活動レポート

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原点に立ち返る

up 2019.10.31

2008年にカンボジアの首都であるプノンペンで事務所を開設してからの約10年間で、カンボジアでの活動は大きな変化を遂げてきました。特に2016年にジャパンハート医療センターを開院してからは、たくさんの患者さんを迎え入れることができ、小児がんの治療にも力を入れた活動ができるようになりました。

そんなジャパンハートカンボジアの歴史の中で、絶対に外せない、原点とも呼べる活動が、「モバイル診療活動」です。車1台に、スタッフと医療器具を詰め込み、医療が行き届いていない地域で医療活動を行い、1人1人に医療を届けていく。特に、病院ができるまでの約8年間はこのモバイル診療活動にすべてを注いでいました。そしてもちろん、病院が出来た後も、継続した活動は行ってきていました。
しかし、幸いなことに多くの患者さんが日々病院を訪れてくれる中で、既存の連携病院以外での活動には中々着手できない状況が続いていました。
この状況を打破すべく立ち上がったプロジェクトが、「モバイルNEXT」です。

「病院という大きな拠点があるからこそ、受身にならず、積極的に、能動的に。これまでに医療を届けられていなかった場所に、我々医療スタッフの方から足を運び、患者さんの下に医療を届けに行く。」

そのように決め、我々がこれまで行ってきた「原点」を、今一度新しくスタートさせました。
0からのスタートのため、まずは活動の場所を決めなければなりません。行くのはこれまでに活動を行ったことのない地域ですので、もちろんツテもありません。紙の地図とインターネット上の地図を広げ、何度もにらめっこをし、1つの地域を見つけました。それが、今回活動を行った、コンポンチュナン州です。

同州には地図上で見てもはっきりとわかるほど、州都から断絶された地域がありました。川が流れており、橋も架かっていないため、州都へは、手漕ぎのボートに長時間乗るか、陸路を大回りして2~3時間かけて行くしかないといった場所です。また、地図を見る限りでは病院も見つかりませんでした。

原点に立ち返る ジャパンハート カンボジア

「まずは行ってみよう」ということで、宛てもないままに現地に向かいました。到着すると、川だけでなく水田も広がっており、地図で見る以上に隔離された地域であることがわかりました。そして、病院はやはりなく、ヘルスセンター(診療所)だけが存在していました。しかしそこに医師はおらず、看護師がすべての患者さんを診ていました。

「ここで医療活動をしない理由がない。」すぐにそう思いました。
そしてそこからは正にノンストップでした。同日中に、ヘルスセンター長、地区長、州の保健省の代表と面会し、「どうしてもあの地域に医療を届けたい」と強い想いを伝えました。すると皆、快く賛成してくださり、同ヘルスセンターでの活動が決まりました。そして、その5日後には第1回の診療活動が行われました。

原点に立ち返る ジャパンハート カンボジア

原点に立ち返る ジャパンハート カンボジア

10月19日、20日の2日間に渡って行った診療活動では、計115名の患者さんが来てくださり、その全員が今回初めてジャパンハートのことを知ったとのことでした。10年以上カンボジアでの活動を行ってきましたが、我々が医療を届けられていないところはまだまだたくさんあると実感させられました。

原点に立ち返る ジャパンハート カンボジア

原点に立ち返る ジャパンハート カンボジア

診療を求めてヘルスセンターに着た患者さんと診療活動の様子

この2日間では診ることができなかった患者さんもたくさんいました。また、医療が届いていない地域は、確実にまだまだ存在しています。「モバイルNEXT」という名前が示すように、我々は「次」の患者さん、「次」の地域へと医療を届けていき、同プロジェクトを通して、カンボジアにいるすべての医療を必要とする人のもとへ向かっていけるよう、邁進します。それこそが当団体の使命だからです。
まだまだ始まったばかりの本プロジェクトですが、今後も暖かく見守っていただけますと幸いです。

最後に、飛込みで訪れたにも関わらず快く活動を受け入れてくれた、同州保健省代表及び、地区長、週末にも関わらずご協力してくださったヘルスセンターのスタッフの方々、たくさんの患者さんに周知をしてくださった同地区の村長さん達へ感謝の意を表したいと思います。
オークンチュラン!!

ジャパンハート 杉山智哉

原点に立ち返る ジャパンハート カンボジア

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