活動レポート

カンボジア

2026.07.06

【カンボジア医療活動】院内学級で「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育む

現在、ジャパンハートアジア小児医療センター(以下、ACMC)では、月に数回、主に小児がん病棟の子どもたちに向けて「院内学級」を行っています。

長い間、入院生活を続ける子どもたちにとって、学びや活動の機会がいかに大切であるかは、以前から認識されていました。
これまでは病院スタッフがそれぞれ個別に取り組んでいましたが、今年から環境を整え、本格的に活動を開始いたしました。

「普通になりたい」から始まった院内学級

院内学級のきっかけは、「普通になりたい」という子どもたちの切実な声でした。

 病院では「病気と闘う自分」ばかりが強調されがちですが、本来子どもたちは、友達と遊ぶ自分、学校に通う自分、家族の一員としての自分など、さまざまな側面を持つ一人の子どもです。

【カンボジア医療活動】院内学級で「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育む

自分の「命」のみと向き合う日々では前向きになることが難しい瞬間もあるからこそ、一人の子どもとして自分らしく過ごし、夢や希望といった「心の支え」を見つけることは、極めて重要な意味を持ちます。
その「心の支え」が、子どもたちの「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育みます。

院内学級は病気と向き合う日々に希望を灯し、未来へ歩むきっかけを届けています。

学校にいる自分を感じられる場所

院内学級は子どもたちにとって病室以外の居場所であり、学校にいる自分を感じられる場所です。

院内学級で使っている教室は、もともとは病室だった一室を利用して作られました。
今年の3月に机や椅子、ホワイトボードが運ばれ、教室らしい環境が整えられ始めました。

【カンボジア医療活動】院内学級で「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育む

以前はICU(集中治療室)の空いているベッドの上で、子どもたちがノートを広げて勉強することもありました。
しかし、新しく用意された教室に一歩足を踏み入れるだけで、子どもたちは「学校にいる自分」をより実感できるようになりました。

また、この教室では、検査や注射などの治療・処置をいっさい行わない決まりにしています。
「ここでは痛いことをされない」という絶対的な安心感があるからこそ、子どもたちにとって心の安全が守られる、本当の意味での「居場所」になっています。

「子どもたちの未来も一緒に育てたい」

実際に院内学級で先生として教壇に立つのは、普段は病院で命を救うために働く、カンボジア人の医師や看護師たちがメインです。彼らは日々の医療業務の合間を縫って、「先生」の顔へと切り替え、子どもたちの前に立っています。

授業の内容は工夫にあふれており、プロジェクターの映像を使った国語の授業や、ホワイトボードでの数学の授業のほか、ピンポン玉をコップに入れるといった、みんなで盛り上がれるレクリエーションなども行っています。

【カンボジア医療活動】院内学級で「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育む

また、普段メインで活躍するカンボジア人スタッフに加えて、ときには日本人の長期ボランティア医師や看護師たちが、企画やイベントを担当することもあります。国籍を越えたスタッフたちがアイデアを出し合い、子どもたちのために温かい学びの場を作り上げています。

ほかにも、日本の会社や団体と通訳を交えて、オンライン授業を実施することもあります。
普段、病院という限られた世界で過ごしている子どもたちにとって、画面越しに広がる新しい世界や大人たちとの出会いは、大きな刺激と楽しみに満ちています。

「ひとりじゃなく、みんなと学びたい」

ここで、院内学級に通うリタちゃんの声をご紹介いたします。リタちゃんにとって、この院内学級はどんな場所なのでしょうか。

楽しい空間。学校の友達はここにはいないけれど、病院の友達に会える場所。
病院の友達は一緒にがんばる『チーム』みたいな存在です。
一人じゃなくて、みんなと一緒に勉強したい。

【カンボジア医療活動】院内学級で「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育む

病室が教室へと生まれ変わったことを「すごく楽しいし、嬉しい!」と喜ぶリタちゃんには、やってみたいことがたくさんあります。

次は英語の勉強をがんばりたいな。どの科目でも英語を使うから。
あとは、もっと教科書などの勉強の本がたくさん欲しいです。治療の合間など元気なときにそれで勉強したいから。
それから、授業の回数も増えてほしいし、みんなで遊ぶレクリエーションも、もっとたくさんやってほしい!

これからの院内学級

【カンボジア医療活動】院内学級で「今を生きる力」と「未来を生き抜く力」を育む

まだ始まったばかりの院内学級ですが、子どもたちの「もっと学びたい」「みんなと過ごしたい」という強い想いに応えるため、院内学級の活動はこれからも続けていきます。

課題はまだたくさんありますが、これからも子どもたちが治療を乗り越え、その先の未来へ一歩を踏み出せるよう、温かい学びの場を守り、発展させてまいります。

長期学生インターン 小林礼奈

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プロジェクトの詳細はこちらから
 https://www.japanheart.org/activity/medical/asia-childrens-medical-center.html