活動レポート
カンボジア
2026.09.21

8月8日と9日の2日間、ジャパンハート医療センター(以下、JHMC) 近隣の2つのヘルスセンターで乳がん検診を実施しました。
今回で4回目となる乳がん検診。今回実施した2カ所 はいずれも昨年も検診を行った場所です。
継続して乳がん検診を行う中で、地域にはどのような変化が生まれているのでしょうか。
そして、医療者はどのような想いでこの活動に向き合っているのでしょうか。
今回は乳がん検診の様子やカンボジアで乳がん検診を行う意義、地域に広がりつつある変化についてお届けします。
今回の乳がん検診は以下の流れで行われました。
①ヘルスセンターでの受付
②ジャパンハートでの受付
③エコーによる検査
④乳がんのセルフチェックに関するレクチャー動画の視聴
⑤助産師によるレクチャー
エコー検査で悪性が疑われたり、追加の検査が必要と判断された方には、8月10日にJHMCへ来院してもらい、必要に応じて生検を行いました。
生検では組織の一部を採取して詳しく調べ、良性か悪性かを確定します。
今回の検診には1日目に44名、2日目に25名、合わせて69名の方が訪れました。

長年ジャパンハートカンボジアの医療活動に携わってきた堀庸一医師はカンボジアで乳がん検診をする意義について、次のように語ります。
カンボジアで手術をしていて、乳がんが悪化してから来る人がほとんどだった。
悪化した人は手術ができたらラッキーというくらいで、手術ができない人もいる。
手術をしたとしても他の臓器に転移していたら、その人の命を延ばすことにはならない。
乳がんは自分で発見できる数少ないがんであり、早めに治療をしたら治る病気だからこそ、しこりが小さいうちに治療をしてあげたい。
ただ、しこりが見つかったときにカンボジアの人が病院に来るかと言われたら、来ない。
カンボジアの人々に乳がんについて知ってもらう、啓発活動という意味でもやる意義がある。
これまで、かなり進行した状態で来院する患者さんを目にしてきたからこそ、乳がんについて知る機会をつくることが大切だと話します。

実際に、今回の乳がん検診では看護師や助産師によるレクチャーに患者さんが熱心に耳を傾ける姿が見られました。
レクチャー後には質問も出るなど、「知りたい」という意欲が感じられました。
乳がん検診は検査を受けるだけではありません。
乳がんについて知り、自分自身の身体に意識を向けるきっかけにもなります。
検診を通して得た知識がセルフチェックや異変の気づきにつながることも期待されます。
今回乳がん検診を行った2つのヘルスセンターは、どちらも昨年ジャパンハートが乳がん検診を実施した場所です。
昨年と同じ場所で実施したからこそ、乳がん検診が少しずつ地域に広がっていることを実感する場面が、いくつも見られました。

今回の検診では昨年も受診した方が今年も再び訪れる姿が見られました。
昨年に続いて今年も検診に訪れる姿からは前回の検診をきっかけに、乳がんや自分の身体を意識するようになった人がいることがうかがえます。
検診には地域の方同士で声を掛け合い、車に乗り合わせて一緒に訪れる姿も見られました。
たとえ、「誘われたから」というきっかけで訪れた人であっても、実際に検診を受けることで、乳がんについて知る機会が生まれます。
検診を知ったきっかけを尋ねると、Facebookで発信された情報を見て訪れた方や知り合いから聞いて訪れた方が多くいました。
地域でのつながりが強いカンボジアでは一人が知ったことを家族や友人、近所の人へ伝え、それがまた別の人へと情報が広がっていきます。
こうした人と人とのつながりが乳がん検診を地域に広げていく力になっているのかもしれません。

乳がん検診によってがんを発見したとしても、その後の治療には様々な難しさがあります。治療を受けるための経済的な余裕がなかったり、手術後に抗がん剤治療などが必要となり、継続的に費用がかかったりする場合があります。
また、手術をしたからといって必ずしも完治するわけではなく、再発の可能性もあります。
そのため、早期にがんを発見できれば、それですべて解決するというわけではありません。早期発見の先には、治療を受けるための経済的・医療的な課題があります。
だからこそ、医療者ができるのは乳がんについて正しい知識を伝え、自分の身体について考え、必要なときに自分に合った選択ができるよう、その機会をつくることなのかもしれません。

今回の検診では昨年に続いて訪れる方や地域の方同士で声を掛け合い、車に乗り合わせて訪れる方などの姿が見られました。
乳がん検診が少しずつ地域に広がり、身近なものになってきていることを感じる機会となりました。
乳がん検診の効果はすぐに数字として表れるものではありません。
それでも、検診をきっかけに一人でも多くの人が乳がんについて知り、自分の身体に目を向けることは、将来の早期発見や早期治療につながっていくことが期待されます。
長期学生インターン 岩橋 雅