活動レポート

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【災害支援・対策(iER)】佐賀県イタリア型避難所運営実証実験

up 2025.11.15

令和7年10月27日から31日まで、佐賀県伊万里市と唐津市を会場に、一般社団法人避難所・避難生活学会と株式会社シェルターワンによる「イタリア型避難所運営 実証実験」が行われました。

ジャパンハート iER 災害支援対策 イタリア型避難所運営

この実験は、災害発生後48時間以内に“質の高い避難所”を設置することを目指し、SUM化(標準化・ユニット化・機動力化)された TKB(トイレ・キッチン・ベッド)を軸に展開され、ジャパンハート災害支援・対策セクションでは、この日程内の29日~30日に行われた実動訓練に参加しました。

今回、ジャパンハートは「避難所での実働訓練」のプログラムづくりを担当させて頂きました。災害時の避難所で被災者を受け入れた直後のスクリーニングや、避難所内での再配置の仕方を訓練しました。
机上の理論ではなく、実際に“現場でどう動くか”を学ぶ実践的な訓練となりました。

近年の豪雨災害や地震では、避難所運営における「初動の遅れ」や「環境の悪化」による健康被害が問題となっています。今回の実験では、自治体職員が関与せずとも運営できる避難所モデルを検証し、被災者支援の遅延防止・健康被害の予防・災害関連死ゼロの実現を目指しました。

今回の訓練想定は線状降水帯が北部九州に停滞し、伊万里市中心部が冠水。一部の指定避難所が機能停止する中、高台にある松浦小学校が「二次避難所」として稼働。唐津市の旧箞木小学校を備蓄基地とし、そこからSUM-TKB資機材を越境輸送して設営する、というシナリオで進行しました。

実験の様子

全国から集まった支援団体、自治体職員、企業、ボランティアらが参加し、2日間にわたり実動訓練を実施しました。

【1日目(10月29日)】
開会式後、参加者は避難所内に段ボールベッドを組み立て、実際に宿泊を体験。医療・福祉・ペット支援などの現場型訓練も行われ、夜はキッチンカーによる温かい食事と交流会で意見交換が行われました。

【2日目(10月30日)】
見学者を交えて講演会・ワークショップ・救助犬デモンストレーションを開催。参加者はA・Bグループに分かれ、避難生活支援の知識や技術を学びました。最後に全員でフィードバック会議と閉会式を行い、今後の課題や成果を共有しました。

ジャパンハート iER 災害支援対策 イタリア型避難所運営

学びと気づき

今回の訓練では、シェルターやキッチンカー、段ボールベッドの早期導入によって、避難所での生活環境が大きく改善されました。従来の避難所とは異なる快適な環境に「贅沢過ぎる避難所では自立が遅れるのでは」と考えていましたが、実際には「避難所生活を手厚くサポートすることで、自分の生活再建への活力を取り戻し、結果として早い自立につながる」という話を聞き、自分の中での新たな視点となりました。
また、今回の実証を通じて、個人・民間・行政すべてが“オールジャパン”で災害に備えることの重要性を再認識しました。発災時には「誰かがやってくれる」ではなく、「自分にできることを自ら行う」姿勢が求められると改めて感じました。

「たった一人の災害関連死も出さない。」

日本以上に災害の多いイタリアで多くの方がこの想いを共有しており、その想いが避難所づくりのすべての行動の原動力となっているとのことでした。

被災された方が、多くの困難を乗り越えて次のステップに進めるよう今回の訓練で学んだことをもとに、より良い避難所運営を考えていきたいと思います。

ジャパンハート iER 災害支援対策 イタリア型避難所運営

 

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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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