活動レポート

日本

2026.08.29

「医療が届かない人の希望になる」ACジャパン支援キャンペーン 制作スタッフインタビュー

7月1日から始まった、新しいACジャパン支援キャンペーン。

このCMはどのようにして生まれたのか、そこにどんな想いが込められているのか—

企画から完成までの道のりを、今回企画・制作してくださった電通アドギアの亀井尚裕さん、坂本莉菜さん、大日の袋康雄さん、中村直資さんに伺いました。

スタッフ集合写真1

左から
中村直資さん(大日/アシスタントプロデューサー)                              亀井尚裕さん(電通アドギア/クリエイティブディレクター)                         坂本莉菜さん(電通アドギア/プロデューサー)                               袋康雄さん(大日・エグゼクティブプロデューサー)

ジャパンハートを選んだ理由

—今回、なぜACジャパン支援キャンペーンにジャパンハートを選んで提案してくださったのですか。

亀井さん:ACジャパンの広告制作には長年関っていますが、色々な団体があるなかでもジャパンハートの取り組みは素晴らしいなと常々思っていました。プロデューサー・袋さんにも強い想いがあり、その熱量に押された部分もあります。

袋さん:ジャパンハートは日本を代表する国際NGOだと僕は認識していましたし、吉岡先生の活動も昔から知っていました。もともとNPOなどに興味関心が高かったので、ジャパンハートの力になりたい、という気持ちがありました。                                                   時代が割と内向きになっているなかで、日本から広い視野で世界を見て活動している団体を応援したいという気持ちもあったので、決まったときは本当に嬉しかったです。

—袋さんは昔からジャパンハートや吉岡秀人のことをご存じだったとのことですが、最初にジャパンハートを知ったきっかけは覚えていますか?

袋さん:最初に知ったのは、吉岡先生がまだ一人で活動を開始していた頃でしょうか。苦労しながらも使命感を持って活動しているという記事を読んだ記憶があります。僕は吉岡先生と同世代なのですが、学生の頃はバブル全盛期。あの空気のなか、たった一人で途上国で医療活動を始めるなんてこんな人いるんだと思い、すごく興味がありましたね。

吉岡先生が始めた頃は、同世代で社会課題にアプローチする人が世の中に多く出てきたタイミングだったと記憶しているのですが、そのなかでも吉岡先生は孤高に見えたというか、別格だと感じていました。

伝えるべきたった1つのメッセージ—コンセプトができるまで

—企画段階のお話を聞いていきたいのですが、どのようにコンセプトを作っていったのでしょうか。

亀井さん:まずはオリエンシートをしっかり読み込むところから始めました。団体の皆さんは伝えたいことがたくさんあるので色々なことが書いてあるのですが、我々の考え方としてはCMで伝えたいことって基本的に1つなんです。

コアメッセージはどこなんだろうと何度も読み返していくうちに、今回は吉岡先生が 20年以上前にジャパンハートを設立してからの軌跡自体が一番価値があり、伝えるべきメッセージなんだと思いました。タレントさんを使うこともできたけれど、今回に関しては一番本質とも言える吉岡先生、そしてジャパンハートの人々を主役として描くべきだと考えました。

電通アドギア亀井様写真

—コンセプトを作っていくなかでのエピソードはありますか?

袋さん:ジャパンハートさんにヒアリングした際、団体として「絶対にこうしたい」や「あれもこれもNG」という明確な線引きがそこまでなかったので、我々としてはかえってアイデアを練りやすかったかなと思います。

先ほど亀井さんがお話ししたとおり、ジャパンハートの活動の本質を見せていく案にしようというのはすぐにまとまったんですね。 そのなかで吉岡先生をメインで出していきたいと考えた時に、ファウンダーを全面に出していくことの団体としての可否は心配していましたが、問題なくOKが出てほっとしたのも印象に残っています。

—私たちも今回は集大成のようなコンセプトを考えていたので、ご提案くださった企画やメッセージが一番ピンときたんです。改めて同じ想いだったんだなと感じました。                               企画段階でジャパンハートを知っていくなかで、意外な発見や心を動かされたことがあれば教えてください。

中村さん:驚いたのは、たった一人から始まった団体ということ。吉岡先生が単身で医療活動を始めたという原点を知った時に、ひとりの何とかしたいという想いが、20年以上経ってもこれだけ多くの人が共感し、ともに活動しているという事実が眩しく見えました。

同時に規模が大きくなった今も、目の前のひとりと向き合い続けるということを大事にしている団体だというのも知って、大きさよりも温かさを感じました。 吉岡先生にインタビューした際、「いかに自分の寿命を全うするか」という話をされてて、自分に与えられた寿命を人の力になるために使うことを選び、それを体現し続けているところにすごく感動しました。

大日中村様

坂本さん:HPでスタッフ一覧ページを見ていた時に、国内で働くスタッフと現地で働くスタッフが総勢でこんなにいるんだと驚いたことを覚えています。(※現在のリニューアルHPでは一部スタッフのみ掲載)

社会人になる前は何となく海外で働くってかっこいいなと思っていたのですが、実際に現地に行ってみて、海外で働いて生活するのは思った以上に覚悟が必要だろうなと感じましたし、それでもやりたいことのために全てを捧げているところがすごいと思いました。

ジャパンハートの本質が垣間見えた、カンボジア撮影

—ここからはカンボジアでの撮影についてお聞きしたいと思います。現地の子どもたちや、病院で働くスタッフの様子を間近で見て印象に残っていることはありますか?

