「先生、こっちもお願いします!」
2人1組でペアになり、それぞれが交代でマッサージ師役そして患者役となりながら行われる医療マッサージの実技練習。マッサージ師役の学生は、患者さん役の体に優しく触れ、そして指先に神経を集中して骨や筋肉などの解剖を懸命に確認しながら、マッサージの練習を行なっています。
そして、それぞれ学生ペアのところを順番に回りながら、マッサージ師役の学生の指に触れ、位置や手技が正しいかを確認・指導するエー・チャン・トゥー先生。あちこちからお呼び声の掛かる先生は、ベッドの間を忙しく行き来しながら指導にあたっています。
学生を指導するエー・チャン・トゥー先生(一番左)
新たに集まった10名の学生たち
今年も6月から「医療マッサージ師養成1年コース」がスタートし、10名の学生がヤンゴン市内の盲学校で共同生活をしながらトレーニングに励んでいます。年齢層は20〜40歳台までと幅広く、視覚的な情報を全く得られない全盲の学生もいれば弱視の学生も。そして生まれつきの場合もあれば、病気や事故などで視覚障がいを負ったケースと、彼らの背景もそれぞれです。
トレーニング開始当初は共同生活に馴染めずホームシックで帰郷を希望する学生もいましたが、お互いに励まし合いながらそれを乗り越え、今は共に学ぶ仲間として団結しつつあります。
そしてこのトレーニングコースでは、マッサージの実技指導だけでなく、医療マッサージ師として必要な生理学や解剖学の授業で体の仕組みについても学びます。また1日に何人も施術を行うマッサージ師の仕事は体力勝負。授業の中には腹筋や腕立て伏せなどの運動の時間も取り入れ、体力作りにも励みます。
そんな学生たち1人1人の素質に合わせながらのトレーニングが、3月まで続きます。
授業風景
体力作りの腹筋
新たに迎えた仲間
自身も視覚に障がいを持ちながら大学を卒業、ジャパンハートの「医療マッサージ指導者養成コース」の1期生として学んだ後は教員として学生の指導にあたり、自身でも僻地でマッサージ店を経営するなど、豊富な社会経験を持ちとてもエネルギッシュなエー・チャン・トゥー先生。
今期からはジャパンハートの視覚障がい者自立支援事業のスタッフとして共に働いてくれています。
▽ エー・チャン・トゥー先生の熱いメッセージはこちら
学生たちも、お互いに補い合いながら良く頑張ってくれています。僕自身も教えることが好きなので、今はとてもやりがいを感じています。トレーニングコースを卒業して働き始めたら、なかなか学ぶ機会はないので、この1年で出来る限りのことを教えたい。そして僕自身の今までの経験も多く伝えていきたいです。
エー・チャン・トゥー先生はこの事業に、新たな風を吹き込んでくれています。
学生を指導するエー・チャン・トゥー先生(中央)
障がいの有無に関わらず、若者が自立して生活していくのが難しくなっている今のミャンマー。
点字で文章を書く学生
そんな中でも、来年3月にはこの10名がしっかりと技術と自信を身につけて、この厳しい社会に羽ばたいていけるよう、私たちは全力でサポートしていきます。
▼プロジェクトの詳細はこちらから
視覚障がい害者の自立支援