活動レポート
ラオス
2026.07.10
2026年5月、ラオス国立小児病院にて、小児がん治療技術向上を目的とした手術活動を実施しました。
今回の活動は、2026年度最初の手術活動であり、前回から約半年ぶりの実施となりました。
本プロジェクトは九州大学病院と連携しながら、小児がんの診断・治療技術の向上を通じて、ラオス国内で質の高い医療が継続的に提供できる体制づくりを目指しています。
現在のラオス政府とのMOUは2026年12月に終了を予定しており、残された期間の中で、より多くの患者さんが適切なタイミングで治療につながる仕組みづくりと、現地の医療スタッフが主体的に手術や術後管理を実施できる体制の構築が重要なテーマとなっています。
そのため、治療技術の向上だけでなく、患者さんの早期発見や適切な紹介体制の強化にも取り組んでいます。
今回の活動では、5件の患者さんの手術を実施しました。

活動では手術室での安全管理や術後看護、医師の執刀経験の向上を重点項目として取り組みました。
手術室では、針やガーゼのカウント、出血量の確認、手術前のタイムアウトなど、安全管理の手順を現地スタッフとともに実施しました。
これらの取り組みは前回よりもスムーズに行われるようになり、活動終了後には、本プロジェクトの対象患者以外の手術でも同様の安全管理が実践される場面が見られました。
技術だけでなく、安全文化そのものが現地に根付くことができるよう、引き続きのサポートが必要と考えています。

小児がん治療では化学療法と手術のタイミングを適切に調整することが重要ですが、一方で、地方では診断や紹介までに時間を要することも少なくなく、適切なタイミングで専門施設へつなぐ体制の重要性を改めて実感する機会となりました。
限られた医療資源の中で、より多くの子どもたちが治療の機会を逃さない仕組みづくりが今後の大きな課題です。
今回の手術ミッションでは九州大学病院より田尻教授に初めてラオスへお越しいただきました。
現地の医療環境や小児がん治療の現状をご覧いただくことで、ラオスにおける課題や可能性への理解を深めていただく機会となり、今後も継続的に連携していくための大きな一歩となりました。

また、今回手術を受けた患者さんの中にはビエンチャンからバスで半日以上かかる地域に住んでおり、国立小児病院へ通院するだけでも大きな負担がある人もいます。
ジャパンハートでは、治療期間中の住居や生活面の支援も行い、患者さんとご家族が安心して治療を継続できるようサポートしています。
しかし、本当に必要なのは、このような患者さんがより早い段階で診断され、適切なタイミングで専門医療へつながる仕組みを整えることです。
ジャパンハートはこれからも、国立小児病院における治療体制の強化に加え、地方から専門病院への紹介体制や患者さんへのアクセスの改善にも取り組みながら、一人でも多くの子どもたちが必要な治療を適切な時期に受けられる社会の実現を目指して活動を続けていきます。


今回の手術活動は、手術の対象となる患者さんを探すところから始まりました。
手術を受けた患者さんの中には、私たちが地方へ出向いて出会い、ラオスの首都・ビエンチャンにある子ども病院で術前化学療法を受けた後に手術へ臨んだお子さんもいます。家族は夜行バスで10時間以上かけてビエンチャンまで移動し、お母さんは仕事を辞めて治療に付き添っています。
手術は無事に終わりましたが、今後も約半年間の術後化学療法が必要であり、家族は引き続きビエンチャンで生活しながら治療を続けなければなりません。
ラオスでは小児がんの治療を受けるために、家族が生活や仕事を大きく変えなければならない現実があります。
また、地方には伝統的な価値観や文化が根付いており、それらが受診や治療の選択に影響することも少なくありません。
ラオスオフィス 里見 春佳