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未来へ 〜人生の岐路を迎えて:後編

up 2021.12.01

▼前編はこちらの記事をご覧ください
未来へ 〜人生の岐路を迎えて:前編

プロフェッショナルとは 〜17歳・男性

11月から公立学校が再開され、Dream Trainの子どもたちは元気に学校に行っています。しかし、その学校通いを心から喜べない子もいます。
彼は高校2年生。ミャンマーの高校では最上級生です。
このまま学校に通い続ければ、来年3月には卒業し、卒業証書をもらえるにもかかわらず、学校に行きたがりません。最近では、学校をやめたいと言い始めました。

『勉強が苦手で、授業では周囲から置き去りにされている感じがする。大学に行く気はないから、このまま働きたい。サッカーが好きで、いつも年下の子どもたちとのオンライントレーニングも手伝っている。お世話になっているアルビレックス新潟ミャンマーのスタッフになって、コーチをやりたい。』

と言います。

*施設内でトレーニングの指導を行う様子(私服が本人)

今になっての退学は、とてももったいない。あと数ヶ月通えば高校卒業の資格が手に入って、就職の選択肢も広がる。もう少しだから、続けたらどうか?
そんな風に話しても、なかなか首を縦に振りません。

そこで、本職のコーチに話を聞くのが一番いいだろうと、アルビレックス新潟ミャンマーの井川コーチに、毎週のトレーニングの後に直接相談するよう伝えました。
コーチとはどんな仕事なのか。
高校の卒業資格がなくとも務まるのか。
いいコーチになるには何が必要なのか。
聞いてみたいことや実際上のこと、今の自分の気持ちも、話してみなさいと。

訪れたその日、一連の経緯を聞いた井川コーチからは、次のようなお話しがありました。

『サッカーが好きなだけではコーチになれないし、好きな気持ちだけでは、お金は稼げない。
コーチ業は、サッカーを教える時間よりも、パソコンを使ったり、計算をしたり、外国語でコミュニケーションを取る時間の方が長い。
それに、いいコーチになるには、物理や生物のような学校の教科もよく知っておかないといけない。

もし君がコーチになった時、自分の苦手なことはやらない(学校に行かない)のに、他の子どもたちをどう指導するんだ?
私も勉強はけして好きではないけれど、サッカーの指導に必要な勉強は続けている。
だから、学校には行ったほうがいい。
そして、将来体を壊してしまうこともあるかもしれない。その時のために、別の仕事につくための可能性を残しておいた方がいいから』

厳しくも温かい、プロフェッショナルの言葉でした。現職コーチから放たれる奥行きと包容力ある一言一言に、彼は終始耳を傾け、じっくり聞き入っていました。
そして「考えてみます」と。

*井川コーチと話す本人

その後、再度井川コーチと面談し、復学することを決めました。
今すぐは難しくとも、いつかアルビレックスで働くことを目標に、これから努力したいとのことでした。

『サッカーが一番好きだから、一所懸命頑張ります』

この言葉に、井川コーチからも笑みがこぼれました。

人生の岐路に立つ子どもたち。いつか必ず来る巣立ちの日に向かって、喜び、悩み、時には涙も流し、懸命に生きていってほしいと思います。

また、そんな子どもたちを優しく見守り、職業人としての成長のために貴重な機会や言葉をくださる支援者の方々に、深く感謝いたします。
難しい時代ではありますが、子どもたちが最良の選択をできるよう、これからも努力していきます。

子どもたちの日々の様子をアップしています。ぜひご覧ください!

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