活動レポート
カンボジア
2026.09.28
ジャパンハートの海外医療現場では、各国で活動する医療者チーム(MT)が、それぞれの現場で医療活動を行っています。また、拠点を越えて活動に携わる機会もあります。
普段はカンボジアでMTとして活動する三丸看護師。今回、ミャンマーの医療現場を実際に見て、現地の医療者とともに活動するため、2026年7月1日から8日にかけてミャンマーを訪れました。
今回の滞在では、医療現場での活動に加え、ジャパンハートが取り組む非医療分野の活動にも触れました。三丸看護師に、ミャンマーでの経験を通して感じたことや、活動を終えた今、看護師としてこれから大切にしていきたいことについて話を聞きました。
日本では心臓血管外科に勤務していた三丸看護師。以前から、ジャパンハートがミャンマーで行っている、心臓カテーテル治療などの活動に関心がありました。
また、看護師としてさまざまな現場で経験を積みたいという思いもあり、ジャパンハート創設者の吉岡医師からの紹介をきっかけに、今回の渡航が決まりました。
ミャンマーでの活動は、ヤンゴン郊外にある、ヤンゴン・ダゴンセイッカン慈善病院を拠点に、吉岡医師のミッションと合わせて行われました。
活動では、患者さんのバイタルサインの測定、手術の準備、手術前後の患者さんへの対応、外来患者さんへの対応など、日々の医療現場を支えました。
今回のミッションでは、現地医療者が脊髄くも膜下麻酔(スパイナル麻酔)を用いた手術を実施できるようになることを目標とし、必要に応じて吉岡医師がサポートや技術指導を行いました。

活動では、日々の現場を支えるだけでなく、現地医療者へのレクチャーも実施しました。救急カートの整備、心電図の貼付位置や心電図波形の見方、不整脈が出た際の対応など、現場のニーズに合わせた内容を取り上げました。
特に救急カートについては、過去に鎮静が必要な患者さんへの対応時、鎮静薬が袋に入った状態で保管されており、必要な薬剤をすぐに見つけられず、迅速な対応ができなかった事例を踏まえて整備を行いました。
救急カートを扱った経験のない現地医療者も使いやすいよう、段ボールで仕切りを作り、薬剤名を記載し、何が入っているかを一目で確認でき、必要な物品をすぐに取り出せるよう工夫しました。

レクチャーや手術現場を通して、三丸看護師が最も印象に残ったのは、現地医療者の謙虚に学ぶ姿勢でした。上司に対しても「足りないところはフィードバックしてほしい」と伝えるなど、新しい知識を得て、より良い技術を身につけようとする姿勢が印象的だったといいます。
「彼らは、学習意欲がある人たちだから、ぜひいろいろな経験を積んで、技術を身につけ成長してほしい。私も力になれたら」と話します。
また、患者さんの安全を第一に勤務するジャパンハートミャンマーの医療者たちの姿も印象的でした。患者さんの靴を並べたり、献身的にサポートしたりするなど、患者さん一人ひとりに真摯に向き合う姿があり、その関わりに患者さんから感謝の言葉が寄せられる場面もありました。
情勢の影響により、必要な物資が十分に入ってこない状況もある中、ないものを工夫しながら対応する医療者の柔軟性にも、多くの学びがあったといいます。
一方で、エコーなど、院内に必要な医療機器が揃っていても、技術面への不安から十分に活用できていない場面もあります。技術の習得や向上には、外部からの医療者による継続的な支援や技術協力が必要です。
医療者と吉岡医師を含む会議では、不安定な情勢によって新しい経験や知識を得る機会が限られる中、ジャパンハートに関わる日本人医療者やカンボジア事業の医療者と協働し、学ぶ機会を設けてもよいのではないかという議論も交わされました。
ミャンマー・カンボジア・ラオスの3拠点で活動するジャパンハートだからこそ、拠点を越えたつながりを生かし、医療者が互いに学び、成長できる機会につなげていくことが期待されます。
今回の滞在では、医療現場だけでなく、ジャパンハートの非医療分野の活動を訪問し、現地で話を聞く機会もありました。
吉岡医師を含むリーダーズミーティングでは、視覚障がい者自立支援の活動報告を聞いたほか、ジャパンハートが運営する、児童養育施設 Dream Trainを訪問しました。
視覚障がい者自立支援では、医療マッサージ師養成コースなどを通して、障がいのある人たちの自立を支援しています。三丸看護師は、支援に関わる人々が目指す「自立」のあり方について直接話を聞くことができ、学びの多い機会だったと振り返ります。
また、Dream Trainでは、2026年7月よりミャンマー教育省の認可を受け、2年間のプログラムを修了することで小学校卒業相当の資格を得られ、中学校への進学が可能となるノンフォーマル初等教育(NFPE)が開始されました。

カンボジアで歯磨き指導などの公衆衛生活動にも携わる三丸看護師にとって、施設内に歯磨き指導の資料が掲示されていたことも印象に残りました。
「医療だけでなく、他の事業を見れたことで学ぶことが多かった。生まれてきた環境は選べないが、環境に左右されずに、どんな子でも明るい未来がある。未来をつくる活動が世界でも広がってほしい」と語ります。

今回のミャンマーでの活動を通して、三丸看護師は、医療者として改めて気づいたことが多かったといいます。
現地医療者が、新しい知識や技術を身につけようと謙虚に学び続ける姿勢。その姿から、自身もカンボジアに戻ってから改めて学ぶ姿勢を意識し、患者さんのために全力で取り組みたいと話します。
また、医療現場と非医療現場の双方で、人が社会の中で自立していくことを支える活動を見たことで、これからの自身の看護について考える機会にもなりました。
「ジャパンハートで診てもらえてよかった、患者さんのために頑張ってくれる医療者に出会えてよかったと、人生を大切に、生まれてきたことに意味があると思ってもらえるような看護を提供していきたい」
ミャンマーで得た経験を胸に、三丸看護師はこれからも、患者さん一人ひとりと向き合う看護を続けていきます。

ジャパンハートカンボジア広報 毛利奏恵