活動レポート

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カンボジア ポーサット州洪水被災地緊急医療支援活動で看護師が感じたこと

up 2020.11.20

10月24日~27日の4日間、台風ナンカの影響により、洪水被害にあったカンボジアポーサット州のSvay Dong Kev地区へ緊急支援活動へ行ってきました。

カンボジア ポーサット州洪水被災地緊急医療支援活動で看護師が感じたこと

ジャパンハートの医療チーム8名で現場へ向かい、4日間で6カ所の活動地をまわり、合計488名の診療を行う事ができました。

実際に現地に向かうと想像を絶する洪水の影響が残っていました。
私達や医療物資を乗せた車が進めない程ぬかるんでいる道や、田んぼが水に沈み、湖が出来ている場所が広範囲でありました。
道が悪いため、車がスタックする事も多々ありました。

その度に、地域の方達の助けを借りながら活動地へ向かう事が出来ました。
また、車が進めない場所はボートやトラクターに支援物資を乗せて移動を行い、道を進んで行きました。

カンボジア ポーサット州洪水被災地緊急医療支援活動で看護師が感じたこと
※カンボジアでは交通手段として、水がはった田んぼの上をボートで移動します。

活動場所には風邪が治らない方や浸水による怪我など様々な症状を訴える方が来られていました。洪水の影響は周りの生活環境だけではなく、身体や精神・社会的にも多大なる影響を及ぼしていました。

そんな方達と接する中で、カンボジアで必要とされている医療とは何か?を強く感じる事が多々ありました。

今回の4日間の活動の中で強く感じた事は、患者にとってのbestを探すのではなくbetterが大切になってくるという事です。
例えば、足に潰瘍が出来ている患者さんとの関わりについて。日本なら不潔にしないように、毎日きれいな水で洗浄し、軟膏を塗って下さいと説明すると思います。しかし彼の仕事は魚を取ることでした。今日生きていくために、そして家族のために働いている彼に「汚れた水に入らないで下さい」などと説明は出来ません。
そのため、水に入った後は綺麗な水で洗って軟膏を塗って下さいと説明しました。

日本の医療は常にbestを考えて動きます。しかし、カンボジアでの医療はその人の疾患だけではなく、その人と周りの人達の生活や人生を看る事が大切だと感じました。
病気だけではなく人を看る医療の難しさや、奥深さを学んだ4日間でした。

カンボジア ポーサット州洪水被災地緊急医療支援活動で看護師が感じたこと

また、私は活動の中で集まってくる患者さんの表情が変わっていく事に気づきました。
皆さん、最初は恐る恐るやって来ます。不安そうな顔をしている方も沢山いました。しかし、血圧を測り、患部に手を当て、ゆっくり話しをすると自然と笑顔になり、最後は笑顔でオークン!(カンボジア語でありがとう)と言って帰られます。
私たちが行ったのは応急処置と数日間の薬の処方です。
しかし、この活動は医療を提供するだけではなく、人々へ安心を届けているのだと気づく事ができました。

カンボジア ポーサット州洪水被災地緊急医療支援活動で看護師が感じたこと

今回のような活動こそ、ジャパンハートの強みである“医療が届かない場所に医療を届けること”や“人々のこころに寄り添う医療”だと感じています。

現在、コロナの影響で世界の様々なNGO団体の活動がストップしています。
そんな中、こうして活動が行えている事、沢山の笑顔に出会える活動が出来ている事、全てがジャパンハートだからこそ出来ているのだと感じています。

そして、その一員として活動が出来た事を心から嬉しく思います。
私自身、今回の活動で地域の方達から沢山の事を学び、沢山助けてもらいながら活動を終える事が出来ました。

これからも学び続け、カンボジアの方達に少しでも安心と幸せを届けれるよう頑張っていきたいと感じています。

看護師長期研修55期生 小林裕未

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