活動レポート

ミャンマー

2026.10.07

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける

日本から専門医を迎え、9件の手術を実施

2026年9月、筑波記念病院 小児泌尿器科の上岡克彦先生、岡山大学病院 小児外科の中原康雄先生に、ミャンマーの子ども専門病院を訪れていただきました。

4日間という限られた滞在期間の中で、ミャンマー国内では治療が難しい複雑な泌尿器疾患や小児がんなど、計9件の手術を実施していただきました。

専門的な治療を必要としながらも、国内では十分な治療を受けることが難しい子どもたちにとって、日本から専門医が来て治療を行う機会は、非常に貴重なものです。今回の患者さんの中には、日本から専門医が来て治療を受けられる日を、2年間待ち続けていた14歳の男の子もいました。

2年間、日本チームによる治療の日を待ち続けた男の子

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける

彼が大きな事故に遭ったのは、2022年。交通事故によって下半身に大きなけがを負い、一命は取り留めたものの、自分の力で尿や便を出すことができなくなりました。

その後、尿や便を本来とは違う方法で体の外に出さなければならない生活が続きました。
排泄のために常に医療的なケアが必要なことから、日常生活はもちろん、学校生活を送ることも難しい状況が長く続いていました。

それでも、少しずつ治療を進めながら、いつか本来の排泄機能を取り戻すことを目指してきました。しかし、事故によって尿の通り道が大きく断たれてしまっており、それをつなぎ直して本来の排尿機能を取り戻すことは、非常に難しい治療でした。

「治療を受けられる日」を待って

2024年、私たちは彼と出会い、そして小児泌尿器科の専門医による治療を受ける機会をつくるため、少しずつ準備を進めてきました。

そして今回、小児泌尿器科の専門医である上岡先生をミャンマーにお迎えし、本来の排尿機能を取り戻すための手術を受けることができたのです。

2年間、専門医による治療を待ち続けてきた彼にとって、今回の手術は、長く続いた治療の道のりを大きく前に進める一歩となりました。

手術を終え、少しずつ未来へ

手術後は、傷口を安静に保つため、まだしばらくベッドの上で過ごす必要があります。
それでも、治療が大きく前進したことへの喜びからか、彼の顔には笑顔が絶えず、そして私たちに会うといつも手を合わしながら満面の笑顔を見せてくれます。

これからももう少し治療は続きます。
学校に通ったり、友達と過ごしたり、これまで当たり前だった日常を少しずつ取り戻していくためにも、今後の経過を見ながら治療を続けていく必要がありますが、今回の手術はその未来に向けた大きな一歩となりました。

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける
術後の患者さんの笑顔

帰国する先生方を見送った家族

そして、先生方がミャンマーを離れる日。

長い間、息子の治療を待ち続けてきたご家族が、帰国を前にした先生方の前で跪き、深い感謝の気持ちを伝えてくださいました。言葉だけでは表しきれないほどの感謝を、何度も頭を下げる姿から感じることができました。

ご家族にとって、今回の手術は、長く待ち続けてきた治療への大きな一歩でした。

そして先生方が日本からミャンマーへ来てくださったこと、その治療を通して新たな可能性を開いてくださったことは、ご家族にとって決して忘れることのできない出来事になったのだと思います。

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける
帰国する先生方に感謝の気持ちを示す家族

一人の子どもへの治療から、現地医療の未来へ

今回、先生方にご協力いただいたのは、患者さんへの診療・手術だけではありません。
現地の医療者とともに診療や手術を行い、専門的な知識や技術を共有していただきました。

日本とは異なる医療環境の中で、現地の医療者が日本の専門医と直接診療にあたり、実際の症例を通して学ぶことは、これからのミャンマーの医療を支えていく上でも大きな意味を持ちます。

一人の患者さんを治療することに加えて、その経験や知識を現地の医療者へ伝えていく。
それは、将来、より多くの子どもたちが必要な医療を受けられる環境をつくることにもつながります。

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける
現地医師たちとの症例カンファレンス

「治療を届ける」から「未来につなげる」へ

【ミャンマー 病院での診療・手術】治療を待つミャンマーの子どもたちに、専門的な医療を届ける

今回の医療支援を通して私たちが届けたかったのは、手術そのものだけではありません。
専門的な治療を必要としながら、その機会を得られずに待ち続けている子どもたちに「治療を受けられる機会」そのものを届けること。
そして、現地の医療者が専門的な知識と技術を身につけ、将来、自ら子どもたちの命を支えられるようにすること。

ジャパンハートは、今回のご協力を一過性の医療支援に終わらせることなく、ミャンマーの子どもたちに必要な医療を届けるとともに、現地医療者への技術移転にも継続して取り組んでまいります。

子どもたちが、必要な時に必要な医療を受けられるように。
そして、子どもたちが治療を受けたその先にある、学校に通う・友達と過ごす・家族と安心して日常を過ごす、そんな当たり前の毎日を取り戻せるように。

その未来に向けて、ジャパンハートはこれからも活動を続けていきます。