活動レポート

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患者さんに会いに行って見えてくるもの

up 2020.12.01

ジャパンハートカンボジア事業では通称mobileという活動を行っています。

日本でいうならば移動診療といったところでしょうか。実はこのmobileはとても奥深く、毎回たくさんのことに気づかせてもらえます。その中で私が感じた、それぞれの地域に暮らす人々にとって本当に求められていることは何かということを少し書きたいと思います。

今私たちが1か月に1回このmobile活動で行っている地域は、普段私たちが活動している病院が首都プノンペンから1時間ほどのところですが、そこから更に車で約2時間弱のところです。地図上ではなかなか不便さがリアルをもって見えてきませんが、この地域は周辺が湿地帯であり、雨季や台風によっては道が寸断され、船移動が余儀なくされる地域です。この地域とプノンペン他地域を結んでいる道はたった1本しかなく、その道は悪路で、車で行けばがたがた道で、カンボジア人スタッフがダンシングロードと命名するぐらいです。

患者さんに会いに行って見えてくるもの ジャパンハート 医療支援

患者さんに会いに行って見えてくるもの ジャパンハート 医療支援

なぜ、この地域でmobile活動するようになったかというと始まりは「医療の届かないところに医療を届ける」というジャパンハートが大切にしている理念からスタートしました。病院で待っているだけでは本当に支援を必要としている人々は来ることができないかもしれない、自分たちで自ら当地に赴いて見て感じて、そこで必要とされている医療、ニーズに応えていくことが必要だと考えるからです。

国際協力に限らずですが、医療支援の成果というのは数で評価されがちなのかなと個人的には思います。何人患者を診察しました、何人手術ができました…何人…。確かに大勢の患者さんを“治療”するということも一つの成果だとも思います。大事な要素です。でも“治療”だけが本当に必要なことなのでしょうか。

このMobileで赴いている地域にはヘルスセンターはありますが医師はいません。看護師と助産師しかおらず、薬や検査も沢山の種類や数を持っているわけではありません。では、私たちにできることはせめて私たちがその地へ行く一時だけでも医師を含めた医療者を派遣し続け、薬を配り、医療格差のあるこの地域に医療を届けることだけなのでしょうか。

患者さんに会いに行って見えてくるもの ジャパンハート 医療支援

患者さんに会いに行って見えてくるもの ジャパンハート 医療支援

そうじゃないと思います。その地域で完結される医療を目指す意味で、そこに住む人々の生活を知り、特徴を知り、病気を予防することを助ける姿勢が求められるのではないかと思います。なかなかいい言葉が見つかりませんが、あげるだけの医療では、持続性はなく、結局のところこちらの一方的な支援になってしまうかもしれません。もっと地域や人々に寄り添って、協働して医療水準をあげていく必要があると思います。…なんだか熱いですね笑 ですが、こういった熱さは普段一緒に働いているカンボジア人スタッフ自身からも聞かれることなんです。彼ら自身本当によく患者さんのことを考えていると思います。

そこで11月のmobile活動から当地のヘルスセンタースタッフや周辺薬局との協働、ヘルスセンター長や地域住民への聞き取り調査を強化し始めました。また、糖尿病や高血圧予防のためのレクチャー、筋肉・関節痛予防や運動不足予防のための体操なども行いました。スタッフ皆試行錯誤しながらこの地域で本当に必要とされている医療を届けるために頑張ってくれています。すごく頼もしいです。しかし、挑戦するからこそぶつかる課題も多いのが現状です。相手に何かを伝えるということがどういうことなのかを考えなければいけませんし、保健指導をしただけで満足してはいけないと思います。カンボジアに根深く残る貧富や歴史的背景による教育格差から指導がなかなか理解してもらえないということもありますし、健康を害した場合当たり前に病院にいける環境や習慣がない中で生きている人々に“予防”や“自助”の概念みたいなことを伝えるのは本当に本当に難しいことです。

患者さんに会いに行って見えてくるもの ジャパンハート 医療支援

患者さんに会いに行って見えてくるもの ジャパンハート 医療支援

でもその難しさの中にやりがいや楽しさを一緒に働く仲間とともに感じています。
ちょっとずつちょっとずつ前へ進むしかありません。来月も頑張るぞ!

松見瑛莉子

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア 巡回診療・手術活動

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