活動レポート
日本
2026.08.01
現在、令和8年熊本地震の被災地にて活動を開始している災害支援・対策セクション(iER)。今回のレポートでは7月の能登活動の様子をお届けします。
令和6年能登半島地震の発災から2年を過ぎた現在も、災害支援・対策セクションでは、サロンや訪問活動を継続しています。
災害後は、生活環境や食生活の変化、精神的・身体的ストレスなどの影響から「災害高血圧」が問題となります。災害による健康被害は、発災直後だけに起こるものではありません。生活環境が変化した復興期だからこそ、慢性疾患の悪化や生活習慣病への対策が重要であり、私たちは二次的健康被害を防ぐため、継続した健康支援を行っています。

そのような中で出会ったのが、ご自宅で生活されているBさんでした。Bさんの血圧を測定したところ、収縮期血圧は160mmHg台でした。これまで受診歴はなく、受診をお勧めしても「忙しいから」と話され、なかなか受診にはつながりませんでした。
高血圧は自覚症状が少ないため、危険性を実感しにくい病気です。私たちは、Bさんにサロン活動でお会いするたびに、高血圧を放置すると脳卒中など重篤な病気につながる危険性を啓発資料を用いて繰り返しお伝えしました。また、血圧手帳をお渡しし自己測定も指導しました。
Cさんとも過去の血圧値を一緒に見返しながら、「今日は前回より下がっていますね」「頑張っていますね」と変化を共有し、血圧が改善した時には一緒に喜ぶよう心掛けました。

関りを続けてから3か月後、Bさんは近くの内科を受診され、降圧薬の内服が開始となりました。「頭が重痛い感じでずっと調子が良くなかった。サロンで血圧がいつも高いから、やっぱり高血圧が原因かもしれないと思って病院に行ってみた。薬をのんだら調子が良くなって良かった」と受診の理由を教えてくれました。現在では、血圧は110~120mmHg台まで安定されています。
先日、私たちはBさんと一緒に「なぜ血圧が下がったのだと思いますか」と振り返りました。Bさんは、「前は塩分を摂り過ぎだったと思う。今は前よりも気を付けるようになった。それと薬をちゃんと飲んどるからやと思う」と笑顔で話してくださいました。自ら改善の理由を言葉にできたことは、ご自身の健康を主体的に捉え、自己管理の意識が育まれていることを感じる瞬間でした。

さらに嬉しかったのは、その後の変化です。Bさんは近所のお友達へ「一緒にサロンへ行こう」と声を掛け、新しい参加者を連れて来てくださるようになりました。サロンでは他の参加者へ血圧測定の方法を教えたり、「健診を受けに行った方がよいよ」と声を掛けたりする姿も見られるようになり、今では地域の健康づくりを後押ししてくださっています。

災害による健康被害は発災直後だけでなく、復興期にも続きます。被災された方々は生活再建の忙しさの中で健康意識が後回しになりがちですが、少しのきっかけや寄り添いがあれば、健康意識を取り戻し、更には地域にも良い連鎖を広げていくことができるということを、Bさんとの関わりを通して教えていただきました。
最後に、このような継続支援の必要性をご理解いただき、長期にわたり私たちの活動を支えてくださっているご支援者の皆さまに、心より感謝申し上げます。皆さまからの温かいご支援が、被災された方々の健康と暮らしを支える大きな力となっています。
被災された方々ご自身が持つ力を引き出し、自立的に健康な生活を送れるようになることが復興の一助になると信じて、これからも私たちにできることを続けてまいります。
災害支援・対策セクション(IER) 枡田 眞弓
