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吉岡秀人より新成人へ贈る言葉

up 2022.01.10


平均寿命。

――今の若者たちはどうも100歳を超えるようだ。しかも、健康寿命が相当に長くなるらしい。私の寿命は平均寿命からすると大体、80歳位だろう。

健康寿命が100歳近くあるというのはある意味、恐ろしいことだと素直に思う。私より年長の人たちの老後をつぶさに見てきて毎日本当に楽しそうに健康に生きている人たちがあまり多くなかったからだろう。

お金を持ち、美味しい食事を食べ、贅沢な旅行をする。それは確かに幸せなのかもしれないが、若い頃に、お金がなくて腹ペコで安い定食屋で友人たちと食べた、なんてことない食事の方が遥かに心の満足は高かった。

私は医師になり、患者さんやその家族から期待されたかったから、1日でも早く一人前になりたかったし、経験年数を積み重ねたい焦燥が強かった。
ところが、あれから三十年以上経ってみて、1番充実した医師人生はいつかと問われれば、研修医時代だと素直に思う。
どうしてあの時、仕事でもプライベートでももっと全力で向かい合わなかったのかと今は少し後悔している。

人は、若い頃はいつも未来ばかり意識してる。そして、歳を取れば過去ばかり思い出すようになる。
この今を味わい尽くさなければ、私は本当に豊かに生きたといえるのか?

いつも未来ばかりみて、過去ばかり後悔し、或いは懐かしみ生きていることは、意識の中で生きていることであり、せっかく時間的制約を受け入れ、物理的制約というこの肉体を持って生まれてきた、その意味が、その価値が失われてしまっているのではないのか?

時間や環境に流されるように生きていると、いつも人生が意識の中に埋没してしまう。

意識の中に埋没するだけならば人生100年は長すぎる。
贅沢するだけでは人生100年は長すぎる。
暇な時間を持て余し他人に干渉したり、批判したりする余計な人間になりかねない。
そんな時間が人生の最後に配置されていると思うとゾッとする。

だから、私は決意する。
多少、惨めで不器用でも今を必死に生きるのだと。
あなた方もそう決意した方がいい。
今、ここで。

今を味わい尽くせる人生ならば100年生きるに値する。
過去と未来の狭間でもがく自分が今もいる。

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