活動レポート

日本

2026.07.28

【災害支援・対策(iER)】医療ステップアップ研修「DVTの概論・エコー検査」を開催

 ジャパンハート災害支援・対策セクション(iER)は、2026年6月27日、登録ボランティアを対象に「DVTの概論・エコー検査」に関する医療ステップアップ研修を実施しました。

 「エコノミークラス症候群」の名称で知られるDVT(深部静脈血栓症)の有病率は、一般住民においては約2%前後とされていますが、災害後の避難者では10~30%程度まで上昇すると報告されています。DVTは血栓が肺へ飛散することで肺血栓塞栓症を引き起こし、災害関連死につながる可能性があります。そのため、iERでは発災直後から慢性期までDVTスクリーニングを実施できる体制の構築と、現場で適切な評価・対応ができる医療従事者の育成を目的として、本研修を実施しました。

災害時に求められる医療機器の操作を実践

午前中は、iERが保有するポータブルの医療資機材の概要と活用方法について講義を行い、その後、実機を使用した演習を実施しました。実技では、受講者が実際に機器を操作し、12誘導心電図などの検査を行いました。災害時には、普段とは異なる環境や機器を用いて活動するため、平時から団体が保有する機器に触れ、操作に慣れておくことが重要です。今回の演習は、発災時に迅速かつ円滑な医療支援を行うために必要な知識と技術を習得する機会となりました。 

ジャパンハート【災害支援・対策(iER)】医療ステップアップ研修「DVTの概論・エコー検査」を開催

DVTを見逃さないためのエコー検査を学ぶ

午後は、国内外で豊富な医療活動経験を持つ臨床検査技師を講師に迎え、DVTの概要と下肢静脈エコー検査について講義および実技を実施しました。今回は、日頃エコー検査に携わる機会が少ない看護師なども対象としており、DVTの基礎知識だけでなく、エコーの原理やプローブの種類・操作方法など、初学者にも理解しやすい内容となりました。また、臨床で血栓と鑑別が必要となるベイカー嚢胞や蜂窩織炎などについても取り上げられ、実践を意識した講義となりました。実技では、エコーを使用し、受講者同士で下肢静脈エコーを実施しました。装置の立ち上げから、プローブの選択、深度・ゲイン・フォーカスなどの基本設定を確認した後、講師の指導のもとで実際に下肢静脈を描出し、圧迫法による評価を練習しました。

ジャパンハート【災害支援・対策(iER)】医療ステップアップ研修「DVTの概論・エコー検査」を開催

参加者の声

参加者からは、「日頃病院では扱うことがない機器ばかりで勉強になった」「膝裏にプローブを当てることは知っていたが、どの程度の強さで圧迫すればよいかなど、実際に手取り足取り教えてもらえたことで理解が深まった」といった声が聞かれました。エコー検査は、講義による知識の習得だけでなく、実際に繰り返しプローブを操作し、正常な血管を描出する経験を積むことが重要です。今回の研修を通じて、継続的に訓練を重ねることが、災害現場で血栓を適切に評価し、迅速な対応につなげるために不可欠であることを再認識しました

ジャパンハート【災害支援・対策(iER)】医療ステップアップ研修「DVTの概論・エコー検査」を開催

災害関連死を防ぐために

近年、全国各地で地震や台風などの自然災害が相次ぐ中、私たちはDVTスクリーニングをはじめ、医療機器の整備や人材育成など、多方面から災害への備えをより一層進めています。iERは、発災直後から亜急性期、慢性期まで被災者に寄り添い続けます。災害関連死は、適切な備えと継続的な支援によって防ぐことができる命でもあります。一人でも多くの災害関連死を防ぐため、平時から知識・技術・体制を磨き、被災地に寄り添う活動を続けてまいります。