測定方法を1年間続けた結果、喫食率が大幅に向上したことがわかりました。

理由として考えられるのは、以下が挙げられると見ています。

①食べやすい大きさ、柔らかさの“子ども用おかず”に変えたこと
②調理経験豊富なリーダーを入れ、バラエティに富んだ献立を導入したこと
③子どもたちと“食”を通じて関わる機会を増やしたこと
など

①は、子どものみの食事提供日である日曜日に、どんな食事が食べやすいか?を子どもや親にヒアリングしたことから始めました。
甘めに仕上げたり、とろみをつけたり、小さく切ったり、子どもが苦手な食材は控えたり。
今では、ちょっと私が意地悪く調理スタッフに「このおかずは大人用と何が違うの?」などと聞いても、しっかり理由を答えてくれるようになり、安心して調理を任せています。

②は、ホテル業務経験のあるスタッフを入れたこと。より美味しさにこだわった料理を提供できるようになり、子どもたちのみならずスタッフの満足度も上がりました。
外国人スタッフと既に働いた経験があり、チームをより良くするために意見を積極的に伝えてくれる彼らに、私もとても支えられています。

③は直接的な要因ではないものの、上記の喫食率調査やミールラウンド(食事提供時に患者さんの喫食状況を確認すること)、成長モニタリングの実施を通じて、ただ食事を提供するだけではなく、それが食べれたか、ちゃんと成長したかを気にしてくれる人たちがここにはいる、と伝えられたことによる小さな結果かなと見ています。

患者さんのご家族は「先月より身長が伸びていたよ!」「今日は全部食べれた」などと、提供時に話してくれるほか、病院周辺で買い物中に出会った時や、時には退院後も電話をかけてきてくれて、今日は何をどれくらい食べたよ、などと教えてくれます。
栄養士だから、病院スタッフだから、という立場を超えて、そうやって心で繋がることのできる機会を食事を通じて提供できていることをとても嬉しく思います。

今年度はこの喫食率を維持することに加え、食べれない子どもへの個別のフォローや割合ではなくグラム数を用いて、より臨床的な栄養介入を行っていくことが必要になってきます。

既にたくさんの取り組みをしっかり形にして、成果を出してきてくれた栄養管理部スタッフのメンバーには心から感謝しています。
カンボジアにとっても、メンバーにとっても身近でなかった「栄養管理」の基盤がやっと整えられた今、活動を一層発展させていくと同時に、食を通じて私たちの想いを伝え、患者さんの“心”を救えるよう、ジャパンハート栄養管理部として日々の一つ一つの取り組みを大切に行っていきたいです。

栄養管理部 川合

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援 | カンボジア ジャパンハートこども医療センター 栄養管理部

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