活動レポート

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1900gの小さな赤ちゃんとカンボジア助産師たち
up 2020.04.24

皆さん、体重1900gの生まれたばかりの赤ちゃんを想像して見てください。保育器に入っていたり、赤ちゃんの専門病棟のNICUやGCUで管理をしていたりするイメージを持ちませんか。

先日、いつものように産後ケアをジャパンハートの病院で行うため、生まれた赤ちゃんとお母さんを迎えにお隣の公立ポンネル病院に行った時のことです。産後の部屋には何組かの家族がいましたが、部屋を訪れたとたんに周りがガヤガヤと私たちに向かって何かを話してきます。そして、皆の視線の先には、とても小さな赤ちゃんがお母さんの横でスヤスヤ眠っていました。在胎週数34週6日の1900gで生まれた赤ちゃんです。

妊娠37週以降が正期産ですので、早産で低出生体重児です。日本だと一般病床ではまず看たことのない週数と大きさの赤ちゃん、もちろん「なんでここにいるの」と戸惑いました。でも赤ちゃんの肌はピンク色、呼吸は落ち着いていて、外見も成熟児のようでした。

【カンボジアでは妊婦健診を受けること自体が浸透しておらず、妊娠中にエコーを受けたことが無いお母さん達もたくさんいます。そのため、週数自体が間違っていることもよくあるのです。もし小さく生まれた赤ちゃんがいたら、早産児なのか、成熟児だけれどもFGR(子宮内胎児発育不全)なのか判断し、赤ちゃんの状態によっては、すぐにプノンペンの大きな病院へ搬送しなければなりません。】

今回は、先輩の日本人助産師にアドバイスももらい、他の大きな病院には送らずに私達の病院で赤ちゃんとお母さんを一緒にケアすることにしました。

1900gの小さな赤ちゃんとカンボジア助産師たち

私たちの病院へ来た後も赤ちゃんの状態は良く、おっぱいの吸い方も上手でした。小さく生まれた赤ちゃんを思ってなのか、お母さんのおっぱいもよく出ます。助産師たちも「おっぱいもよく出てるし、赤ちゃんも良く吸えてるよ」と。でもなんにせよ1900g、おっぱいを良く吸えていると言っても、まだまだ量にはなっておらず補足が必要です。そのことも含めて、血糖・体温管理、黄疸、体重減少のことなど、私はしつこいくらい、助産師たちと確認しました。実は、そのころ私はまだカンボジアに戻って来たばかりで、こんな小さい赤ちゃん、ちゃんとケアできるかなと一人であたふたしていたように思います。

カンボジア人の助産師たちからは、「オッアイテー(クメール語で大丈夫という意味)、今まで何人もこれくらい小さな赤ちゃんを看たことがあるから。」となんとも頼もしい返事。彼女たちは、これまでの日本人の先輩助産師やたくさんのボランティアさんからの教えを吸収し、日々成長しているのだなあと感じました。

ただ思うのは、そうです、よく新人の頃に先輩にしつこく言われた「ケアを行う根拠」です。経験や人から聞いたことだけに頼るのではなく、さらに自分で調べた上でケアの根拠まで理解してほしいなと思います。根拠を理解していれば、臨機応変に一人一人に合わせたケアができます。そして、きっと彼女たちも後輩に教えるときに思うでしょう、自分が知っていることでも、後輩がちゃんと理解できるように教えるのは思った以上に難しく、自分自身の理解もまだ不十分だったことにも気づけます。それはもちろん私も同じです。私自身も彼女たちにアドバイスをしながら、これって何でかな、これで合ってるかなと調べ直すことが何度もあります。こうやってお互いに助産師としてもっともっと一緒に成長していきたいとなあ思います。

先日、嬉しいことがありました。カンボジアに来て初めて帝王切開のベビーキャッチに入らせてもらいました。とても若いお母さんで、初めての赤ちゃん。手術の後は、痛みの方が勝ってしまったのか、気づけばずっとベッドで寝ていました。赤ちゃんのお世話も付き添いの妹さん(しかも妊娠中!)がしてくれていました。カンボジアでは出産後、おじいちゃん、おばあちゃんまで、時には家族総出で付き添い、皆で赤ちゃんのお世話をして、お母さんを助けます。
手術から数日経ったある日、沐浴も妹さんにさせようとするため、さすがに声をかけました。でもその後、授乳もおむつ替えも少しずつですが取り組み始め、上手に沐浴もできるようになりました。退院前には少し得意げに沐浴をするお母さんの様子がかわいらしかったです。そして最初全然あげていなかったのに、母乳はどんどん出てきて、表情もお母さんらしくなってきました。お母さんにも“母”になっていくペースが人それぞれあるのだなあと改めて感じたできごとでした。

1900gの小さな赤ちゃんとカンボジア助産師たち

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