活動レポート

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ジャパンハート写真集『ONE SKY』制作秘話 vol.2
up 2020.04.13

 写真集『ONE SKY』は、5編のエッセイを書き下ろしてくださった吉岡秀人先生をはじめ、テキストの細部をご確認頂いたジャパンハート東京事務局のスタッフ、最後の最後まで細やかなご調整を頂いた印刷担当の三松堂株式会社の皆樣、印刷に関して的確なご提案を下さったオフィスアスクの浅井社長、翻訳に携わって下さった、T.Fosburyさん、ミュージシャンのAyuoさん等、沢山の方のご協力を頂いて完成しました。

 そんな豪華な制作陣の中で、核となって制作を進めるのは、内藤カメラマン+コヤマデザイナー+私の3者からなる「チーム内藤」ですが、お互い得手不得手を持ちつつも写真の心得のある3人が集まるので、本の制作も一風変わった独特の方法で進みます。

 約40,000カットの撮影写真から内藤カメラマンが<これを写真集に使いたい!>と思う写真をセレクト、そして内藤カメラマンがセレクトした大量の写真群がコヤマデザイナーに渡され、デザイナーの見地から <写真そのもの>がレイアウトされます。そして“写真そのもの”により組まれたレイアウトが私に渡され、時系列やロケーションの精査、<より響く写真><より伝わる写真>との差し替えや追加、レイアウト修正を行い、第1案が出来上がります。そこから文字入れや再レイアウトの度に写真全体を何度も見直しながら、完成へと近づけていきます。そして内藤さんは、何度も積み重ねられるレイアウトの修正に応じて写真のディテールを調整し、より輝く写真に磨き上げていきます。

今回ご紹介する一枚は、そんな何度目かの精査の折に、写真集に掲載する事になった写真です。

 様々な写真家からの影響を受けている内藤さんですが、ご自身が度々公言されておられる通り、影響を受けたカメラマンの一人にユージン・スミス氏がおられます。スミス氏は早い時期から人の命や医療、ケアに強い関心を持ち、ライフ誌での「フォト・エッセイ」でお医者様や助産婦様を取材・撮影されておられますので、今回の『ONE SKY』の制作の際には、スミス氏の視点を活かしたいなと、私は意識的に考えていました。この写真はその考えと誌面構成がうまく融合したページだなと自負している写真です。

ジャパンハート写真集『ONE SKY』制作秘話 vol.2

 この写真を見て著名な絵画を連想する方もおられるかもしれません。海外の絵画にはその作品の背景に聖書との関連があるそうですが、なる程、カトリック系の小学校に通われたスミス氏の写真にも「善良な人間の献身を尊ぶ目線」「汗して働く人や働く事そのものを讃える視点」を感じる事ができます。

 宗教それぞれの違いはさておき、「善良な人間の献身を尊ぶ」事、「汗して働く人や働く事そのものを讃える」事はどの宗教も尊んでいる、また我々人類が共通に感じ入るところだと思いますし、また『ONE SKY』という写真集は、吉岡先生お一人を捉えた写真集ではなく、ジャパンハートという団体そのもの、関わる全ての方達を捉えた写真集でもありますので、命を救おうと、また団体の活動を支えようと懸命に励むお一人お一人の姿を象徴するに相応しい写真であろうと、またその姿が海外の方にも伝わりやすい写真ではないかと考え、セレクトするに至りました。実際に写真集をご覧になると、緊張感が続く手術の様子からこの黄金色の風景写真への展開は、ハッとする程の開放感に満たされるのではないかと思います。

 また後から知ったのですが、この畑はジャパンハート・ミャンマーのワッチェ慈善病院の目の前に広がる風景だそうで、吉岡先生とミャンマーとのつながりを表現しているようでもあり、在るべきところに在った、来るべきところに来た写真なのだなと、制作後にあらためて感じた次第です。

 『ONE SKY』では、内藤さんの写真と吉岡先生の言葉のコラボレーションを図ったページがあります。その言葉は内藤さんが数年にわたり吉岡先生のツイートを拝見し、言霊として感動したものを抜粋したものです。それらの言葉の英訳をミュージシャンのAyuoさんにお願いしました。ニューヨークのカウンターカルチャー運動の中心地であるイーストヴィレッジで幼少期〜学生時代を過ごされたAyuoさんは、米国の音楽文化の影響を大いに受けた内藤さんと共通の世界感を共有されておられるであろうと考え、またAyuoさんは、ギリシャやイランの古典音楽への造詣も深くていらっしゃるので、<古の時代には、お医者様は医療を行うだけでなく、哲学者や文学者としての面を持ち合わせており、吉岡先生にもその要素が感じられる>、という私の翻訳依頼の意図をうまく汲んでくださいました。

 沢山の方々のご協力と叡智がつまった写真集です。様々な切り口で楽しんで頂けると思います。まだまだ大変な状況が続く昨今ですが、皆様の生活を照らす灯りとして、お手にとって頂けたら幸いです。
 
 新型コロナウイルス感染症に罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。また医療従事者の皆様、行政機関を始め感染予防にご尽力されている皆様、薬局、スーパー、ドラッグストア、交通機関、物流や工場で働く皆様等、社会インフラ維持のためにご勤務を続けていらっしゃる皆様方には心より感謝申し上げます。どうぞご安全に!

写真集のご購入はこちらから

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2020. 4.11 Natsuki (JUNJI NAITO PHOTOGRAPHS)

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