活動レポート
カンボジア
2026.08.03
ブンリアップくんは、神経芽腫という体内の未熟な神経細胞から発生するがんと闘っている、11歳の男の子です。とても優しく少し人見知りな性格のブンリアップ君は、ゲームが大好きで、プレイルームでほかの患者さんと一緒にゲームをする姿をよく目にします。
病院での生活に慣れてくるにしたがって、小児がん病棟にて主に行われている、様々なイベントにも積極的に参加するようにもなり、今ではいつも楽しそうな表情を見せてくれます。

お母さんが最初に感じたブンリアップ君の異変は食事量の変化でした。
もともとはよく食べる子でしたが、去年の7月頃から少しずつ食事の量が減り始め、体重も3kgほど減少しました。
その後体の痛みも出始め、プノンペン市内の病院で診察を受けました。しかし当初は異常が見つからず、体調がよくなることを願い、カンボジアの伝統療法を試しました。水を使った儀式や薬草を塗る療法などです。一時的に体調がよくなったように感じたものの、症状は続き、再び別の医療機関で詳しい検査を受けると、がんであることが発覚しました。
そして、診断を受けた病院からジャパンハートを紹介され、今年2月に当院での治療を開始しました。
以前入院していた病院では、体に痛みを感じても薬がなかったため処方してもらえませんでした。少しでも楽になってほしいという思いから、お母さんは毎日のようにマッサージを行っていましたが、夜も続く痛みに眠れない日々が続いていたといいます。
ジャパンハートでの治療を開始して以降、ブンリアップ君の痛みは少しずつ改善していきました。しかし、入院当初は治療に対する不安や恐怖心、友達がいない寂しさから涙を流すことも多く、周囲におびえている様子もうかがえました。
そのような中でも、医師や看護師、スタッフが日々寄り添いながら関わり続けていく中で、少しずつ安心した表情を見せてくれるようになっていきました。
「ジャパンハートの医師や看護師はみんな優しいです。そして、病気と闘う息子をいつも応援してくれています。」
お母さんのその言葉からは、病気の治療だけでなく、子どもや家族の心にも寄り添う医療が大きな支えになっていることが伝わってきます。


病院生活に慣れてくると、自分から病室を出てほかの部屋をのぞいたり、プレイルームへ遊びに行ったりする姿をよく目にするようになりました。病院での日々を通して、ブンリアップ君の社交的な一面も少しずつ垣間見られるようになりました。
治療が終わった際には、まず「家に帰って、おばあちゃんに会いたい。」と話すブンリアップ君。病院から家までは約3時間かかります。離れて過ごす時間が長い中でも彼からは家族を大切に思う気持ちが伝わってきます。
お母さんはブンリアップ君の未来についてこう語ってくれました。「まわりの人に幸せを与えられるような人になってほしい。できれば、親孝行もしてくれるとうれしい。」その言葉からは、家族を大切にし、親孝行ができる子になってほしいという思いが感じられました。
そして最後に、「先生方には本当に感謝しています。スタッフのみなさんのご健康と、この病院のさらなる発展を願っています。多くの人々に、この病院のことを知ってもらいたいです。」とお母さんは感謝の気持ちと願いを話してくれました。
この病院の存在が広く知れ渡ることで、小児がんを患う子どもたちが必要な治療へたどり着きやすくなってほしい。それが、ブンリアップ君のお母さんの願いです。そしてそれは、より多くの子どもたちの命を救うことにもつながります。
だからこそ、一人でも多くの子どもの未来のために、病院は、ジャパンハートは、歩み続けます。
そして、ブンリアップ君が安心して治療を続け、家族と笑いあえる日を迎えられるよう、私たちスタッフも支え続けていきます。

長期学生インターン
瀬﨑未彩