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活動レポート

 

ラオスで得たもの

2017.02.07

サバイディー!こんにちは!
先日、1年のラオスでの活動を終え帰国した川口良子です。
一年ぶりに戻った日本の清潔さ、便利さ、安心感、すべてに感動しています。
やっぱりふるさとは良いですね!
私が生まれ育ったこの国は本当によく整備されていて、守られていて、欲すれば何でも手に入るような所だなあ、と感じました。
 
今回、活動報告の機会を頂きました。
1年間のラオスでの医療活動を通して感じたこと、学んだことを自分なりの言葉でまとめてみたいと思います。
 
始めに、『国際医療ボランティア』と聞いてみなさんはどのような事をイメージされますか?
途上国の貧しい人のために汗を流しながら医療を提供して、患者さんと一緒に笑ってるいるような、そんなイメージが私にはありました。
もちろんそれは事実でしたが、本当にほんの一部でした。私が学生の時から憧れていた国際貢献は思っていた以上に根気が必要で、地道で我慢の連続でした。
 
「医療のないところに医療を届ける」ために、調査から始まり、長期間様々な準備をして、細かい調整をし、たくさんの人の協力を得て、やっとのことで、医療の届かないところに辿りつけます。そうして、医療活動がスタートします。
特にラオスの活動地のひとつ、山奥のさらに奥にあるポンサリー県では、行く度にそれを実感しました。
少数民族が多数いるこの地域では、言語も文化も様々で、通訳さんも頭を抱えながらなんとかコミュニケーションをとります。
ラオスの病院はお金がかかり、支払いができなくなればどんな状態でも退院となります。
みんなが病院に簡単に行けるわけではないラオスでは、病院にこれまでかかったことがない患者さんたちが大勢います。

そんな彼らから、びっくりするような事も聞きます。
祈祷師の言葉を信じて家族が患部に得体の知れない液体を注射していたり、患部を水で洗うと悪くなると思い、まったく洗わず垢だらけだったり、薬を飲めばすぐに良くなると思っているために、私たちが渡した薬を飲んでも良くならないと言い、次の診療まで待つことができず内服を自己中断していたりします。

私は患者さんへの医療の提供ばかり考えていましたが、まずはそれ以前の関わりが求められるのだと思いました。

遠く離れた日本から来たよそ者の日本人医療者を信用してもらえるように、これから治療で関わらせてもらえるように、相手の話を聞き、理解しようと歩み寄り、何に困っているのか、何が不安なのか、丁寧に耳を傾けるように心がけました。

そうして治療を強く望む患者さんたちは、私たちを信じて手術を受けにきてくれます。
それに応えるべく、ジャパンハートスタッフ、現地医療者、そしてボランティアに来てくださる方々全員が患者さんに誠心誠意向き合い、必死で治療に臨みます。

ラオスでは患者さんへの医療の提供だけでなく、現地医療人の育成もしています。
それが、将来ラオスの医療の質を高めて、救える命が一つでも増えるように。

私たちの医療支援は永遠ではありません。
ラオス人の命を救うのが、ラオス人医療者であったら、それは真のラオス医療の自立であると思います。そのサポートをしたいと活動してきました。

日本での臨床経験が3年しかない私が現地の看護師に何を教えられるのか。自信がなくて仕方ありませんでした。最初はその不安を見透かされているような気がして、現地人たちとコミュニケーションがとれませんでした。
けれど、彼らと関わっていく過程で、私ができる事には限界があって、どれだけ取り繕ってもボロが出る事に気がつきました。独りよがりな、知識の押しつけだけではみんな離れていきます。

そうであれば、自分のできることを全力でやろうと思いました。自分ができる看護を精一杯やって、それを彼らに伝えました。質問されて分からない事は調べて説明する、なにか違うと思ったらなぜそれをするのか聞いてみる、行動にどんな想いがあるのか考えてみる、どれも単純ですが、相手を知って自分の意思を伝えるという作業はとても繊細なものに感じました。

一緒に活動していく中で、彼らを知りチームの一員として信頼していきました。その時からやっと、彼らとの関係が始まったように思います。
少しずつラオスの考え方、やり方を知り、尊重しその上で「私だったらこうするよ」「こんなやり方も日本ではやっていたよ」と私の持っている引き出しをすべて開けてラオスの医療者たちと接しました。そのうちの一つでも彼らの中に残っていてくれたら良いなと思っています。

そして、医療に限らずとも、国際貢献のフィールドで一番重要なもの。
それは自分と違うバックグランドを持つ様々な人たちの多様性を理解する事ではないでしょうか。
ラオスでは現地ラオス人スタッフの他にも、様々な国の医療者、ボランティアさん、支援者さんと接する機会が多くあり、一緒に活動をしてきました。
母国語ではない言葉でジャパンハートの事、私たちの活動の事を伝え、意思疎通をとるのは毎回とても緊張します。

