活動レポート
カンボジア
2026.08.17

今回、ジャパンハートアジア小児医療センターでは新病院開院以来初めてとなるカンボジア国外からの患者の受け入れを行いました。
患者は周辺国で暮らす10代の少女です。小児の腎臓にできるウィルムス腫瘍の再々発治療のため、当院で治療を受けることとなりました。
今回の診療では、日本から小児外科・小児腫瘍外科を専門とする米田光宏医師を迎え、現地医師や看護師と協力しながら診療・手術を実施しました。
今回の診療では、日本から来院した米田医師が現地医師とともに手術へ参加しました。

米田医師は小児外科・小児腫瘍外科を専門とし、これまで国立成育医療研究センターや国立がん研究センター中央病院などで、小児がんや難易度の高い小児外科手術に数多く携わってきました。
現在は在宅医療にも取り組みながら、国内外で子どもたちへの医療支援を行っています。
今回も現地の医療者とカンファレンスを重ね、安全な手術を実施しました。
また、治療だけではなく、現地スタッフへの技術指導や症例検討も行われ現地医療者の技術向上にもつながる支援となりました。
「最初に異変に気付いたのは8歳の時でした。」
夜中にトイレへ行った際、尿に血が混じっていることに気付いた彼女。「何かおかしい」と感じた翌日、母親と受診した大きな病院で、腎臓に腫瘍が見つかりました。
病院へ向かう車の中では、激しい腹痛や吐き気、めまいに襲われ、途中で嘔吐するほどの状態であったと教えてくれました。その後、腫瘍を摘出する手術を受けました。
その後は4ヵ月に1回の血液検査と1年に1回のCT検査を受けながら経過を見ていましたが、2023年9月に腫瘍の再発が確認され、カンボジアのジャパンハートで摘出手術を実施しました。
そして今回、定期検査にて再々発の可能性が浮上しました。治療を検討する中で、米田医師の渡航に合わせてカンボジアで再び手術を行う運びとなりました。
「怖さと楽しみ、両方ありました。」
カンボジアへ来る前の気持ちを尋ねると、彼女はそう話してくれました。

「5回目の手術でしたが、成功するか分からなかったので怖かったです。クメール語が話せないことも不安でした。だけど、やっと治療を受けられて、また元気になれると思うと楽しみでもありました。」
大きな不安を抱えながら臨んだ今回の手術でしたが、米田医師と現地医療スタッフの連携のもと無事に終了しました。試練を乗り越えた彼女の表情には、安堵と笑顔が戻っていました。
入院生活の思い出を尋ねると、病院で出会った友人との交流を挙げました。
言葉が通じない場面では翻訳アプリを使いながら、ゲームや会話を楽しみ、出会えば笑顔で手を振り合う関係になったそうです。

また、久しぶりにギターを演奏したことも大切な思い出になりました。
病院内で開催している音楽イベントでは、ギターの美しい音色と優しい歌声を披露してくれました。演奏を通して、会場に集まった人たちには自然と笑顔が広がりました。
彼女にとって、久しぶりに演奏する時間は、ありのままの自分らしく過ごせるひとときになったようです。
最後にジャパンハートへのメッセージを尋ねると、
「もっと多くの寄付が集まり、たくさんの子どもたちが治療を受け、病気で苦しむ人が少なくなってほしいです。そしてスタッフの皆さんが健康で幸せに過ごせますように。」
と、温かい言葉を届けてくれました。
今回、一人の患者を支えた背景には日本とカンボジアの医療者による連携があります。
海外での治療や文化の違い、母国語が伝わらない環境という大きな不安を抱えながらも、多くのスタッフが協力し、患者さんと家族を支えました。
また、日本から来院した米田医師が現地スタッフとともに診療・手術を行い、知識や技術を共有したことは、一度限りの支援ではなく、今後の現地医療にも受け継がれていきます。
今後もジャパンハートは、必要な医療を必要な人へ届けるとともに、現地の医療者との協働を重ねながら、各国で治療が困難な患者を受け入れる高度小児医療センターを目指していきます。
長期学生インターン 小林 礼奈