活動レポート
カンボジア
2026.08.17

ACジャパン支援キャンペーンの広告をきっかけに、ジャパンハートを知ってくださった方は、
「どんな人たちが活動しているんだろう」
「なぜ、このような地で医療活動を続けているんだろう」
と疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、ACのテレビCMにも出演し、ジャパンハートの海外現場を代表する医師と看護師、カンボジア病院長の神白麻衣子医師(2007年~活動)と藤井祐美子看護師長(2015年~活動)が、それぞれの歩みや現場で見て感じてきたことを語り合いました。

Q:お二人が海外の医療現場に飛び込んだ背景は何だったのでしょう。
神白:私は医学部に入る前から国際協力に興味があって、その想いから医師を目指すようになりました。ですが、当時は医師になっても、青年海外協力隊も医師の募集はありませんでしたし、海外医療に携われる場所は本当に少なかったんです。
勤務医を続けるなかで「このまま海外に行かないと後悔する」と思っていたさなか、偶然テレビで吉岡秀人先生(ジャパンハート創設者)の活動を見て、「こんな団体があるんだ」と知りました。それがジャパンハートとの出会いでした。
藤井:私は海外医療にも離島医療にも興味があって調べていた時にジャパンハートを知りました。正直、説明会に参加するまでは「怪しい団体なのでは」と疑っていました(笑)。
でも参加を通じて実際に活動してきた人の話を聞いて、「今やりたいことと合っている」と感じたんです。

Q:ジャパンハートが今よりずっと小さな組織だった頃からお二人は現場で活動されてきましたが、最初に現地へ入った時、印象に残っていることはありますか。
神白:実は、カルチャーショック自体はあまりなかったんです。ただ、医療現場では今でも忘れられない光景があります。
一番衝撃だったのは、手術室の水道から濁った川の水が出てきたことですね。「ここで本当に手術をするのか」と思いました。治療現場で虫が飛んでいることもよくありましたし、日本では考えられない環境でした。
限られた物資や設備のなかで、ミネラルウォーターや煮沸消毒などを行いながら対応していましたね。
藤井:私も環境には驚きました。病院の水で洗濯すると、白いTシャツがだんだん茶色くなっていくんです…。
でも、「そういう環境なんだ」と受け止めて、その中で自分にできることをやろうという気持ちの方が強かったですね。
神白:設備は決して十分ではありませんでしたが、目の前には治療を待っている患者さんがいます。
「環境が整うまで待とう」という選択肢はありませんでした。限られた環境の中で、その時にできる最善を尽くす。それが現場の日常でした。


Q:長年活動を続けてこられた、その原動力は何でしょうか。
藤井:元気になって退院した患者さんが、定期の検診で来た際に家族を連れて笑顔で声を掛けてくれると、やっぱり「やってて良かったな」と思いますね。
でも、それと同じくらい嬉しいのが、ローカルスタッフと呼ばれる現地国籍のスタッフの成長ですね。
今でこそ多くの現地スタッフが活躍していますが、以前は日本人主導の体制でした。その時代に入ったスタッフたちが、今では後輩を教え、自分たちで考えて動いている。その姿を見ると本当に親心みたいな気持ちになります。
神白:私も似ています。
最初は自分が治療をすることにやりがいを感じていました。もちろん、助かる人ばかりではないし、怖いときもありますが。
さまざまな経験を経て今は、現地スタッフが育ち、その人たちが次の世代を育てていくことが嬉しいですね。

Q:ジャパンハートの医療チームらしさはどこにありますか。
神白:一番はチームワークですね。
日本人もカンボジア人も関係なく、お互いに意見を言い合える雰囲気があります。新しく入った人も自然と受け入れて、一緒にやっていける。そんな文化があります。
藤井:患者さんに寄り添う方法も、みんなで考えながら積み重ねてきました。治療だけではなく、その人が最後までその人らしく過ごせるようにどう関わるか。
現地スタッフ自身が考え、家族との時間をつくったり、一緒に最期のお別れをしたり。そうした姿を見ると、このチームは本当に成長したなと思います。

Q:最後に、この記事をご覧になった支援者の方やジャパンハートに興味を持ってくださった方へメッセージをお願いします。
神白:皆さんの支援のおかげで私たちの活動は成り立っています、という言葉に尽きますね。ジャパンハートはカンボジアだけではなく、ミャンマー・ラオス・日本でも活動を広げていますが、それを支えているのは皆様のご支援です。
その積み重ねがあったからこそ、今の医療といのちがあります。感謝しかありません。
藤井:もし「行ってみたい」「何かしてみたい」と思ったなら、その気持ちは大切にしてほしいです。
私自身も、まずは説明会に行って、現場を見て、自分の目で確かめたことが始まりでした。
今より若い日はありません。
興味を持ったその時が、一歩踏み出すタイミングなのかもしれません。
──現場の医療支援には欠かせないご支援や医療ボランティアなど、さまざまな形でこれからもっと輪が広がっていってほしいですね。ありがとうございました!

<神白麻衣子医師>
2007年 ボランティア医師(ミャンマー)
2009年 タイマヒドン大学DTM&H
2009年 ボランティア医師(カンボジア)
2011年 理事就任
2016年 長期ボランティア医師
2018年 スタッフとして入職、カンボジア病院事業責任者
<藤井祐美子看護師>
2015年 看護師研修へ参加
2016年 帰国後、隠岐の島の病院へ
2017年 再び、カンボジアで活動
2020年 帰国後、北海道の病院で派遣看護師
2021年 3度目のカンボジア