医療を通じた国際協力への思い

私は2025年4月から10月までの半年間、ジャパンハートこども医療センターで長期学生インターンとして活動しました。
この活動を始めた背景には、小学生の頃から抱いていた「医療を通じて国際協力に関わりたい」という漠然とした夢があります。
年齢を重ねる中で、その思いは一度も消えることはありませんでした。
進路を考えるタイミングが来たとき、「自分が本当にやりたいことは何なのか」と問い続け、最後に残ったのがこの思いでした。
現場に立って、子どもたちや医療者と向き合うことで確かめたい。その気持ちが強く背中を押しました。
そしてもう一つの理由は、カンボジアという笑顔があふれる温かな国で、人と人が笑顔を交わす輪を広げたいという願いです。自分も笑顔に、周囲の人も笑顔にできるような時間を過ごしたいと思いました。
そんな思いから、ジャパンハートでの半年間を選びました。
支え合いで成り立つ医療活動
振り返って最も強く感じるのは、「ジャパンハートの活動は本当に多くの人の支えで成り立っている」ということです。
現地で長期的に関わるスタッフ、数日間だけでも駆けつけてくれる短期ボランティア、定期的に日本から訪れる認定医や招聘医。
さらには寄付や物資の提供を通して支えてくださる方々、スタッフの憩いの場を整えてくださる地域の方々。実に多くの人がさまざまな形で関わっています。

その支え方はお金に限られません。
ある看護師はツアーで訪れた際に子どもたちのために塗り絵やクレヨンを寄付してくださいました。
ある医師は「きっと子どもたちが喜ぶだろう」とシールやミサンガを作る用に糸を持参してくださいました。
こうした小さな優しさの積み重ねが、日々の活動を続ける力になり、子どもや家族の心を救う医療へとつながっているのだと、現場で初めて実感しました。
これは、活動を外から見ているだけでは気づけない部分です。
ここに来て肌で感じたのは、「ジャパンハートは人の想いでできている団体だ」ということでした。
短期ボランティアとの出会いと学び
特に印象に残ったのは、短期ボランティアとして現地を訪れる医療者との出会いです。
ジャパンハートには3〜5日間ほど現地に滞在して活動を共にする医療者がほぼ毎週のように来てくださいます。
研修医として経験を積みたいという若い世代の方から、子育てを終えて時間に余裕ができたから挑戦してみたいというベテランの先生まで、背景も動機も本当にさまざまです。
彼らは忙しい日々の中で休みを取り、さらには費用を自己負担してまでここに来てくださいます。
その「何かを犠牲にしてでも来よう」と決断した姿勢に心を打たれました。
私は医療的な専門知識で貢献することはできません。だからこそ、「この人たちの思いや経験を言葉にする場をつくろう」と決めました。

実際にお話を聞く中で、日本とカンボジアの医療の違いや医療者としての考え方、生き方にまで触れることができました。
短い滞在の中でも「自分はこう生きたい」と語る方もいれば、「まだ方向は見えないけれど探したい」と模索する方もいました。
その姿はどれも私にとって大きな刺激でした。
また、自分も与えられるだけではないと気づけたことも大きな学びです。
学生ならではの視点、子どもたちと近い距離で関わる姿、現地で精一杯取り組む様子。
それを見て「フレッシュさが伝わる」と声をかけていただいた時、自分の存在も誰かのプラスになっているのだと実感しました。
医療の専門性はなくとも、自分にしかない感性や視点がある。
そう思えるようになったのです。
これからの私と願い
ジャパンハートこども医療センターは生と死が隣り合う場所です。子どもたちは毎日を懸命に生き、その一瞬一瞬がかけがえのない時間です。
体調が急に悪くなることもあります。そんな中でも、笑顔を見せてくれる姿に何度も胸を打たれました。

彼らを支えるために、日本から遠く離れたカンボジアで活動する人たちがいて、日本にいながら協力してくださる人たちもいる。
この現実を知るたびに、強い感動と感謝の気持ちが込み上げました。
現地での活動はひと区切りを迎えましたが、ここで出会った子どもたちや仲間と共に笑い合った日々は、これからも私の中で生き続けます。日本に戻ってからは、「自分にできることは何か」を模索しながら歩んでいきます。
カンボジアで過ごした日々から学んだことは、私にとってかけがえのない財産です。
この経験を胸に、子どもたちの未来を少しでも支えられるよう、これからも挑戦を続けていきたいと思います。
長期学生インターン 笹木 澪莉
▼カンボジアプロジェクトの詳細はこちらから
https://www.japanheart.org/tag/cambodia/

