カンボジア駐在の看護師、藤井です。
2025年9月に一時帰国し、第39回日本手術看護学会年次大会に参加しました。大会では日本手術看護学会(以下JONA)とジャパンハートの連携プロジェクトについて活動報告させていただきました。

活動報告終了後のアンケートでは「ジャパンハートについて多く知ることができてよかった」「実施に活動に参加したい」「これからも応援しています」などのお声をいただきました。
さらに会場には、偶然にも10年前にジャパンハートの海外ボランティアに参加された方や、看護師ツアーにご参加くださった方もおられ、お声がけをいただきました。ジャパンハート設立から21年、多くの方に支えられ、応援されてきたことを改めて実感する機会となり、大変嬉しく思いました。

ジャパンハートは2024年12月に日本手術看護学会(以下JONA)とパートナーシップを締結し、協働の取り組みを進めています。
具体的にはカンボジア人看護師へのオンライン勉強会があり、初回は「手術看護の概要」について、第2回目は日本の手術室看護師の業務例を紹介したうえで、自由な意見交換の場を設けました。さらに第3回勉強会では「手術中の体位」「皮膚損傷と神経麻痺」など毎回テーマを変えて学びを深めています。
カンボジアの手術看護における課題の一つとして、術前訪問(手術室看護師が手術を控えた患者さんを事前に訪問して情報収集や説明等を行うこと)が十分に取り組めていないことがありました。一方、勉強会後はカンボジア人看護師が自ら取り組み、さらに継続していることに大きな成長を感じています。カンボジアの人々は一般的に飽きやすい傾向がある中で、取り組みが続いていることは非常に意義深いことです。
カンボジアのリーダー看護師スタッフからは「少しずつ手術室スタッフの変化が見えてきている。まだ100%ではないが、若い看護師たちも努力しようとする姿勢が見られ、勉強会で得た知識を後輩に伝えている」
「皆で同じ勉強会を受けることで同じ方向に成長でき、手術患者へのケアに関する意思疎通も容易になった。今後はカンボジア人がカンボジア人に勉強会を実施できるようにしていきたい」といった力強い言葉も寄せられています。
勉強会で得た知識が少しずつ彼ら自身のものとなり、現場に根づいてきていることを実感しています。
このような現場の変化と前進は、JONAの皆さまのご尽力の賜物です。 ご多忙の中、資料のご準備や複数回にわたるミーティングなど、継続的なご支援をいただいていることに、心より感謝申し上げます。
今年10月にはアジア小児医療センターが開設し、より高度な技術や看護の実践が求められる中、今後もJONAの皆さまと連携を深めながら、よりよい手術室看護の実践と人材育成に取り組んでまいります。

看護師
藤井祐美子
▼日本手術看護学会×国際医療NGOジャパンハート パートナーシップ協定締結
https://www.japanheart.org/topics/press-release/20241209.html

