活動レポート
日本
2026.10.28
現在、災害支援・対策セクション(iER)は令和8年熊本地震の被災地にて支援活動を継続しています。
災害支援・対策事業部(iER)は令和8年熊本地震の発災翌日から現地入りし、熊本県八代市の2か所の避難所で常駐支援を行ってきました。 私たちが目指しているのは、発災直後を乗り越えた方々が避難生活の負担による体調悪化などで命を落とす「災害関連死」を防ぐことです。
その取り組みの一つがエコノミークラス症候群の予防です。避難生活では活動量の低下や水分不足によって、足の深い静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症(DVT)」のリスクが高まります。血栓が肺の血管に詰まると、命に関わることもあります。
予防のためには体を動かすことや適切な水分摂取が大切です。 しかし、避難所で生活する方々にそれらを呼びかけるだけでは十分ではありません。 私たちは常駐支援の中で「なぜ体を動かしにくいのか」「なぜ水分を控えてしまうのか」という、生活上の事情に目を向けました。
例えば、トイレの問題です。断水が続き、多くの方が利用するトイレでは、汚れが目立つことがありました。屋外のトイレまでの距離や段差も足腰の弱い方にとって負担になります。トイレに行くことを避けようとして水分を控えてしまう状況では、飲水を勧めるだけでは解決しません。
そこで、八代市をはじめとする関係者と協力し、清掃時間を決めて衛生環境を保つとともに、段差への対策や通路・動線の整備、トイレの運用方法の検討を行いました。
安心してトイレを使える環境を整えることも水分摂取を支え、予防を実践しやすくするための大切な支援です。
体を動かす機会についても同様です。毎日の体操や散歩に加え、団らんスペースを設け、塗り絵や折り紙などを行いました。 大切にしたのは、運動を勧めるだけでなく、「外に出て誰かと話したい」「活動に参加したい」と思えるきっかけをつくることです。 次第に活動時間以外にも自発的にテントの外へ出たり、会話を楽しんだりする姿が見られました。楽しみや交流が日常の活動量を増やすきっかけになったと感じています。

また、常駐先の2か所では八代市職員や他の医療チームと協力し、発災から1週間以内に段ボールベッドを導入しました。 床から立ち上がる負担を軽減し、動きやすい環境を整えることも活動量の維持を通じてDVT予防を支える取り組みになったと考えています。

こうした日々の予防と併せて、新潟大学の榛沢和彦先生らのチームが行うDVT検診にも同行しました。iERの医師・看護師・臨床検査技師が同チームと八代市内の避難所を巡回し、超音波検査で足の血栓の有無を確認しました。
DVTには、足の腫れや痛みなどの自覚症状がない場合もあります。「困ったら相談してください」と待っているだけでは、本人も気づいていない血栓を見逃す可能性があります。だからこそ、支援者側から避難所へ出向き、症状のない方にも声をかけて検診につなげることが重要です。 検査をしなければ見つからなかった血栓を早期に発見し、必要な医療や継続支援につなぐ。その積み重ねが、重症化や「防ぎ得る死」を防ぐことにつながると考えています。

ジャパンハートは10月28日現在も、八代市で常駐支援を継続しています。
地域医療の復旧や生活再建の進展に伴い、必要とされる支援も変わります。
これからも住民の方々の声と暮らしに目を向け、行政や関係機関と連携しながら支援内容を見直し、一人ひとりの健康と命を守る活動を続けていきます。
ジャパンハートでは、熊本地震の被災地で医療支援・物資支援を継続しています。
現地へ必要な支援を届け続けるため、皆さまのご支援・ご寄付をお願いいたします。