活動レポート

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力不足でもいい。

up 2020.08.10

誰かが言っていたのを思い出します。「国際協力は自分の力不足との向き合いです」
ここ最近まさにそうだなと改めて実感しながら、それでも強く向き合い続けたいと思っております。

今日お話ししたいのは私の話ではなくて、同じように現場で患者さんに強く向き合い続けている仲間の話です。ここには多くの尊敬する仲間がいるなと最近強烈に感じるのですが、その中でも特にお話したいのは、ちょうど私がカンボジアに戻ってきた今年の1月ごろに新人看護師として一緒に働き始めた今となっては頼もしいカンボジアスタッフのお話です。

思えば最初はどうなることかと思いました。患者さんのケアや治療でも危なっかしい場面が多く、ひやひやすることも多かったものです。もちろん今もそういった場面もありますが最近ぐんっと成長を感じられる場面が多くなってきていて嬉しいんです。

私もお節介世話焼き野郎なのでどうしても手を出したくなる時もありますし、自分の背中からも学んでほしい気持ちもあって私自身も全力で患者さんに向き合っているつもりです。でもぎりぎりのところまで、もどかしくても彼らに任せ、見守って、本当に危険だと感じた時やフォローが必要な時にそのぎりぎりのところからでもカバーできる能力を高めたいと私もまだ修行の途中です…。とまあ、私の話は置いといて、その新人看護師スタッフの成長を感じる場面は大きく3つあります。

1つ目は、自分の意見を言えるようになったことです。
患者さんのこの治療はこういう理由で必要だと思うのだけどどうしたらいいか、この患者さんの症状はこういう理由で起こっていると思うから自分はこうしたいと思うのだけど大丈夫かな。こうやって自分自身の意見、必要なことを主体的に考えられるようになってきていることはすごく大きな成長だと思います。もちろん点滴がうまくできるようになった、傷の処置がうまくできるようになった、それもまた成長です。経験を重ねていく中で自然と育っていくものもあります。でも業務をこなすだけではなくて、ちゃんと意味を意識したり考えたりしながら患者さんに向き合い続けないと育ってこないところがあるのではないかなと彼らから日々教わります。

2つ目は、分からないことをそのままにしないで聞けるようになったことです。
当たり前と言えば当たり前ですが、これが結構実は難しいこと。私たちの行動は患者さんに大きな影響を与えます。それはいい意味でも悪い意味でもです。

看護師として働くことの面白いところでもあり大変なことでもあることは患者さんを一番近くのベッドサイドで看るということだと思います。曖昧な知識やテキトーな行動がその人の命、人生にダイレクトに関わります。その責任を背負っていると思います。だから疑問や不安をそのままにして思い込みだけで軽率に進むことはとても危険なことです。もちろん聞きにくいことは誰しもあるし、自信がないこと・不安なことはどうしてもネガティブなイメージで嫌なものです。でもそれは自分の問題であって、その向こうに患者さんがいるということを意識できれば、何をすればいいのか自然と分かってくるはずだと思います。

患者さんが元気になってほしい、これ以上悪くなってほしくないという想いが彼らの中に純粋にあるからこそ、ちゃんとそれを誰かに話すことができるようになってそれが患者さんのためになっていると実感させられます。聞かれる私もそれに応えられるように日々色々なことをアップデートするために必死なのですがね笑

3つ目は、冒頭にも書きました「自分の力不足との向き合い」を続けられるようになったことです。
新しいことを学ぶ過程や成長する過程において自分は今無力だなと落ち込むことはあるものです。でもそこから一歩踏み出して足りない部分を満たすために一生懸命努力し“続ける”という力はすごいことだと思います。根気もいることです。その点において彼らは本当によく患者さんに向き合っていると思います。

“続ける”ということは本当に大切な要素なのだと気づかされます。続ける中で自分の力不足にぶち当たる時が必ずあるはずですが、そこをがむしゃらに各々が努力してばらばらに頑張っているのではなくて、仲間との協力の中で努力し続け、1+1=2以上の相乗効果を生み出そうとしていること、それが患者さんに繋がっている瞬間があるとこちらはもう泣きそうになります笑 一人一人がチームの中で患者のためにというところからぶれずにみることができているから、たとえ一人一人に力不足があったとしても仲間と共に困難は乗り越えていけると勇気づけられるんです。

コロナの影響で滞っていた手術活動も6月から再開になり、入院、外来診療の患者数も多く、忙しい毎日が続いている中で最近一番はっとしたのが、ここでした。各々がたとえもっと能力があったとしてもそれだけではだめで、力不足であってもそれを受け入れ、“仲間と一緒に同じ気持ちで”続けることはすごく心地いいし、色々な意味で大丈夫だな!と思わせてくれます。

そんなかけがえのない一人一人尊い仲間と一緒に私自身も自分の力不足を受け入れて、ここでまだまだ頑張りたいなと強く想います。

アドバンスドナース 松見瑛莉子

▼プロジェクトの詳細はこちらから
医療支援| カンボジア ジャパンハートこども医療センターでの医療活動

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