活動レポート

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火傷の患者さんとその家族との2カ月間

up 2019.11.30

先日、1カ月前に退院した患者さんが傷を見せに病院に来てくれました。
太もものやけどの傷はもうほとんど処置がいらないまでにきれいに治っていました。

患者さんの表情はとても明るく、しっかりと自分の足で歩いていました。

患者さんは、以前ガソリンを扱うお店で働いていました。
仕事中、ガソリンが体にかかったことに気づかず、そのままタバコを吸う時にライターを付けてしまい、全身に火がついてしまったのです。
患者さんは、1年前に受傷してから、他の病院にかかったもののそこでもらった薬では足の傷は治らず、ずっと歩く時には松葉杖を使っていました。
両足の太ももの内側は大きく赤くただれ、まっすぐ立つことも歩くこともできずにいました。

患者さんは、ミーンチェンという、車での移動で3時間ほどかかる村に住んでおり、お坊さんの紹介でジャパンハートの病院を受診しました。

手術のために入院することになりましたが、太ももの傷は空気に触れるだけでも痛みが強く、毎日水で洗う時には痛みに耐えながらの処置でした。

傷を早く治すためにも、手術で皮膚の移植をすることになりました。
自分の足から皮膚をとってきて、やけどの部分に移植します。

片足ずつ手術を行い、計2回の皮膚移植の手術をしました。
術後は、皮膚移植のために皮膚をはがした部分の傷の処置もあるため、看護師4~5人がかりで早くても1時間、長い時には2時間かけて処置を行っていました。

奥さんは処置の時には必ず付き添い、痛みに耐える患者さんの足を持って支え、時には傷を洗う手伝いをしてくれていました。
また、汗だくで処置をする私の汗を拭ってくれたりもしました。

吉岡先生が手術の説明をするときに、「私の皮膚を移植のために使えないでしょうか?」と聞いていた奥さんの姿が印象的でした。
心から家族のことを愛して、支えようとしているのが伝わってきました。
入院期間は2か月。奥さんも娘さんもずっと2か月、患者さんのそばに居続けました。

私は、患者さんが手術室に入ってくる時の不安そうな表情が今でも忘れられません。
患者さんは、手術がうまくいくのか、この傷は治るのか、術後の痛み、など本当に不安なことがたくさんあったに違いありません。
私は、何と声をかけたらいいのか分からず、背中をさすって、「大丈夫、大丈夫」と声をかけることしかできず、とても歯がゆくて私の方が泣きそうになってしまいました

手術がうまくいきますように、と祈るように手術を見ていました。
長時間の手術となり、患者さんもしんどいだろうなと思い何度か声をかけました。

皮膚移植は両足とも成功し、傷がどんどん良くなっていくにつれて、患者さんが「松葉杖なしで歩けるよ!今日はたくさん散歩したよ!」と報告にきてくれる姿を見て、私もとても嬉しい気持ちになりました。
手術をしてくださった、吉岡先生、ミャンマー人Dr.に本当に感謝しています。

ジャパンハートの病院に来る前は、傷が良くなるどころかだんだんと悪くなっている様子だったため、ジャパンハートの病院で治療後、村に帰った際に自分ですたすたと歩いている姿を見て、同じ村の人達がとても驚いていたそうです。

この手術で、患者さんの生活は変わりました。
松葉杖を使わなくても歩けるようになったため、新たに仕事もできるようになりました。

こんな風に、この患者さんのように、ジャパンハートで治療を受けて、病気や傷が良くなって、少しでも多くの患者さんの人生や心を救う手助けができたらいいな、と思います。

火傷の患者さんとその家族との2ヶ月間

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