先ほど述べたラオス人医療者と関係を築く時にも感じましたが、違う文化や言語、考え方を持つ他人を理解して受け入れて、同じ方向を向いて進んでいくのは、思い通りにはいかず、時間もかかり、とても難しいです。
言葉の壁や生活習慣の違いを感じ、相手を国籍のイメージだけで判断したり、そもそもコミュニケーションをとるのが煩わしく感じ避けたり、問題に目を背けたり。

なんとなく、その場の雰囲気と相手のペースに合わせて、自分が少し我慢すれば衝突する事なく表面上は円滑に業務が進んでいきます。ラオスに来た当初は、そうしていれば喧嘩もしないで済むし、自分が良い人でいられると勘違いしていました。なにか問題があったり、仕事が終わらない時は、話をしやすい日本人スタッフ同士で協力すればなんとかなるだろうと思っていました。

ミッション中、現地スタッフがスケジュールを急遽変更し、それを伝えてもらえていませんでした。
大きな変更ではなく夜勤者の私と通訳のみに関係する事でした。それまでであれば、いつの間にか変えてたんだなーくらいに思い、自分がその変更に対応すれば済むから何も言わずにいたと思います。けれどその時、同時になぜ情報共有してもらえなかったのか、もし最初から変更を知っていたら、もっと違う動き方があったのに、とも思いました。情報共有しなかった相手にちょっとイラっとして、このまま黙っていたらまた同じ事が起こるかもしれないと感じ、現地スタッフになぜスケジュール変更したのか、私にもその情報を伝えてほしかったと言いました。すると、相手はミッションがスケジュール通りにいかないため、必死に調整していた事を丁寧に説明してくれ、私に変更を伝えてなかった事はまずかったと振り返っていました。忙しさの中でお互いにピリピリしてミスコミュニケーションが起こっていた事を二人で認識し次回からどのようにすべきか、夜勤中に時間を割いて話し合いました。

イライラしていた事を謝り、思っていた事をお互いに伝え、最後は明日もミッションがんばろうと言い合いながら握手をしました。なんだか表面上だけのワークメイトではなくなった気がして、相手の事を信頼するようになりました。
その時から、相手を理解するためにも自分の意思を伝えることが必要なんだと気づき、ただ相手のペースに合わせるだけでなく、自分から発信していくようになったと思います。協力し合うために、まず相手を知って、自分の事も知ってもらう必要があり、そのために自分の意思を伝える努力をしました。そうしているうちに、素直に自分らしくいられるようになっていったと感じました。
もちろん意見を言い合う中で、相手の嫌なところ、理解できない部分も出てきますが、それらはそっと隅に置いておくスペースも自分の中にできた気がします。

そうやってコミュニケーションをとっていくうちに、周りから今まで自分が思ってもいなかった提案がでてきたり、新しいアイデアがでてきたり、もっともっと世界が広がっていく様な感覚になりました。そうして、いろんな人の考えや力が合わさって、想像もつかないくらい大きな力が発揮されるのだと思います。

最後に。
ラオスの活動を通じて、人間の可能性をたくさん見てきました。それはどんどん広がっていきます。
10ヶ月以上関わっている脊損の患者さん。
最初寝たきりだった彼は今、リハビリをして車いすを使いこなし、英語を学び英語で会話をします。ナイトマーケットで買い物もします。
ポンサリーの山奥で、何十年も甲状腺疾患を患っている患者さんたち。症状に苦しめられ、腫瘍で腫れ上がった首元を隠しながら生活しています。手術をして症状から解放され、表情は若く明るくなり、首元を気にすることなく外にでかけられます。
生まれつき肛門がなく、肛門を作る手術をした鎖肛の男の子。
手術の後、作った肛門が閉じないように鉄の棒を毎日入れます。男の子はあの小さい体で激痛に耐え、お母さんは家で処置ができるように必死に入れ方を練習しました。今では家族で自宅に帰り、2回目の手術を待っています。
大きな脂肪腫を首に患って人目を気にして何年も隠れるように生活していた患者さん。手術をして、堂々と村に帰っていました。
薬剤を飲んだことで食道が狭窄してしまった患者さん。ラオスでは難しい症例なため、日本からのボランテイア医師が定期的に来て治療に臨んでくれています。少しずつ食道が広がり、今ではご飯をたくさん食べて体重が増え続けています。

医療の可能性、人間の強さをたくさんの患者さんたちから学ばせてもらいました。
その一端を担えたと思うと、こんなに幸せなことはありません。関われたことを本当に嬉しく思います。

国際医療は決して一人ではできません。
私はラオスでかけがえのない人たちに出会いました。
出会ったすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。
この幸せだった1年間を一生忘れないです。

本当にありがとうございました。
 
ラオス アドバンスドナース 川口良子

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