活動レポート

カンボジア

2026.09.07

【カンボジア医療活動】小児がん患者story ― 1歳の女の子、神経芽腫治療の日々 ― 

モロコットちゃんは、1歳の女の子です。 

神経芽腫という、未熟な神経細胞から発生する小児がんと闘っています。 

モロコットちゃんは、誰にでも人懐っこく近づいていく、愛嬌のある姿が印象的です。病院では、よくプレイルームで過ごしており、ときどきスタッフの膝にちょこんと座ったり、他の患者さんと一緒に遊んだりする姿が見られます。  

【カンボジア医療活動】小児がん患者story ― 1歳の女の子、神経芽腫治療の日々

きっかけは小さなできもの

モロコットちゃんは、1歳2カ月の頃、頭に小さなできものがあることに家族が気づき、近くのクリニックを受診しました。当初は耳下腺の腫れと診断され、症状はなかなか改善しませんでした。 

そのため、家族はプノンペンの小児病院を受診しました。詳しい検査を受けた結果、頭のできものだけでなく、お腹にも腫瘍があることが分かりました。その後、お腹の腫瘍の生検を行い、神経芽腫と診断されました。 

病気が分かったとき、両親は大きな不安を感じ、涙を流したといいます。まだ幼いモロコットちゃんを前に、家族は病気への不安を抱えながら、治療の道を探していきました。

【カンボジア医療活動】小児がん患者story ― 1歳の女の子、神経芽腫治療の日々

ジャパンハートとの出会い 

モロコットちゃんがジャパンハートと出会ったきっかけは、お父さんがFacebookを通じて病院のことを知ったことでした。「がんの治療を無償で受けられる」という情報を目にし、ジャパンハートで治療を受けたいと考えるようになりました。入院生活では、おばあちゃんが身の回りのお世話をしています。 

「病院はとてもきれいで、過ごしやすいです。医師や看護師、スタッフもみんな優しいです。最初にジャパンハートに連れてこればよかった。もっと早く受診して、病気が見つかっていればと思います。」 

と話すおばあちゃんは、安堵した表情を見せつつも、安らぎの中にどこか切実な思いを滲ませていました。  

限られた選択肢の中で、手術に挑む 

モロコットちゃんの治療を担当したのは、ジャパンハート認定医の平松友雅医師です。今回の手術では、執刀医としてモロコットちゃんの治療にあたりました。 

神経芽腫は、治療が難しい病気です。本来、神経芽腫の治療では、腫瘍の性質を詳しく調べるための遺伝子検査などを行います。その結果に応じて、化学療法、骨髄移植、手術など、複数の治療を組み合わせながら病気と闘います。 

しかし、カンボジアでは、治療の選択肢が限られています。そのため、腫瘍を取り切れる可能性と手術侵襲による悪化のリスクを慎重に考慮する必要があります。 

平松医師は充分な化学療法が行えない中で「本当に手術を行うべきなのか」と悩みました。 

モロコットちゃんの場合、カンボジアでも可能な化学療法で効果があり、頭部の転移に対しても放射線治療が可能でした。さらに、画像検査から腫瘍が比較的切除しやすいことがわかりました。 

限られた選択肢の中でも、少しでも良い未来につながる可能性を求めて。そうした想いのもと、今回の手術が行われました。 

【カンボジア医療活動】小児がん患者story ― 1歳の女の子、神経芽腫治療の日々
モロコットちゃんの手術を行う平松医師

治療の日々の中にも笑顔あふれる 

モロコットちゃんは体調が良いときにたくさん遊び、とても楽しそうな明るい笑顔を見せてくれます。 

また、点滴をしながらも、おばあちゃんと楽しそうに歩きながら、一緒に病棟の廊下を進んでいく姿も。小さな体で治療を受けながらも、楽しみを見つけて過ごすモロコットちゃんの姿に、思わず笑顔にさせられます。 

そして手術の日。手術室へ入る直前、モロコットちゃんは私たちに、親指と人差し指を使った「モロコットちゃんオリジナルのピース」を見せてくれました。 

【カンボジア医療活動】小児がん患者story ― 1歳の女の子、神経芽腫治療の日々
オリジナルピースをするモロコットちゃん

不安や緊張を抱えているはずのその瞬間にも、いつもの愛嬌を見せてくれたモロコットちゃん。その姿は、今でも心に残っています。 

笑顔の先にある未来へ 

「まずは健康になってほしいです。」 

その言葉からは、ただ、今は何よりも、元気になってほしいという、おばあちゃんのまっすぐな強い願いが伝わってきました。 

【カンボジア医療活動】小児がん患者story ― 1歳の女の子、神経芽腫治療の日々

モロコットちゃんは、まだ幼い女の子です。病気のことも、治療のことも、これから待っている道のりも、すべてを理解しているわけではありません。それでも、モロコットちゃんがこれからも1日1日を楽しみ、家族と笑い合いながら過ごせる日々を重ねていけるように。 

これからも、モロコットちゃんと家族の歩みに寄り添い続けます。 

長期学生インターン 小林礼奈