2025年2月21日から25日にかけて、国立病院機構岡山医療センターの中原康雄医師によるミッション(集中的な手術活動)が実施されました。長年にわたりジャパンハートの活動を支援してきた中原医師は、日本とカンボジアを行き来しながら小児がんの手術を行い、現地の医療者の育成にも尽力されています。
期間中には合計11件の手術が実施されました。小児がん患者だけでなく、尿道下裂や直腸肛門奇形など、一般病棟の患者さんも手術を受けました。
今回は、その中でも小児がんの手術を受けた2歳の男の子、モニーリーチくんの物語をご紹介します。

家族の手で選んだ最善の道
モニーリーチくんの異変に家族が気づいたのは、今から約1年半前のことでした。
当初は目立った症状はありませんでしたが、立ち上がるときやお尻を洗うときに「痛い」と訴えるようになり、座ることも避けるようになりました。
シェムリアップの病院を受診し、手術と生検(腫瘍の一部を採取して詳しく調べる検査)が行われ、その結果、「悪性腫瘍」であることが分かりました。
診断を聞いたときのことを、お母さんはこう振り返ります。
「とても心配でした。悪性だと言われても、これからどのような治療になるのかが分からず、不安でした」
家族は最善の治療を探す中で、知人からジャパンハートこども医療センターのことを聞き、受診しました。
当初はタイでの治療も検討されていたそうです。それほどまでに、家族は慎重に選択していたのです。

ジャパンハートに入院したモニーリーチくんは、「仙尾部卵黄嚢腫瘍」と診断され、治療は長期にわたる可能性があると説明を受けました。
「治療は長くなると言われて不安でした。でも、先生や看護師が丁寧に説明してくれ、きめ細やかにサポートしてくれたので、少し安心しました」とお母さんは振り返ります。
抗がん剤治療を重ねながら、手術の時期を待つ日々が続きました。
「早く治ってほしい」――それがお母さんの一番の願いでした。
迎えた手術当日
手術当日、モニーリーチくんは母親の腕にしがみつきながら手術室に入りました。
「ママ…」と小さな声で呼び、抱っこを求める姿。看護師さんの声かけにぎこちなく笑顔を見せるその表情からは、小さな体で手術に向き合う不安と、それでも前を向こうとする勇気が伝わってきました。

手術は4時間近くに及び、モニーリーチくんは無事に乗り越えました。
ICUに移った彼は、まだ眠そうな目をこすりながらも、「部屋に戻りたい!」「早く遊びたい!」と元気な声をあげました。胸元のモニターや管に目をやりながらも、好奇心いっぱいに指を差す姿には、2歳らしい無邪気さと、たくましさが感じられました。
手術を終えた今の気持ちについて、お母さんは静かにこう話しました。
「手術前はとても心配でした。でも、終わった今は少し安心しています。無事に乗り越えられて、うれしいです。」
その言葉からは、家族が寄り添いながらモニーリーチくんの勇気を見守り、支えてきた日々の思いが伝わってきます。病気と向き合う中でも、2歳の彼の小さな笑顔が家族に大きな希望を与えているのです。
小児医療ミッションが届ける命の力

今回のミッションでは、小児がん治療だけでなく、先天性疾患を抱える子どもたちにも手術が行われました。
短期間で集中して行われる医療のひとつひとつが、限られた資源の中で多くの命を守る力になっています。
モニーリーチくんのような子どもたちが、少しでも安心して治療を受けられるように、スタッフ一人ひとりがそばで支えています。
緊張や不安を抱える小さな子どもたちに寄り添う日々の取り組みが、子どもたちの勇気につながっています。
ジャパンハートアジア小児医療センターでは、今後もこのようなミッションを継続し、カンボジアの子どもたちに必要な医療を届けてまいります。
皆さまの温かいご支援が、ひとつひとつの命を支えていることを、心から実感しています。
心より感謝申し上げます。
長期学生インターン
梅木 真希
▼プロジェクトの詳細はこちらから
https://www.japanheart.org/tag/cambodia/

