活動レポート

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「自宅療養者を守るには?」~北海道クラスター支援~

up 2021.09.06

デルタ株が猛威をふるい感染者数は急拡大。東京都の自宅療養者が2万突破したとニュースで聞きました。
実は少し前の2021年5月に入院させるべき人が入院できない状況が第4波の北海道では既に起こっていました。

「ベッドが空かない。入院させたくても、全員をさせてあげられない。自宅療養の方が心配。どうか自宅で亡くなる方が出ないようにしたい。」という保健所の保健師さんからの声がジャパンハートへ届きました。

手を挙げてくれた地元の訪問診療1か所と保健所、DMATが連携協働して自宅療養者の訪問診療が開始され、そこでお手伝いするためにジャパンハートも支援を開始しました。

自宅療養者は全員保健所より電話連絡での健康観察が毎日行われます。その中でも連日高熱が続いている、息切れする等の有症状者を中心に往診を行います。

往診は2人1組で行いました。時には医師がおらず看護師のみの組もあり、その際は遠隔で医師より指示をもらいながら診療に当たります。

自分の集めた情報やアセスメントによって、救急要請すべきかや入院の優先順位、治療方針をどうするか等が決まるため、毎回の往診時はかなりの緊張感と責任感を感じました。

在宅診療は効率面だけで考えると、とても非効率な方法です。
特に今回保健所は北海道ということもあり、管轄地域が本当に本当に広大です。車で片道1時間以上かかってしまう自宅もざらにあります。多くても、訪問は1日に10件前後が限界でした。
そんな中少しでも多くの患者様を訪問するために、診療所は「コロナ号+タイベック」という作戦をとっていました。

「コロナ号+タイベック」とは…

ニュースで見かけた事もあるかもしれないこの防護服をタイベックと呼びます。
タイベックを着て車内をレッド(ウイルスがいるとされるゾーン)とすることで、より多くの患者様の元へより早く訪問する事ができます。
訪問毎の着脱や物品の消毒等の必要がないからです。

もちろん、デメリットもあります。
①とにかく目立つ
②とにかく暑い
③一度着ると訪問診療終了まで基本的に脱げない
想像通りかもしれません。

①に関しては、時に「近所の目が気になるから来ないでください」と言われたこともあり、難しいな…と思うこともありました。
それでも「仰々しい格好でお邪魔して申し訳ないです。体調いかがですか?」と訪問すると、どこかほっとした表情となる人や家族の方が圧倒的に多かったように感じます。

見たことのない医療機器を使わないといけない、この先体調どうなるか分からない、入院しなくて大丈夫か、救急車はどの程度で呼んでいいのか、家族の療養を支えていかなければいけない、他の家族を感染させてしまったらどうしよう…
それぞれ本当に様々な不安を抱えながら療養されていました。

ベッド数が限られている以上、入院の優先順位をどうしてもつけないといけない状況は本当に心苦しいばかりでした。選ばないといけない立場の人も、入院を待っている人も、皆苦しいのです。

幸い私の活動中にピークアウトし自宅死亡者0名で活動を終了できました。微力ながら活動に参加し地域に貢献できたことを嬉しく思います。

制度や対策、体制も整わないままに第5波へ突入してしまったように思います。
自宅療養者の方は不安いっぱいです。どうか無事に療養を終えられるよう祈るばかりです。
また、コロナの最前線で地域の人を守るべく懸命に働いている方へ感謝申し上げます。
先の見えない闘いで苦しい限りですが、どうぞご自愛ください。

救急車を借りて養生をする保健所の皆さん

大変な中笑顔の絶えない、とても温かい診療所の皆さま。また一緒に働きたいです。

 
~余談~
北海道は広く往診の際に高速道路を使用するのですが、料金所に入った時に料金所の方が明らかにギョッとした顔でこちらを見て「こっ…コロナの方を乗せているんですか…?」と一言。ユニパックに入れたキレイな現金をお渡しして事なきを得ました。
びっくりさせてしまい申し訳なかったなと思ったのと、「コロナ号ぜひETCを搭載してください!!!」と思った次第です。(笑)

そんなコロナ号。後続車からは雪だるまが2つ乗っているように見えるようです。
北海道で見かけた際は温かい目で見送ってもらえたらと思います。

ジャパンハート看護師 本田 絵里香

▼プロジェクトの詳細はこちらから
国際緊急救援(iER) | 新型コロナウイルスと闘う人々を支え、医療崩壊を防ぐ

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