活動レポート

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【災害支援・対策(iER)】日本災害看護学会 第27回年次大会 活動報告

up 2025.10.14

2025年9月6日から7日にかけて、国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催された「日本災害看護学会 第27回年次大会」に参加しました。本大会は「災害における看護の汎用性」をテーマに、現地開催とオンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド形式で行われ、2,000人を超える参加者が集いました。

ジャパンハート iER 災害支援 医療

今回のテーマは、阪神淡路大震災から30年を迎える節目にあたり、災害時に看護がどのように幅広く、持続的に役立つのかを再考するものでした。首都直下地震への備えが社会的課題として高まる中、災害看護の原点に立ち返り、平時からの準備や専門職間の連携、市民への普及啓発を考える意義を強く感じました。

大会では、大会長講演や特別講演に加え、シンポジウム、パネルディスカッション、教育講演など多彩なプログラムが展開されました。特に印象に残ったのは以下の2点です。

これまでの生活や医療/介護ケアの連続性の喪失

災害関連死や介護福祉施設入所者の避難後の死亡要因の一つは、基礎疾患や介護度そのものではなく、地震による生活習慣や環境の変化、継続していたケアの断絶など、「これまでの生活や医療・介護ケアの連続性の喪失」にあることが研究で示されていました。活動においても基礎疾患に注目しがちですが、ジャパンハートのように亜急性期以降も活動を継続する場合には、各個人の災害前の生活やケアの背景を踏まえた支援が重要であると感じました。

受援者側の思い

シンポジウムの一つでは、能登半島地震の際に被災しながらも医療活動を継続した地元の保健師や看護部長、また被災患者を受け入れた金沢の看護部長が、当時を振り返ってお話しされました。特に、外部支援への感謝の気持ちを示される一方で、受援にあたって直面した苦労や葛藤について語られた場面が印象的でした。

 

「支援は有り難かったが、自己完結とは何だろうとも感じた。現状復帰を条件に場所を提供したが、現状復帰はなされず、結局疲弊した職員が片付けた。」
「多くの支援物資が届いたが、荷下ろし・片付けも含めた支援が頂けると有難い。大量に届いた灯油を職員が住民に声かけし運ぼうとしたが、高齢住民が多いため結局職員が届けて回ったなど様々な業務に追われた。自助、受援に対して熟慮しておくことが重要だと感じている。」

「支援に来てくれた方が、現場のやり方を否定し「一般的にはこのやり方ではないですよね?」と言われた時は辛かった。」

ジャパンハートとしても地域の支援者のこうした思いを理解し、今後は支援者自身を支える活動を継続していく必要があると強く感じました。

 

2日間の参加を通じて、学術的な知見だけでなく、実践に活かせる多くの示唆を得ることができました。

また、出展していたブースでは「ジャパンハートはずっと気になっていた。」「海外支援にも興味があり、ブース出展で話を聞こうと思っていた。」などのお声もいただき、知らない方へのアプローチに加え、既にご存知だった方ともお話ができて非常に良い機会となりました。

ジャパンハート iER 災害支援 医療

今後は、学会で得た学びや各所とのつながりを自らの活動現場に還元し、災害に強い地域づくりや支援の質向上につなげていきたいと思います。

 

 

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ジャパンハートの災害支援・対策(iER)

ジャパンハートの災害支援・対策iER(International Emergency Relief)では、国内外で発生した大規模災害に対応し、緊急医療支援を実施しています。
■2011年3月~2014年3月 東日本大震災緊急支援
■2016年4月 熊本地震緊急救援
■2020年4月~2022年9月 新型コロナウイルス感染症緊急救援
■2021年8月 令和3年8月豪雨災害緊急支援
■2022年9月 台風14、15号緊急支援台風
■2023年7月 令和5年九州北部豪雨緊急支援

今後も現場の支援ニーズを見極めながら、救援活動を継続的に実施していく予定です。
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