亀井さん:僕は吉岡先生にお会いしに院長室に行った時のことが印象に残っています。そんなに広くもない部屋なのですが、吉岡先生はここで寝起きしてるって話を聞いてびっくりしたのと同時に、これぐらい仕事に全精力をかけてやっている方なんだと感動したんですよ。 これが本質なんだなってすごく思いました。

袋さん:僕はスタッフたちの働きぶりに感動しました。撮影時に色々なリクエストを入れても一生懸命応えてくれるし、こちらの要望に対して同じテンションで応答してくれた。やはり、それだけの意志を持ってここに来ているんだなと感じましたね。

—院内の子どもたちとも接する機会もあったと思いますが、印象はいかがでしたか?

坂本さん:私は医療者でもないし、ふらっと来た日本人だから、子どもたちやお母さんたちからはよそ者が来たと思われたりしないかな…と思っていたのですが、皆さん目が合ったらニコニコしてくれたり、手を振ってくれたり、対応が優しくて正直びっくりしました。良い意味であまり異国に来た感じがしなかったですね。

AC撮影時の様子

カンボジア・アジア小児医療センターでの撮影の様子

「あの子たちの役に立てるんだよ」—大事にしていた想いとは

—撮影も無事に終わり制作を進めるなかで、大事にしてくださっていたことがあれば教えてください。

袋さん:制作を進めているなか、監督の三ツ橋の一言ですごく記憶に残ってるものがあって。「このCMが、あの子たちの支援につながっていくんだよ」とボソッと言っていたんですよね。

CM制作って進行するにつれて広告としての効果に注力してしまったり、良くも悪くも目立つことを中心に考えてしまい「あの子たちのため、社会のためになるんだ」という視点を忘れてしまう瞬間の方が増えてしまうのです。なので、三ツ橋の言葉をきいてハッとしましたね。それは大事な視点であり、今回の一番の目的だったなってふと気づかされました。

大日袋様

亀井さん:今回、被写体として映る子どもたちや医療従事者の方のリアルの力を実感しました。現地でたくさん良い画を撮ることができただけに、15秒CM、 30秒CMに凝縮するのが難しかったです。               だからこそ渾身の1枚だったり、映像というところは粘って粘って選びました。監督が一番そこは粘ってやってましたね。

—完成した時の率直なお気持ちも伺いたいです。

亀井さん:今回、日本とカンボジアでロケ撮影をしましたが、割とハードな時を過ごしたので、完成した時はもちろんすごく感慨深かったです。                                         完成した画に音楽が乗り、声吹き込まれ、さまざまな想いが本当に同調して、それが全部シンクロした。だからこそメッセージがストレートに伝わってくるものになったなというのは感じましたね。

中村さん:やはり制作初期、監督の三ツ橋がこのキャンペーンCMが成功するかどうかで数万人の命に関わってくると話していて、すごく背筋が伸びたんです。制作過程でも出演者の調整や撮影場所の調整など、難しい局面がたくさんあったと思うのですが、ジャパンハートの皆さんや、制作スタッフみんなが常に前向きでいてくださったのですごく救われたし、この人たちのために頑張りたいと思いました。

最終的には映像制作チームが形にしていくものではありますが、みんなでつくったという特別感があって、完成した時は感動して言葉にならなかったです。

AC広告ビジュアル

皆の想いが重なり完成した、ACジャパン支援キャンペーンビジュアル

制作チームからメッセージ

AC広告制作スタッフ

—では最後に、この記事を読んでいる方に対して、今回制作チームとして伝えたいことがあればお願いします

中村さん:全ての人が生まれてきて良かったと思える社会に少しでも近づけたらと感じていますし、観た人が共感してくれたらそれ以上に嬉しいことはないので、この広告が色んな人に届いてほしいなと思います。

袋さん:吉岡先生が日本の人たちは挑戦しなくなった、だからご自身がジャパンハートでの活動を通して挑戦している姿を見せたい、伝えたいという話をされていたのが非常に印象的でした。                   だから、吉岡先生やジャパンハートの皆さんの活動から得られるものもあると思うし、応援してくれる人が増えたら嬉しいですね。

あとは、情勢不安が続くミャンマーのようなまだまだ苦しい状況下で暮らす人々がいるということを、ちょっとでも思う人が増えていくと何か変わっていくのではないかと思っています。

坂本さん:今回制作に携わらせていただき、吉岡先生やスタッフの皆さんと接するなかで、こういう働き方とか生き方って誰でもできるものじゃないとすごく感じました。なのでこれからも応援したいですし、私自身も何か貢献できることを探していきたいと思っています。

電通アドギア坂本様

亀井さん:みんなが言ってくれたことが全てですが、僕もますます活動を応援したいと思うようになりましたし、そのように思ってもらえる人がもっと増えたら本当にいいなと思っています。


インタビューへの参加は叶いませんでしたが、広告の監督を務めてくださった大日・三ツ橋勇二さんからメッセージをいただきました。

大日三ツ橋様

最初にジャパンハートの活動を知った時には、吉岡先生のたった一人の想いからここまで活動が広がっていったことに驚きました。

企画の段階では、地に足のついた表現にしたいと考えました。医療活動が今も現在進行形で続いていることを、声高にではなく、静かに伝えられないか。それが最初にあった想いです。

撮影で現地を訪れた際、子どもたちやスタッフを見て最初に浮かんだ言葉は「希望」でした。その場所も、そこに流れる時間も、希望に満ちあふれていました。だからこそ、広告自体も「希望」を感じるものにしたいと思いました。

我々の想いに共感してくださった俳優の戸田恵梨香さんがナレーションを吹き込んでくださり、高木正勝さんが希望に向かうメロディを奏でてくださいました。たくさんの方々の想いが積み重なったことへの喜びがあります。その喜びは、多くの方へ届いていく力強さを持った作品になると確信したからこそのものです。

これからもジャパンハートを応援しています。